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鉄製イノシシ型薪ストーブ

ニッポンのブランド『浅見鉄工』:飯能で作られた、鉄製イノシシ型薪ストーブ

雑誌「HUNT」とのコラボレーション企画第12回。Vol.14は「ニッポンのブランド」ということで、発売と同時にこちら飯能市にある『浅見鉄工』を取材された記事を掲載。名物オジサンが作る、どこか可愛らしいイノシシストーブにフォーカスします。

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生木も燃やせる鉄製のイノシシ

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キャンプ用薪ストーブ。持ち運び可能な、小型のキャンプストーブはこの秋お客さんのオーダーから生まれた新商品。奥川のサイドに取り付けられた網上の棚は取り外し可能で、炉内に入れればオーブンとして使用できるアイディア商品。

飯能市内と秩父を結ぶ国道299号線を走っていると、道路わきに何やらイノシシの形を模した鉄の塊が幾つも並んでいるのが見えてくる。

この地で16年続く浅見鉄工は、薪ストーブを主力商品にしている町の鉄工所。代表の浅見照雄さんはこのあたりの名物オジサンで、その大柄な体格とは裏腹にいつも笑顔で笑っている。そのユニークな性格は、同社の製品を見るだけでもお分かりいただけるだろう。ズングリとしたボディに脚が4本。そしてニュッと伸びた牙。そう、浅見鉄工の薪ストーブはイノシシの形を模したものだ。

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いつも笑顔の浅見さん。傍らにあるのはオーブン機能を付けたイノシシストーブで、気軽に美味しいピザが焼ける人気商品。

「何をするときでも遊び心を忘れない。それが私のポリシー。ストーブは暖かい時間をくれるものなんでね、こういうデザインの方がみんな楽しいし愛着が沸くじゃないですか」

浅見さんはそう言って皆まで語らないが、イノシシストーブはただ可愛らしいだけでなく、その形状にもしっかりとした意味がある。まずはそのボディ。イノシシで言う胴体部分は鉄板で四方を固めたもの。シンプルな構造であることに加え、分厚い鉄板を使用しているので、鋳物のストーブでは煤が出て高温で燃えることから敬遠されている針葉樹も、気にすることなく使用できる。そして顔にあたる扉は開口部が広く、大きな薪をそのままくべる事を可能に。

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火を付けていた薪ストーブの中を見ると、わざと灰を溜めたままにしており、薪は熾火の状態で静かに燃えていた。仕事終わりに燃えている薪に灰をかけておくと、翌朝まだ火種がいきているというから灰というのは凄い。

目は空気を送る量の調整、牙は扉を開けた時のストッパーの役割を担っている。そして、このストーブが誕生するきっかけとなったディティールにして最大の特徴。それは顎にあたる部分。この少しの傾斜があることにより、炉内に灰が溜まり、囲炉裏のような熾火をつくることを可能にしている。熾火が作れさえすれば、太い木や乾かしていない生木も燃やすことができるのである。

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防災型薪ストーブ。天面にかまどがついた、災害時にも使えるカエルストーブ。かまどを外して専用の鉄板を置くことでバーベキューや炒め物の料理も可能。浅見さんは東日本大震災時、薪ストーブをもって被災地に駆け付けた。生木や濡木でも薪として使える浅見鉄工のストーブは、瓦礫であふれる被災地において有効な暖房になると確信し、食事も作れる防災型薪ストーブを作り上げた。
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工場の隣はストーブのショールームとなっており常時20台以上のストーブを展示販売。小さいもので3万円~、大型のものは10万円~販売している。

そもそもなぜ浅見さんはストーブを作ったのか。その理由は自身が生まれ育った飯能の環境にあるという。「昔は石炭のストーブというのがあったんですが、秩父では石炭が取れなくて。その代わりに山に行けばいくらでも薪はありました。秩父には間伐材が沢山あって、捨てられる部分もあるんです。それを有効活用できればと思って、なんでも燃やせるこのストーブを作ったんです」

気さくな名物オジサンとチャーミングなストーブは地元の人々の心と体を今日も温めている。

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ボディの溶接は強度を増すため、接合部に鉄をもって、滑らかに仕上げる。「安心で安全な商品というのは絶対。角も滑らかになるまで磨くんです」

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オーブン付きの薪ストーブは改良を重ねて現在に至る。小窓や温度計がついて、調理しやすいのもポイント。コチラのタイプは15万円~。
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クリスマスの時期に合わせて作ったというスペシャルな一台。焚き口が2つあり、皆で楽しく暖をとれるのだという。

【浅見鉄工】
address:飯能市長沢馬場69-1
tel:042-978-0613
営業時間:9:00~16:00
定休日:水曜日
http://www.asamitekkou.jp/

photo:Makoto Yamada text:Junpei Suzuki

HUNTvol.14の特集は「ニッポンのブランド」。このイノシシストーブの記事以外にも様々なブランドを取材しています!