クフ王の内部、想像以上にハード
内部は思った以上に狭く、階段状の回廊は屈まないと進めないほど低い造りです。屈みながら階段を登るのはなかなか骨が折れますが、とにかく前へ前へと進んでいきます。
やがて階段を抜けると、視界が一気に開け、広々とした大回廊が姿を現します。その大回廊をさらに登り切ると、ついに石室のある「王の間」へ到着。

中に足を踏み入れると、天井は高く、奥には重厚な石棺が静かに鎮座し、室内全体が荘厳な空気に包まれています。ですが、ふと視線をやると、奥に日本製の空気清浄機がちょこんと置かれていて、なんとも滑稽な光景。そこは見なかったことにしておきましょう(笑)。
ちなみに、クフ王の「王の間」にある石棺については、「もともと墓ではなかった」という説もあるようですが、真相は果たしてどうなのでしょうか。
エジプトアウトドアショップへ?

海外でキャンプをする際、筆者がまず最初に行うのは燃料の確保です。筆者は海外キャンプにはCB缶専用のガスバーナーを持参しているため、まずはCB缶を探しにカイロ市内のアウトドアショップへ(地図)向かいました。
お店の探し方は意外とシンプルで、Googleマップを開き、現地語で「キャンプ用品店」と検索するだけ。このときはアラビア語で検索してみたところ、いくつか店舗がヒットしたので、その中から良さそうなお店を選び、車で向かうことにしました。
さて、エジプトのアウトドアショップとは一体どんな雰囲気なのでしょうか。
エジプトのキャンプ用品店、想像と違いすぎる



お店の中へ足を踏み入れた瞬間、ふと「なんか違うぞ」という妙な違和感に襲われました。
「あれ? ここ、本当にキャンプ用品店?」
入口からすぐ目に飛び込んできたのは、砂漠でお茶を飲むための小さなテーブルや、棚いっぱいに並んだ大量のヤカン。最初は「お茶道具屋さん?」と思ってしまったほどです。
しかし、ここはアラブの国・エジプト。ムスリムの方々はお酒を飲まないため、お茶文化が非常に発達しています。どうやらここは、砂漠で家族や友人とお茶を楽しむための道具を扱うお店らしく、広義で言えばこれも立派なアウトドア用品店というわけです。
とはいえ火器類もきちんと揃っており、ガスバーナーやマルチグリドル風の鉄板なども販売されていました。そして肝心のCB缶も無事に発見。目的はしっかり果たせました。
エジプトのキャンプ場へ
Wadi Camp(エジプト・カイロ)

燃料と食料の調達を済ませたら、いよいよエジプトでの初キャンプです。日本にいる頃から目をつけていた、カイロ近郊のキャンプ場へ向かいます。
目的地は、カイロ中心部から車で約30分ほどの場所にある 「Wadi Camp」(ワディキャンプ)(地図)。ワディ・ネグラ保護区内にあり、入場料は1人25エジプトポンド、車1台につき10エジプトポンド。まずは入場ゲートで料金を支払い、そのまま車を進めていきます。
管理されていない“自由すぎるキャンプ場”

中に入ると、中央に一本の車道が走り、その両脇には荒涼とした砂岩の山々が奥深くまで連なっています。地図上ではキャンプ場が点在しているように見えるものの、実際には管理されているのかどうか判然としない場所も多く、少々不安を感じる状況です。
道路は舗装されていないため、慎重に車を進めていきます。基本的にはどこでキャンプをしても問題ないようですが、トイレなどの設備を考えると、どうしても施設の利用が必要になってきます。
マップ上にはいくつかキャンプ場が表示されているので、事前に気になる場所へ連絡を取ってみると安心でしょう。

車を走らせることおよそ15分。キャンプに適した場所を探しながら進みます。敷地の低い場所よりも、少し高台に登ったほうが景色を見渡せそうだと感じ、車で行けるところまで登ることにしました。
そこからはザックや荷物を背負い、小高い丘へと歩いて向かいます。丘の上に立つと、目の前には思わず息をのむような素晴らしい景観が広がっていました。その一瞬でこの場所が気に入り、ここを今夜のキャンプ地に決定。
さっそく息子と二人で、テント設営を始めます。
砂漠でテント設営、気温差に驚く

今回、日本から持参したテントは「GOLITE SHANGRI-LA 3」。黄色いカラーに加え、そのフォルムもどこかピラミッドを思わせ、エジプトの風景によく馴染みます。
テントを張り終えると、広大な敷地を親子二人で散歩することにしました。日中は気温が35℃にも達し、日本より湿度は低いものの、それでも暑さはかなり堪えます。しかし、陽が傾き夕方を迎える頃には、次第に過ごしやすい気温へと変わっていきました。
目の前には山があり、よく見ると登っても問題なさそうな道が続いています。せっかくなので、その山に登ってみることにしました。

山頂まで登り切ると、そこには想像以上に広大な平原が広がっていました。視線を遠くへ向けると、かすかにカイロの街並みが見え、荒涼とした自然の中に人の営みを感じさせます。

山を下りていくと、周囲には薪のような木片が所々に落ちているのに気づきました。さらに見渡すと、あちこちに直火で焚き火をした跡も残っています。事前に禁止事項ではないことを確認したうえで、周囲から石を拾い集め、直火の焚き火の準備を始めました。
太陽が完全に沈むと、日本の夏とは違って湿度がほとんどないため、思いのほか涼しく感じられます。暑すぎる環境では焚き火をしない筆者ですが、この心地よい気候に後押しされ、ここぞとばかりに焚き火を楽しむことにしました。

同時に夕食の準備も進めます。エジプトのスーパーで購入した串焼きをマルチグリドルで焼き、同じく手に入れた米を炊飯。串焼きをおかずに、シンプルながら満足感のある夕食をとることにしました。ちなみに日本からのりたまを持参。
カイロ近郊とは思えない静寂と星空

ピラミッド観光を存分に楽しみ、アウトドアショップやスーパーにも立ち寄り、キャンプ地に辿り着くまでの行程を無事に終えることができました。車の運転やエジプト特有の交通事情にはかなり翻弄されましたが、ようやく心を落ち着ける時間が訪れます。
夕食をとりながら、息子と二人で今日一日の出来事を振り返りました。エジプトでキャンプをするという体験は、ほとんど誰も味わったことのないものですが、息子にとってはきっと一生心に残る貴重な思い出になったはずです。
夜空を見上げると、カイロという大都市の近くにもかかわらず、月と星々が静かに輝いていました。シャワー設備はないため、夕食後はそのままテントへ。日本から持参した夏用の寝袋を広げ、上から軽く掛けて、この日は静かに眠りにつきました。
現地キャンパーとの出会いと、アラブ式朝食
早朝4時頃になると、辺りが徐々に白み始め、テントの中もやわらかな光に包まれます。時差ぼけの影響もあってか、6時前には息子と一緒に起床しました。まだ太陽が昇らない荒涼とした砂岩地帯を、二人で朝の散歩に出かけます。
すると、同じ場所でキャンプをしていた若いエジプト人二人に声をかけられました。私たちが日本人だと分かると、どうやらアニメ好きらしく、日本のアニメについて熱心に褒めてくれます。日本のアニメが世界中で親しまれていることは知っていましたが、こんな場所で話題に上ると、あらためてその影響力を実感します。

テントに戻ると朝食の準備です。スーパーで購入したピタパン、クリームチーズ、トマト、オリーブ、ピクルスを並べ、アラブ風の朝食にしてみました。キャンプ中はどうしても栄養が偏りがちなので、野菜をしっかり摂ることは大切です。ピクルスは息子が悲鳴を上げながら食べていましたが(笑)。
さて、今回のエジプト・キャンプ旅(前編)はいかがでしたでしょうか。エジプトでキャンプをする機会はなかなかありませんが、少しでも参考になれば幸いです。
次回はいよいよ後編。舞台は砂漠地帯でのキャンプです。「砂漠でキャンプなんて危険なのでは?」と思われるかもしれませんが、実際は想像以上に毎日が絶景の連続で、日本では決して味わえない特別な体験でした。その様子を中心に、次回ご紹介していきます。



