田舎のおばあちゃんの家へ?「田子路二之一露営区」と村の伝統祭り
田子路二之一露営区(台湾・高雄市)

阿里山の大自然と登山鉄道を満喫した後は、再び山道を下り、嘉義(かぎ)の街へ。途中、スーパーに立ち寄って今夜の食材を買い込み、次なるキャンプ場へと向かいます。
目指すのは、台湾のキャンパーから「どこか懐かしい気持ちになれる場所」と教えてもらった、高雄市にある「田子路二之一露営区」です。
このキャンプ場を営んでいるのは、登山が趣味だという女性オーナーさん。もともとは彼女のおばあちゃんが暮らしていた家とその庭を改装し、キャンプ場としてオープンしたのだそうです。
到着して、まずは受付のため管理棟へ。中に足を踏み入れてみると、その意味がすぐに分かりました。
昔ながらの建物や庭の雰囲気がそのまま残されていて、キャンプ場というよりも、まるで田舎のおばあちゃんの家へ遊びに来たような感覚。初めて訪れた場所なのに、なぜか昔から知っている場所のような懐かしさがあります。


そして、このキャンプ場で筆者が特に気に入ってしまったのが「台所」です。
海外のキャンプ場では比較的スタンダードなのですが、宿泊者なら誰でも自由に使えるオープンキッチンが用意されていることがよくあります。台湾も同様で、今回訪れたキャンプ場にはどこも自由に使える台所があり、冷蔵庫まで宿泊者に開放されていました。
なかでも「田子路二之一露営区」のキッチンは別格。
ピカピカに整備された高規格キャンプ場の炊事場とはまったく違い、昔ながらの調理器具や生活感のある空間がそのまま残されていて、まるでついさっきまでおばあちゃんがそこで料理をしていたかのような雰囲気なんです。
これが筆者の心に見事に刺さってしまいました。
「この台所、最高じゃないですか!」
なぜかテンション爆上がりで大絶賛する筆者。一方の女性オーナーさんは、そんなに褒められるとは思っていなかったのか、ちょっと恥ずかしそうにしていました(笑)。


「おばあちゃんが暮らしていた家と庭をキャンプ場にした」と聞くと、それほど大きな場所ではないのかな?と思ってしまいますが、実際にサイトへ出てみると、その広さにびっくり。
“庭”と呼ぶにはかなり広大な敷地が広がっています。
筆者たちがチェックインしたのは比較的遅い時間だったのですが、この日はちょうど土曜日ということもあってか、キャンプ場はほぼ満員。すでに10数組の家族やグループがテントを張り、それぞれに週末のキャンプを楽しんでいました。
これだけ広い庭があれば、「ここをキャンプ場にしてみよう」と考えたオーナーさんにも納得です。
さて、テントを張ったらお待ちかねの夕食。
この日もスーパーで購入してきた小籠包を、台北で手に入れた蒸籠で蒸していただくことにしました。そしてもう一品は、筆者の大好物である豆苗炒めを食べる事に。
偶然出会った大迫力!村の伝統的な「宋江陣」のお祭り体験

翌朝、女性オーナーさんから思いがけないひと言が。
「今日はこの村で、最近では一番大きなお祭りがあるので、午前中は車を出せなくなりますよ」
どうやらキャンプ場周辺の道路も、お祭りの影響で通行が難しくなるとのこと。
しかし、それを聞いて困るどころか、逆にそのお祭りが気になってしまう筆者。
聞けば、キャンプ場から歩いて会場まで行けるとのこと。予定にはまったくなかったのですが、これも旅先での偶然の出会いです。
ということで、予定を少し変更して、息子と一緒に村のお祭りへ向かってみることにしました。



この村に入ったときはあまり民家というものはなく、人が住んでいるのか疑問でしたが、会場に行くとわんさか村人が集まっています。
会場には膨大な数のお供物がずらりと並べられ、聞けば、このあと神様を迎える行列がやってくるのだそうです。辺りを見渡してみると、伝統的な衣装に身を包んだ村人の姿もちらほら。
そんな中、筆者の目を釘付けにしたご老人がいました。
その姿を見た瞬間、頭に浮かんだのは、昔懐かしい映画『霊幻道士』。
「キョンシーみたいな格好をしている!」
あまりにも気になってしまい、思わず一緒に記念撮影をお願いすると、快く応じてくれました。
ところが後から聞いてみると、もちろんキョンシーとはまったく関係ありません(笑)。
キョンシーといえば中国の伝承などに登場する死者・妖怪のイメージですが、このご老人は神様の行列を先導する大切な役目を担っているのだそうです。
神聖な役目の方を見て「キョンシーだ!」なんて思ってしまい、大変失礼いたしました(笑)。


目を凝らしてみると、ものすごい数の人たちが大行列となって、こちらへ向かってくるではありませんか。
しかも、ただ歩いてくるだけではありません。
道の両側に仕掛けられた爆竹を次々と鳴らしながら、ものすごい音と勢いで突き進んできます。辺りには「バババババッ!」という爆竹の轟音が響き渡り、煙が立ち込め、その中を大勢の人たちが進んでくる光景はとにかく圧巻。
それにしても驚いたのが、その人の多さです。
行列の中には華やかな衣装に身を包んだ人たちの姿もあり、さらに龍を模した大きな飾り物まで登場。爆竹の音、色鮮やかな衣装、大勢の人々が入り乱れる光景は、まさに中華圏のお祭りといった迫力です。
そこへキャンプ場のオーナーである陳さんも合流。筆者たちだけでは分からないお祭りの意味や内容を、ひとつひとつ教えてくれました。
そして陳さんによると、この地域に伝わる伝統的な「宋江陣(そうこうじん)」なのだそう。キャンプ場で朝を迎えたときには、まさかこんな光景に出会えるとは思ってもいませんでした。
