年明け早々、雪の八ヶ岳を1泊2日で縦走する計画があったので、早速 Tabitibi Tote のカメラバッグとしての実力を試してみることにしました。
この時はさるメーカーの製品を物撮りする予定もあったので、EOS 5D Mark4にいつものEF40mm F2.8 STMを装着した状態を基本に、もう1本EF50mm F1.4 USMも Tabitibi Tote に入れて持っていきました。
結論としては、当たり前ですがカメラバッグとして作られた Paago Works の Focus と比べると使い勝手は一歩も二歩も譲りました(Focus はカメラバッグとして相当の高みにあるので、それと比べるのも可哀想なのですが)。
カメラバッグとして考えたとき、まず気になったのは、本体上部に取り付けられたハンドルがあることで、カメラをさっと取り出しにくいこと。まあ0.5秒くらいの差だと思うので、アウトドア雑誌で山行記事の撮影をするカメラマンでもなければ大した問題ではないし、気になる人はハンドルを切り取ってしまっても良いかもしれません。
同じく開口部が身につけると体に沿って自然と閉じる構造なので、この点もカメラの取り出しやすさという意味では少々ストレスを感じる場面もありました。
ストラップが一眼レフのような重いものを入れるにしては細めなので肩に食い込むのではと思っていましたが、冬季なのでウェアを着込んでいたせいかまったく気になりませんでした。が、薄着になる季節にどう感じるかは不明です。
ともあれ、この軽量さとシンプルさは自分にとっては他に得難い魅力があることも事実でした。身軽だし、バックパックにカメラをしまう時も入れやすく出しやすい。
山行取材の撮影ならば、やはり速写性に優れた使い勝手の良い Paago Works の Focus を選ぶでしょう。ですが、プライベートの山行では Tabitibi Tote を選ぶ場合も大いにあると思います。それに、筆者のような使い方はかなり特殊な例でしょう。
たとえばコンパクトなミラーレス一眼のようなカメラを使っていて、山行時に裸で持つのは怖いけど大げさなカメラバッグに入れるのは気恥ずかしいし、だいいちデザイン的に欲しいカメラバッグがまったくない、という人は結構多いのでは? そんな人にとっては、Tabitibi Tote は福音のような存在になり得るのではないでしょうか。
カメラバッグとしてのレビューばかり書き綴ってきましたが、Tabitibi Tote はそれ以外のシーンでも実に使えるバッグです。
ハイカーサコッシュとしても容量が増えることで山帰りにおみやげを入れるスペースを確保できたり(山男ならば家族、特に妻へのおみやげは非常に重要であることをご理解いただけるかと思います)、普段使いでもたとえば自分の場合は子供と遊びに出かけるとき(一応二児の父です)、オムツとお尻ふきだけを入れて身軽に公園に出かけて、帰りにパンでも買っていこうかなんてとき、容量が増えるのでとても助かります(例が所帯染みていてすみません)。
それにやはり何よりこのルックスですよね。コットンやウールの服にもよく馴染んで、持っているだけでちょっとお洒落に見えてしまうハイカーサコッシュなんて、そうそうあるものではありません。
いやはや、「ベーベーポーチ」から始まったハイカーサコッシュも(詳しくは「ハイカーサコッシュまとめ」記事をご参照ください)、思えば遠くに来たもんだ……。
……と、こんなところでレビューを締めくくろうとしていたところに、Rawlow Mountain Worrks さんから思いもよらぬ報らせが舞い込んできました。
なんと、実は現在 Tabitibi Tote のオプションとしてカメラ用ハウジングを製作中とのことで、しかも試作中のそれをテストさせてくださるとのこと!
さらにハイブリッドキューベン素材の Tabitibi Tote もお貸しいただきました。
無骨なカッコ良さと耐水性UP! ハイブリッドキューベン版
先ほどから「お洒落」を連発してきた筆者ですが、Rawlow Mountain Works についてたったひとつの不満が実はそこでした。
そう、Rawlow はムサい40過ぎのオヤジにはお洒落過ぎるのです! こんなお洒落なモンに合わせる服もセンスも持っていねえ!
そんな全国のオヤジ&ボーイズの叫びを知ってか知らぬか、素材にUL系のコテージインダストリー界隈で人気の防水性と軽量性の高いハイブリッドキューベンを採用してくるとは、完全に心を撃ち抜かれました。
無骨なキューベン素材になったことにより男らしさが50%ほどアップし、クローゼットにアウトドアウェアしかない筆者のような人間も気負わず持てるようになりました。
ハイブリッドキューベンになったことにより耐水性が上がり(シーム処理はされていないので完全防水ではないと思われます)カメラバッグとして使う際も信頼感が増し、通常版約125g→約80g(筆者による実測値)と約45g軽量化されたことで素材と機能性でしかものの良し悪しがわからないスペック厨も納得の仕上がり。