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ポンチョ、寝袋、ブランケットと3Wayに使えるSestrals Poncho(2ページ目)

収納したAs TucasのSestrals Poncho
全開にするとブランケットになる。

正直、重量比でのロフト感=暖かさは、化繊ダウンは天然ダウンに適いません。ですが、濡れてしまっても一定の暖かさを維持することやメンテナンスの容易さ(=気軽に洗濯できる)など化繊ダウンならではの長所もあり、その長所が生きてくる場面も多々あります。

踏破に数ヶ月を要するロングディスタンストレイルではゼロデイ(休息日)に寝袋を気軽に洗濯できることは非常に助かるでしょうし、多雨多湿な季節や地域を旅するときも濡れに強いシンセティックダウンは非常に心強い存在です。

同様に、冬山でスリーシーズン用の天然ダウンの寝袋をインナーに、濡れに強い化繊ダウンのキルトや寝袋をアウターとして二重に使うのも理に適った方法論でしょう。

そんなわけで、筆者もかねがね化繊ダウンの寝袋がひとつ欲しいと思っていたのですが、それを抜きにしても、Sestrals Poncho にはかなりビビビと来てしまいました。

その理由としては、まず前述した通り、ポンチョとして着れること。インサレーションとしてダウンジャケットを持たずに良くなればそれだけで200~400g程度は軽量化できますし、就寝時にしか使用しない寝袋とキャンプ時にしか着用しないダウンジャケットをひとつにできたら装備としてもスマートです。

また、キャンプ時に積極的に着用することを考えると、Jacks ‘R’ Better のように天然ダウンの「着れる寝袋」より化繊ダウンの Sestrals Poncho の方が手荒に使えて洗濯もしやすいことはアドバンテージになりますよね。

そして何よりそのルックス。ゼロ年代の北米のULコテージメーカーのように機能性以外まったく考えてない無骨なデザインに逆に色気を感じてしまう筆者のような人間は、あまり多くはないかもしれませんが……。

3月頭の谷川岳をハイキングする予定があったので、As Tucas の日本でのディストリビューションを手がける アウトドアギアマニアックスさんにお借りしてテストをさせていただきました。その結果をレポートしたいと思います。

豊かなロフト感と暖かさ

As TucasのSestrals Ponchoの足元
足元はスナップボタンとドローコードで閉める。

まず、現物を手に取ってみて最初に感じたことは、ロフト感の良さ。正直、化繊ダウンは天然ダウンと比べるとロフト感がイマイチなのですが、その先入観を翻すリッチなロフト感がありました。

お借りしたのは Cilmashield APEX167 を採用したMサイズ605gのモデルだったのですが、メーカー発表値としては0℃対応とのことで、同重量の天然ダウン寝袋と同程度の温度域に対応していることは特筆すべき点ではないでしょうか。

天然ダウンにしろ、化繊ダウンによく使われる Primaloft にしろ、インサレーションの偏りを防ぐためにシェルに縫い目をつける必要があり、そこがコールドスポットになるのですが、Sestrals Poncho に採用された Climashield は素材自体に強度があるためシェルに縫い付ける必要がなく、それがロフト感の良さと暖かさに繋がっている気がしました。

シェル素材に採用された12デニールの Schoeller-FTCファブリックの肌触りの良さも特筆すべきレベルで、肌が弱いのでナイロンやポリエステルが体に触れるのは苦手な筆者でも、サラサラとした肌触りは快適でした。

As TucasのSestrals Ponchoの頭部
特徴的な首回りのカッティング。

次にデザインを見ていきましょう。まず、Sestrals Poncho の大きな特徴として挙げられるのが、首元の扇状に弧を描いたカッティング。フードレスの寝袋やキルトではスナップボタンとドローコードなどで冷気を遮断するデザインが多いですが、それを Sestrals Poncho では扇状の首回りを首元にたぐり寄せるシンプルな方式を採用しています。Schoeller-FTCファブリックの肌触りと相まって、非常にリラックス感のある寝心地です。

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