ジャングルでのキャンプを諦めてラナウへ戻る
スコールの影響で急遽予定変更、安全第一の判断

朝起きると、本日宿泊予定だったキャンプ場から一通のメールが届いていました。
内容を確認すると、連日のスコールの影響でキャンプ場が浸水し、宿泊が難しいためキャンセルしたいとの連絡でした。
昆虫好きな息子とともに楽しみにしていたジャングルでのキャンプでしたが、管理人さんからのご連絡であれば致し方ありません。今回は残念ながら断念することにしました。

困ったのはその後でした。
本来であれば、キナバタンガンや、熱帯ジャングル地帯として知られるダヌムバレー保護区、さらには、海の民が暮らすセンポルナまで足を延ばすことも考えていました。しかし、その先のエリアにはセンポルナまでキャンプ場と呼べるような施設がほとんどなく、加えてジャングル地帯が水没している可能性もあるため、予定を大幅に変更し、コタキナバル方面へ引き返すことにしました。
楽しみにしていた分、残念な気持ちは正直ありますが、ここは慣れない海外での旅。安全を第一に考え、今回の経験を次回の楽しみに取っておくことにします。
南国の秘湯「ポーリン温泉」でほっこり体験

サンダカンから車で約4時間、再びラナウへと戻ってきました。
実はキナバル山を登ったあとに訪れたかった温泉があったのですが、当初は時間の都合で諦めていた場所でした。しかし、今回予定を変更したことで立ち寄ることができたのです。
日本軍が開発した歴史ある温泉をマレーシアで満喫
その温泉が「ポーリン温泉」。キナバル公園のすぐ近くにあり、第二次世界大戦中に旧日本軍によって源泉が開発された歴史を持ちます。温泉好きの日本人の執念ともいえる開発力には驚かされますが、その後はマレーシアの人々によって、レクリエーション施設なども整備され、今では観光客にも親しまれるスポットとなっています。
入場料は外国人の場合、大人が50RM(約1,400円)、子どもが25RM(約700円)。温泉のオープンバスタブは、国籍問わず10RM(約300円)で利用でき、気軽に立ち寄れるのも魅力です。


オープンバスタブの料金を支払うと、一つの湯船が提供され、お風呂の栓も一緒に渡されます。あとは自分で好きなだけお湯を貯めるだけ。湯船にはお湯と水の蛇口がそれぞれ付いているので、好みの温度に調整することもできます。
海外では基本的にシャワー文化が主流なので、こうして湯船にゆっくり浸かれるのは本当に癒されます。お風呂好きなのは日本人特有の文化かもしれませんが、それでも「世界中に日帰り温泉施設がもっとあればいいのに」と思わずにはいられません。笑
キャノピーウォークで熱帯雨林を歩くスリル体験

ポーリン温泉には滝や洞窟へのトレッキングコース、バタフライパークなど見どころがいくつもありますが、その中でも気軽に楽しめて印象に残ったのが、キャノピーウォークです。
高さは最大で約41〜43メートルにもなり、熱帯雨林の樹冠を間近に感じながら歩くことができます。料金は大人 RM 10(約300円)、子ども RM 8(約250円)とお手頃です。

「吊り橋なら日本にもあるし、大して変わらないだろう」と思っていたのですが、これが大間違い。実際に歩いてみると、橋は意外と揺れるうえに幅も狭く、なかなかスリルのある体験でした。でも、耳慣れない鳥のさえずりや見たことのない昆虫との出会いもあり、自然好きな私たち親子にとっては大満足のアクティビティとなりました。
星空・絶景・静けさ…すべてがそろう“雲上キャンプ場”へ!
標高高く絶景が広がる『ソソディコン・キャンプサイト』

ポーリン温泉でのんびりくつろいでいたら、気づけばもう夕方の4時を過ぎていました。急いで温泉近くの山の方へ向かい、次の宿泊地であるキャンプ場へ移動します。
今夜の宿は、標高が高く、山々の絶景が望めるソソディコン・キャンプサイト。今回は直前にWhatsAppで連絡を取ってみたところ、空きがあり泊まれるとのことで、運よく宿泊が叶いました。

キャンプ場に到着したのは、すでに夕方5時。管理人さんの滞在時間がちょうど5時までだったので、本当にギリギリのタイミングでした。迎えてくれたのは感じの良い若いお兄さんで、サイトの使い方やトイレの場所などを丁寧に説明してくれました。
そして、目の前に広がる景色は想像をはるかに超える絶景。わざわざここまで来た甲斐があると、心から思える風景でした。
今回のように急な予定変更でも、あらかじめ「行ってみたい」と思ったキャンプ場をGoogleマップなどで日本にいるうちからチェックしておくと、いざという時に役立つかもしれません。


キャンプ場の近くには「ソソディコンヒルズ」への登頂コースがあり、距離は約400メートル、所要時間は10〜15分ほどのゆるやかなハイキングです。年齢を問わず気軽に登れる手軽さが魅力で、頂上からは素晴らしい展望が広がります。丘の上からは周囲の山々やキナバル山の雄大な姿を望むこともできます。
地域協同組合が守る自然と観光の共存モデル
これほどの絶景を楽しめるキャンプ場ですが、料金は非常にリーズナブルで、1人20RM(約600円)です。運営は地元の協同組合「KOPSODIK」によって行われており、地域の自然や文化資源を守りながら観光の活性化に努めています。
気軽に自然と絶景を満喫できる魅力的なキャンプ場であり、夜が快晴であれば満天の星空も楽しめるでしょう。
人がいなくなる夕方からが本番!チャーターで行く無人島キャンプ
サピ島で叶える“手軽な無人島キャンプ”体験

ソソディコン・キャンプサイトでの1泊を終え、車で約2時間かけてコタキナバルの街へ戻ってきました。市内のショッピングモールで食材などを調達し、いよいよ本日のキャンプ地へと向かいます。
今回の目的地は、なんと「海外の無人島」。“海外で無人島キャンプ”そんな言葉を聞いただけで、冒険心がくすぐられる方も多いのではないでしょうか。まさに夢のような非日常体験が、これから始まります。
コタキナバルは海沿いに位置し、沖合には大小さまざまな島々が点在しています。そして驚くことに、これらの島の多くが観光スポットとして整備されており、公園使用料とキャンプ料金を支払えば、テントを張って宿泊することも可能。気軽に“無人島キャンプ”が楽しめるのです。
フェリー乗り場は「Jesselton Point Ferry Terminal」。

レンタカーは隣接するショッピングモールの駐車場に停めることができました。期待に胸を膨らませ、意気揚々とカウンターへ向かったのですが、なんと、カウンターには誰もおらず、まさかのクローズ!
事前の情報では、朝から夕方まで定期船が運航していると書かれていたため、一瞬何が起きているのか分かりませんでした。後でわかったのは、午前中は島行きの便が出ており、午後は島から戻る便しか運航していないということ。到着した時点では、すでに島へ向かう定期船は終了していたのです。
どうしようかと途方に暮れていると、船会社のスタッフらしき男性が声をかけてきました。
スタッフ:「島に渡りたいの?定期船はもう無いけど、チャーター船なら出せるよ。」
筆者:「ぜ、ぜひお願いします!」
スタッフ:「往復で200RM(約6,000円)だけど、それでいい?」
チャーター船なので多少高くなるのは覚悟していましたし、マレーシア旅最後のキャンプでもあったので、迷わずお願いすることにしました。とはいえ、チャーターであれば出発・帰港の時間も自由に設定できるため、人数が多ければむしろお得。家族やグループでの利用なら、十分に“アリ”だと感じました。
チャーター船で渡る南国の海、親子だけの島時間

キャンプ道具と食材を背負い、息子と2人でチャーター船に乗り込みます。乗客は私たちだけ。船はモーターボートタイプで、いざ出航すると、そのスピードに思わず驚かされます。
「これはもう船というより、海の上を飛んでるんじゃないか?」と思うほどの疾走感。体感では時速80キロ近く出ていたかもしれません(笑)。

船上からふと海辺に目をやると、海の上に建てられた家々が並んでいるのが見えました。
マレーシアや東南アジアでは“海の遊牧民”とも呼ばれる「パジャウ族」の人々が、海の上で暮らしている様子が見えます。家々には水道管や電線も通っているようで、生活には全く困らないようです。

船に揺られることわずか10分ほどで、目的地であるサピ島に到着。目の前には、まさに絵に描いたような南の島の風景が広がっていました。
ビーチでは水着姿の観光客がのんびり過ごし、ライトブルーに輝く海がまばゆく光っています。これから始まる“無人島キャンプ”に、胸が高鳴ります。
実は家族連れにもぴったりのスポットだった

サピ島の入り口では、まず入島料として大人20RM(約600円)、子ども15RM(約450円)を支払います。キャンプをする場合は、さらにキャンプ場使用料も必要ですが、これがまた驚くほどリーズナブル。大人5RM(約150円)、子ども2RM(約60円)と、気軽に利用できる価格です。
現地ではテントのレンタルも可能で、4人用のテントが1泊30RM(約900円)で借りられるのも嬉しいポイント。夜になると観光客は全員帰ってしまい、島は無人状態になるため、食材や飲み物など必要なものはあらかじめ購入し、島に渡る前に持ち込んでおくのがおすすめです。
キャンプ地としてのサピ・アイランドでは、特に区画は決まっておらず、テントは自分で好きな場所に張ってよいスタイル。波の音を聞きながら、南の島で自由気ままなキャンプを楽しむことができます。


テントを設営し終えたら、いよいよビーチアクティビティのスタートです。シュノーケル、フィン、ライフジャケットをレンタルすれば、あとは目の前の海に飛び込むだけ。手軽に透明度の高い海を楽しむことができます。
ビーチにはライフガードが常駐しており、沖に流されないようロープもしっかりと張られているので、小さな子どもでも安心して泳ぐことができます。
“無人島”とはいえ、サピ島にはトイレやシャワー設備も完備されているため、快適に過ごせるのも嬉しいポイントです。安全性と自然の魅力が両立した、家族連れにもぴったりのキャンプ体験がここにはあります。
夕暮れと朝焼け、二つの絶景が心に残る


一通り息子と海で思いきり遊んだあとは、日が傾くにつれて観光客の姿も少なくなり、夕方を過ぎるころには島は私たちだけの“プライベートキャンプ場”のような静けさに包まれます。
そして目の前には、サピ島でキャンプをしなければ出会えない特別な夕陽の風景が広がります。夕飯の支度をしながら、ゆっくりと沈んでいく太陽と染まりゆく空を眺めるひととき。夕焼けに照らされながら食事を楽しみ、息子とたわいもない話を交わしながら、やがて一日を静かに締めくくりました。

朝目を覚ますと、昨日の夕陽とはまた違った、美しい朝焼けの風景が広がっていました。聞こえるのは波の音だけ。まるで世界に自分たちだけがいるような、静寂に包まれた朝です。

息子は朝食を軽く済ませると、迷うことなく目の前の海へ。さっそくシュノーケリングを楽しんでいます。
こんな特別な時間が、それほど大きな費用をかけずに体験できてしまうのですから、マレーシアでの無人島キャンプは本当におすすめです。
帰りの船のお迎えの時間になったのでテントなどを片付けます。もう一度コタキナバルに戻ります。
コタキナバルに戻り身支度を整える
いよいよ、マレーシアでのキャンプ旅も大詰めを迎えました。再びコタキナバルの街へ戻り、翌日には日本へ帰国するため、この日はホテルに宿泊することにします。
「海外でもずっとキャンプ泊?」と思われるかもしれませんが、筆者は旅の初日や帰国前にはホテルを利用するようにしています。
そのほうが身支度を整えやすく、帰国に向けてスムーズに準備が進むからです。この日もチェックインを済ませ、たまっていた洗濯物を近くのコインランドリーへ。汚れた衣類をそのまま日本へ持ち帰ると、妻に怒られてしまうので(笑)、必ず現地で洗ってから帰るようにしています。
旅の締めくくりは海鮮グルメとローカル市場巡り

洗濯が終わるのを待っている間、ちょうど目の前にあった海鮮市場で夕食をとることにしました。コタキナバルは海沿いの街とあって、新鮮な海産物がとても豊富。しかも価格も良心的です。

せっかくなので奮発して「カニのスパイス炒め」を注文。奮発と言っても、たったの1,200円。日本では考えられない贅沢です。

夕食後、まだ少し時間があったので、近くにあった「コタキナバル中央市場」へ立ち寄ってお土産を探すことに。昼間だったせいか市場内はやや閑散としていましたが、お土産屋さんは通常営業中だったので、家族や友人に贈るものを選びました。
お土産には名産の『サバティー』がおすすめ

マレーシア土産の定番といえば、やはり「サバティー」。ボルネオ島のサバ州で栽培・生産されている無農薬の紅茶ブランドで、マレーシア国内で唯一、完全有機農法による栽培が行われている茶園としても知られています。
何より軽いので、たくさん買っても荷物にならないのが嬉しいポイント。お土産としては理想的です。
