東アジア最高峰・玉山を望む絶景と雲の上のキャンプ場

思いがけず台湾の伝統的なお祭りまで楽しんだところでキャンプ場を後にし、再び台湾を北上していきます。
そして次に訪れたのが、近年注目を集めている観光スポット「太平雲梯」です。
太平雲梯の最大の特徴は、なんといってもそのロケーション。
標高約1,000mの山間部に架けられた全長281mの吊り橋で、台湾観光署でも「台湾で最も標高の高い景観吊り橋」として紹介されています。
実際に橋の上に立ってみると視界を遮るものが少なく、眼下には山々と街並みが広がり、まさに“天空の吊り橋”と呼びたくなるような景色。
さらに気象条件が良ければ、雲海が橋のすぐ近くまで広がることもあるそうです。雲の上に浮かぶような吊り橋の姿は、ぜひ一度見てみたいものですね。
そして、もうひとつおすすめなのが夜の太平雲梯。
日が暮れると橋そのものがライトアップされ、眼下に広がる街の明かりと重なって、昼間とはまったく違った幻想的な景色を楽しめるそうです。
瑪南吾瑪芙露營區(台湾・南投県)

実は今回の台湾旅には、もうひとつ大きな目的がありました。
それは、東アジア最高峰、標高3,952mの「玉山」を眺めながらキャンプをすること。
日本には、富士山を眺めながらキャンプができる場所が静岡県や山梨県を中心にたくさんあります。
「だったら台湾にだって、玉山を眺めながらキャンプできる場所があるはずだ!」
安易な考えなのですが……日本でマップと睨めっこして探し出したのが南投県の山間の集落にある『瑪南吾瑪芙露營區』です。
後々調べてわかったのですが玉山はどこからでも見える日本の富士山とは違い、山間の奥の方に位置していて、かなり近づかないと玉山の全貌が見える場所はあまりないそうです。
今回訪れたキャンプ場のある信義郷という町は玉山登山の玄関口でもあり、玉山を含めて3000mの山々を眺める事ができる街としても有名なんだそうです。
玉山の麓・信義郷で叶える「絶景サイト」でのキャンプ


キャンプ場に到着してみると、ほとんどのサイトが全面芝生のオートサイトになっていて、想像していた以上に気持ちの良いキャンプ場です。
出迎えてくれたのは、女性のオーナーさん。もちろん日本語は通じませんが、ここでも翻訳機が大活躍。身振り手振りも交えながら、問題なく意思疎通することができました。
そして、何より気になるのが「玉山が見えるサイトはどこなのか?」ということ。
オーナーさんに聞いてみると、どうやらキャンプ場の一番上にあるサイトから玉山を眺めることができるとのこと。ただし、そこまで続く車道はかなり狭いらしく、「気をつけて行けば大丈夫!」とのことだったので、慎重に車を走らせながら向かってみることにしました。
そして一番上のサイトに到着すると、思い描いていた玉山が眺められる景色でした。
この場所だけは芝生ではなく砂利のサイトになっていますが、その分、周囲に視界を遮るものが少なく、空が大きく開けています。そして正面には、台湾の山々の向こうにそびえる玉山の雄大な山容。
「本当に玉山を眺めながらキャンプができる場所があった!」

下処理済みスーパー食材を活用した、蒸籠蒸し魚の簡単キャンプ飯

しばらく玉山の雄大な景色を眺めながらのんびり過ごしていると、当然のようにお腹が減ってきます。そこで、そろそろ夕飯の準備を始めることに。
キャンプ場へ来る途中に立ち寄ったスーパーで、美味しそうな魚を見つけて購入しておいたのですが、これがなかなか便利。パックを開けてみると、すでに鱗も内臓もきれいに処理されているではありませんか。
あとは調理するだけという状態なので、キャンプ飯にはもってこいです。
「日本のスーパーでも、こんな感じで売ってくれたら下処理の手間が省けて楽なのになぁ」なんて思いながら、さっそく調理開始。また蒸篭を使っての調理を開始。
蒸籠の底にレタスを敷き、その上に魚を丸ごとのせて、全体にまんべんなく塩胡椒。あとは蓋をして、じっくり蒸し上げるだけという実にシンプルな料理です。
ところが、これだけでも驚くほど美味しい!
蒸すことで魚の身はふっくらと仕上がり、余計な味付けをしていないからこそ、魚そのものの旨味もしっかり感じられます。
玉山を眺めながらの蒸篭料理、これは格別というほかありませんね!
雲の上の絶景キャンプ場「瑪那邦之星虫虫生態営地」で味わう至福のひととき
瑪那邦之星虫虫生態営地(台湾・苗栗県)

翌朝、「瑪南吾瑪芙露営区」を後にした筆者親子は、いよいよ台北方面へ向けて車を走らせます。
台湾滞在も残すところあと2日。
そして今回の台湾キャンプ旅、最後の宿泊地として選んだのが、苗栗県にある「瑪那邦之星虫虫生態営地」です。
ここは台湾でも屈指の人気を誇るキャンプ場で、台北から車で約2時間というアクセスの良さもあって、台湾人キャンパーからもかなり人気があるのだとか。
キャンプ場の名前に虫がありますが、夏ともなると夜に昆虫採集のワークショップも開催されるようで虫好きの台湾人の子供達も大喜びだそうです。


筆者も日本にいるときから予約を取ろうと管理人さんへ連絡していたのですが、なんと土日祝日は数か月先まで予約が埋まっているという人気ぶり。
「これは今回泊まるのは難しいかな……」と思っていたのですが、管理人さんとLINEでやり取りを続けていると、「平日で、スタッフが不在でもよければ大丈夫」とのこと。
もちろん、それでもまったく問題ありません!と返答。ということで、無事に予約を取ることができ、台湾キャンプ旅を締めくくる最後のキャンプ場として訪れることになりました。

「瑪那邦之星虫虫生態営地」があるのは、標高約1,000mの山の上。
麓の街を抜けると、道沿いにはいちご農園が何軒も連なっています。どうやらこの辺りはいちごの栽培が盛んな地域のようです。
そこからさらに車を走らせ、細い山道をぐんぐん登っていくと、ようやく今回の目的地「瑪那邦之星虫虫生態営地」に到着しました。
この日は管理人さんが不在だったため、到着したことをLINEで報告。
すると、どうやらキャンプ場に設置されたカメラで、筆者たちが到着したことはすでに確認していたようです。無人とはいえ、ひと安心。
さて、数か月先まで予約が埋まるという人気キャンプ場。一体どんな絶景が待っているのかと期待してサイトへ向かってみると……。
真っ白。あいにく、この日のキャンプ場は深い霧に包まれていました。
「あれ? 絶景は……?」
そんな言葉が頭をよぎりますが、ここは標高1,000mの山の上。山の天気が変わりやすいことは、筆者親子もよく知っています。
ここは焦らず、気長に待つことにしましょう。息子と二人、粛々とテントを張っていくことにしました。

テントとタープを張り終え、ようやくひと息ついた頃のこと。先ほどまで山々とキャンプサイトをすっぽり覆っていた霧が、少しずつ晴れ始めるではありませんか。
そして霧の向こうから姿を現したのが、この写真の絶景です。思わず言葉を失ってしまいました。
筆者はこれまで、日本はもちろん世界各地を旅しながら、数多くの絶景キャンプ場を訪れてきました。そんな筆者でも、「瑪那邦之星虫虫生態営地」から目の前に広がるこの景色には、しばらく見入ってしまうほど。
ついさっきまで真っ白な霧しか見えなかった場所に、幾重にも重なる山々と雲海が一気に姿を現したのです。
こういう景色に出会えるから、キャンプはやめられないんですよね。
しかも、このキャンプ場のサイトはちょうど西向き。夕方になると太陽がゆっくりと高度を下げ、やがて眼下に広がる雲海の中へと沈んでいきます。
山々を染めながら、雲海の向こうへ消えていく夕陽は本当に美しかったです。


夕陽が雲海の向こうへと沈んだ後も、絶景はまだ終わりません。太陽が姿を消すと、今度は空全体がマジックアワーの柔らかな光に包まれ、淡い紫色へとゆっくり変化していきました。
眼下には、どこまでも広がる雲海。考えてみれば当たり前のことなのですが、この雲海の下にある街では、きっと頭上を厚い雲に覆われた曇り空が広がっているはずです。
その一方で、標高約1,000mにいる筆者たちのキャンプサイトは雲の上。頭上には雲ひとつない空が広がり、目の前には夕陽の余韻に染まる雲海が広がっています。
同じ時間、同じ場所にいながら、標高が違うだけでこれほどまでに見える世界が変わるのか。そんな不思議さを感じながら、この場所でしか出会えない美しい景色に感謝しつつ、静かに台湾キャンプの最後の夜を迎えていくのでした。
親子海外キャンプの総括:台湾が初心者におすすめな理由

以上で、今回の台湾キャンプ旅は終了です。
台湾は日本からの距離も近く、日本に親しみを持って接してくれる方も多い場所。食文化をはじめ、日本人にとって馴染みやすい部分も多く、海外でありながら比較的旅がしやすい場所だと改めて感じました。
そして今回、実際にいくつものキャンプ場を巡ってみて感じたのは、「台湾は海外キャンプの最初の一歩として、とても楽しみやすい場所」だということ。
日本とは少し違ったキャンプ場の設備や過ごし方、その土地ならではの食文化、そして台湾の人たちとの交流。車を走らせれば、阿里山や玉山をはじめとした雄大な山岳風景や、雲海を望む絶景キャンプ場にも出会うことができます。
もちろん、言葉や交通事情など日本とは違う部分もあります。それでも、スマホの翻訳機能などを上手に使えば、現地の方々とコミュニケーションを取りながら十分にキャンプ旅を楽しむことができます。
さてさて次はどの国にキャンプをにしに行きましょうか!





