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BESPOKE HUNTING BOOTS~質実剛健フルハンドメイドのビスポーク靴~

『BESPOKE HUNTING BOOTS』~質実剛健、フルハンドメイドのビスポーク靴~vol.3

雑誌「HUNT」とのコラボレーション企画第18回。HUNT編集部がブーツ専門のビスポークシューメーカー『T.Shirakashi』への取材した際の記事を紹介します。

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目次

リアルアウトドアマンと、日本で唯一のビスポークブーツ職人。

リアルアウトドアマン 室伏さん

室伏友三さん
ビスポークハンティングブーツを紹介するにあたり、オーナー役としてご協力いただいているリアルアウトドアマン。鳥類保護連盟の理事をつとめ、野鳥と自然を愛するベテランフィールダーである。
ビスポークブーツ職人 白樫さん

白樫徹哉さん
日本で唯一のビスポークブーツ職人。質実剛健のカントリースタイルを追求していく内に、フルハンドメイドのビスポークにたどり着いた孤高の職人である。
http://www.shirakashi.jp/

ホンモノの靴作り行程が見れるvol.1~vol.2はこちら

僕の足を知る、極上のビスポークブーツ

全行程を手製で仕上げる、「ビスポークハンティングブーツ」の誕生までを追う当企画も最終段階に入った。完成した完全オーダーメイドブーツをご紹介する。
フルハンドメイドのビスポーク靴をはく男性

当企画がスタートして半年、とうとう完成品のお披露目である。前号で登場した“仮縫い”からの大きな変更点は、室伏氏の希望によりトゥキャップの装着と、アイレット上部をフックに変更する事。オーナーの要望にきめ細かく対応できるところも、ビスポークならではなのだ。様々なフィールドで活動している室伏さんは、今までも数限りない靴を試してきた。長い経験上、既製品には多かれ少なかれ妥協が必要である事も納得している。

だが、多くの銘品を試してきた室伏さんをして、驚かざるを得なかった世界があったのである。それが、ビスポークという完璧なるフィッティング感。それは匠の技が実現した別次元の完成度だった。

「初めて足入れをした瞬間から、全く違和感がない事に驚きました。自分の足の外側に、もう一枚の皮が存在する感覚ですね」
曰く、「靴が僕の足を知っている」 人間が靴に合わせるのではなく、靴が足にそっと寄り添うような仕上がりなのだという。

「足首も、拍子抜けするほど自然に曲げる事ができます。私自身初めてのロングブーツなのですが、これなら歩く時に邪魔になる事はない」
制作者の白樫さんによると、その秘密は足首前方に設けられたマージンにあるらしい。絶妙なさじ加減の“空間”は、職人の腕の見せ所である。

「フィッティングや動きやすさ以外で特にこだわったのは“通気性”でした。快適に過ごせるのはもちろん、実はブーツの耐久性にも関わる問題なのです」と白樫さん。本来、ロングブーツは蒸れやすい履物だが、今回はソールを全面レザーにする事で、高い通気性を確保しているのだ。
「ラバーソールだとどうしてもインソールの劣化が著しい。そして、インソールが壊れてしまうと、修理困難となってしまうのです。その点、ソールで呼吸するレザーソールは寿命が長いですね。もちろん、新素材を否定する事はしませんが、やはりベーシックな素材が消える事はない。“革”にかわる物は登場しないのです」
足型に沿って完璧なフィッティングが施されたアッパー。快適性や歩き心地、靴自身の寿命に関わるソール。ブーツを形作る重要なパーツとして採用されているのは、今も変わらずレザーという事実がある。

そして、レザーを仕立て上げるのは、職人の経験と技、情熱なのだ。今回の作品を作り上げるのには、少なく見積もっても150時間が必要だったという。オーナーと対話を重ね、素材や道具と格闘、全身全霊で作り上げる。そうして完成した逸品に、魂が乗り移っても不思議はない。そもそもハンティングとは、命のやり取りである。その現場を支える道具自身こそ、魂の逸品であって欲しいと思うのだが、いかがだろうか?

フルハンドメイドのビスポーク靴ハンティングの本場、イギリスやヨーロッパで愛用されているハンティングブーツは、やはり“革製”が好まれる。それは、ファッション性ではなく、機能を追求した結果なのである。

フルハンドメイドのビスポーク靴 アウトサイドSkin Stitch
レッグ部分のアウトサイドは、スリットを入れて縫い合わせる。厚さ1.8㎜の革の裏面から針を指し、表面に貫通させず下0.2㎜の所を縫う神業をスキンステッチと呼ぶ。

フルハンドメイドのビスポーク靴 ホールHook
合計15個のホールの、上8個をフックにした。片足で計16個のフックを贅沢に使用する事で、高いホールド感を実現している。バックルと同じ真鍮製を採用。

フルハンドメイドのビスポーク靴 ヒールプレートHeel Plate
ヒールプレートと専用のネイルは、イギリスからわざわざ取り寄せた物。ヒールは、一体型のブロックではなく、革を一枚一枚積み上げているので、きめ細かな修理に対応可能だ。

フルハンドメイドのビスポーク靴 ソールLeather Sole
イギリスから取り寄せたオークバークを使用。非常に堅く、かつ滑りづらいのが特徴で、樫の木の渋を使ったベジタブルタンニンで仕上げられている。

フルハンドメイドのビスポーク靴 テンションSole Stitch
“コバ”は、職人の腕がもっとも現れる製作上のハイライト。ソールとウェルトを縫い付けるテンションに乱れがあると、水の侵入や劣化の原因となる。

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