SAM:やっぱり日本のキャンプ道具は最小の「個」に近しい単位にチューニングがされていますよね。ファイアサークルとかキャンプファイアってチューニングされる前の西欧文化スタイル。
焚き火台ってコタツ的な意味合いが日本のスタイルにぴったり合ったと思うのです。「焚き火を囲む」なんてまるで「コタツを囲む」とやってることが一緒。
oki:囲炉裏テーブルはその発展系ですな。
SAM:そうそう。今は焚き火台のギア感が重視されているように思います。造形やそれに儀式としての。これは変な例えなのですが「○○道」的な。華道の花瓶、茶道の茶器とか、焚き火台もそういう儀式の大事な道具に昇華したんじゃないでしょうか?焚き火台を使いたいから焚き火をするという人も多いのでは?
oki:そこまで落とし込みますか(笑)。そういう意味でも焚き火台レボリューションは、ユニフレームの「ネイチャーストーブ」(1997年発売)でしょうね。
SAM:お、その話行っていいですか?(笑)
oki:だってSAMさんが茶器的存在とか、個とか言うから(笑)。ネイチャーストーブが出て、焚き火の役割や存在が大きく変わってきましたよね。
スノーピークvs.ユニフレーム。そして焚き火台レボリューション
oki:日本で最初に焚き火台をリリースしたのは、1996年にスノーピークとユニフレームの2社かもしれません。
SAM:ネイチャーストーブが出る前にね、ユニフレームは「ファイアスタンド」(1996年発売)という火床クルクルの焚き火台があって、これが画期的だった。その後「ファイアグリル」(1998年発売)が出て、スノーピークの焚き火台と人気が二分化。
お金のあるなしで選ぶこともあったかもしれないけど(笑)、それぞれの長所短所で好き嫌いが分かれていましたね。あと、誰かがスノーピーク持っていたら、そうじゃない人はユニフレームを買い……みたいにバランスとっていた感じ(笑)。
oki:そういえば前にユニフレームのTさんに聞いたんだけど、20年くらい前はユニフレームとスノーピークって同時期に新製品展示会やっていたんですって。
それで1995年に行われた展示会(1996年新モデル発表会)を見に行ったバイヤーさんが、各展示会場で焚き火台があったぞと。ユニフレームは焚き火台「ファイアスタンド」、スノーピークは「焚火台」を同じタイミングで発表していて驚いたそうな。
そんな昔からあるこの2製品が今も人気ってすごい。
SAM:この2つがいまだに評価が変わらないのは実に立派。で、これらの焚き火台が重宝されたのは、多目的に使える“マルチピット”だったからです。バーべキューも焚き火もしたいけど2つの道具を持っていきたくない。炭でも薪でも使えるマルチピット。