キャンプで実際に火熾ししてみた

ガチなマルチツールと比べると機能数は少なめですが、あまりに多くの機能はキャンプでは持て余すことも……。目的を火熾しに絞ったことで、逆にキャンプ向きではないかと感じました。
それではキャンプで実際に火熾しをしてみましょう。
ティンダーグレーターで火口を削り出す!

まずは本製品のいちばんの個性であるティンダーグレーターを使ってみましょう。おろし金のような構造で木の表面を削り、木くずを生み出します。

なるほど、これはいい機能ですね。ブッシュクラフトではナイフの背を使って木くずをつくるテクニックがありますが、それよりもスマートに、効率よく行えました。
ナイフでフェザーを

次はナイフでフェザーをつくってみます。ブレードはナイフによく使われる420HCステンレスで、数ある機能のひとつだからといって手を抜いた仕様ではありません。

バトニング済みの細い薪を使って、何本かフェザースティックをつくってみました。
使用感としては……そんなに優秀ではないかもしれません。切れ味は決して悪くないんですが、ボディサイズのわりにブレードが小さくて薄くて違和感があり、かつ若干グラつくんですよね。

結果として良質なフェザースティックを生み出すことはできませんでした。ただし細かなフェザー自体はできたので、使い物にならなかったわけではありません。
スパークホイールで火花を

それではさきほどつくった木くずに、スパークホイールで着火しましょう。木くずに火が点いたら、フェザーに燃え移らせる作戦です。
さあ、はりきって火を熾しましょう!

……ダメでした。何度も何度もチャレンジしたんですが、着火できませんでした。スパークホイールによる火花はメタルマッチに比べて射程距離が短く、木くずに向かっていく感じがしないんですよね。
とはいえ木くずへの着火は薪の乾燥状態も関係し、メタルマッチでもうまくいかないことがあります。それに本製品には、着火をアシストする機能がまだ控えています!
パラコードの中に…


一見してただの飾りのように見えるパラコードですが、冒頭でも触れたように着火剤として使うことができます。
必要な分だけほどいて切り取り……。

赤い紐をひっぱり出してほぐせば、心強い火口に。
この赤い紐自体の素材はわかりませんが、蝋(ろう)が染み込んでいました。
ファイアパラコードに着火!

スパークホイールで火花を当て、見事に着火成功!
簡単だったかと言われるとそうでもなく、やはり火花の射程が短くて苦労しました。そしてあっという間に燃え尽きてしまい、ナイフでつくったフェザーに炎を移すことができず……。
ケチっちゃダメみたいですね。もっと長めに赤い紐を取り出して、再チャレンジしましょう。

赤い紐をたっぷりとほぐしたことで、今度は大きめの炎が誕生!
あとはフェザーをひょいひょいと乗せていけば大丈夫……と思いきや、またもや燃え移すことに失敗しました。フェザーの出来の悪さもあると思いますが、何か根本的に間違っているのかもしれません。

考えてみたら、赤い紐は蝋を染み込ませてあります。たとえ細かくほぐしてやらなくても、火が点いてしまえば燃え続けるはずです。
ということで着火させる部分と、ある程度は長く燃え続ける部分とに役割分担分させることに……。

作戦は功を奏し、3度目の挑戦で火を熾すことに成功。「ファイアパラコードは一部分だけほぐせばOK」……それがコツでした。
正直なところ四苦八苦でした

筆者の勘の悪さもあり、今回の火熾しは楽なものではありませんでした。正直な感想を言えば、四苦八苦といったところ。
次はもっとスムーズにできると思いますが、試行錯誤の末、すでにファイアパラコードを使い切っています。別途ファイアパラコードを購入し、スネークノットで編んで本製品に取り付けておくのがスマートですが、麻紐で代用することもできそうですね。

試しに麻紐でやってみると、問題なく火熾しできました。
ただし燃えやすいフェザースティックをつくったのは、本製品のナイフではなく使い慣れたモーラナイフ。そしてスパークホイールを回しながら、できればメタルマッチを使いたいと思ってしまったのは事実です。
火熾しに使わなかったツールたち
火熾しに使わなかったツールもざっと紹介しておきましょう。別の機会に「マイナスドライバー兼ボトルオープナー」と「ノコギリ」を実際に使ってみました。
何かと使えそうな「マイナスドライバー兼ボトルオープナー」

先端の平べったい部分は、マイナスドライバーよりも缶オープナーとして活躍しそう。そもそもアウトドアでドライバーが必要なシーンはそんなにないので、何かをこじ開ける用途で役立つと思います。
またボトルオープナーとしても問題なく使えました。専用品の栓抜きに比べると使いやすくはありませんが、マルチツールの栓抜き機能はこんなもんでしょう。
意外と快適に切れる「ノコギリ」

1.2cmほどの枝を切ってみたところ、思いのほか使いやすかったです。今回の火熾しではキャンプ場で購入した薪を使いましたが、小枝を拾って焚き火をする場合には重宝すると思います。
ある程度切れ込みを入れて、そこを支点にポキッと折る使い方が現実的ですね。
気になったところは?
マルチツールとしての精度が…

ナイフでフェザーをつくった際にも言及しましたが、折りたたまれた3つのツールは使用時にグラつきます。「グラつく」という表現はやや強すぎるかもしれませんが、ガシッと固定されている感が乏しいのは確か。
それが気になるかどうかは力を込める方向にもよるので、ノコギリの場合はそんなに気にならないものの、ナイフで何かを削る際には看過できませんでした。

あとはツールを取り出すときに、他のツールも付いてきてしまうんですよね。収納状態と展開状態とをバネで固定する仕組みなんですが、移行中は3ツールがゆるゆるになり、そのため意図しないツールが顔を出してきます。
そもそもツールを取り出しやすいということはなく、地味にストレスでした。
フリントは替えられる?

消耗品であるフリント(発火石)は、ホイールごと力を込めて引き抜けば交換できます。
……と知ってしまえば何てことのない話ですが、本製品には説明書がなく、パッケージにツールの種類が書いてある程度。交換方法はアメリカ人のYouTube動画を漁って探しました。解決はしましたが、なんだかモヤッとします。
コレクターズアイテムとしては、アリ

本製品は、あのZippoが手がけた珍しいマルチツール。火熾しを目的にしているユニークさもあり、なんというか存在自体がかっこいアイテムです。
しかしながら「ライターやトーチを使わずに火を熾してみたい」という人に勧めるのは難しいですね。決して簡単に火熾しできる製品ではないので、恨まれる可能性が……。

しかし「Zippo」の文字が刻まれたボディに、強い魅力を感じる人は少なくないでしょう。筆者もその一人であり、所有すること自体にそこそこの満足度があります。
コレクターズアイテムとして割り切るのなら、「アリ」なアイテムではないでしょうか。
Zippo マルチ着火ツール
| サイズ | 28mm×87mm×18mm |
|---|---|
| 重さ | 104g |



