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スノーピークに大きな転機

2025年9月30日、スノーピークにとって大きな節目となる発表がありました。
ブランド史上初となる外部出身の社長が就任し、今後は前社長・山井太氏とともに“二人三脚”でブランドを率いることになります。
長年ユーザーに愛されてきたスノーピークは、これからどう変わるのでしょうか。
誰から誰へ?新体制の背景

写真 左「水口貴文氏」右「山井太氏」
これまで社長を務めてきた山井太氏は、今後はCCO(チーフクリエイティブオフィサー)として「0から1を生み出す構想」を担当。
新たに社長に就いたのは、水口貴文氏。スターバックスコーヒージャパン元CEOという異色の経歴を持ち、外部人材としては初のトップ登用です。

山井氏と水口氏がそれぞれの強みを活かし、「0→1」と「1→10」を役割分担する“バディ経営”という新体制が始動しました。
在庫整理などを経て、MBOからの立て直し

2024年に実施されたMBO(経営陣による自社株式取得)から約1年半。大規模な在庫整理を経て、財務体質の改善と経営の再建が着実に進んでいます。

会見では、2025年の着地見込みとして以下が示されました。
売上高:250億円(2023年比で水準を回復)
営業利益:13億円(収益力改善が進展)
純利益:9億円(MBOを契機に利益を生み出せる体質へ)
「経営は大丈夫なのか?」という市場からの不安に対し、トップライン(売上)の回復と収益性の改善を数値で提示することで、安定化への道筋が明確に示された形です。
成長戦略の柱「尖る・深める・拡げる」

新体制が掲げるキーワードは「尖る・深める・拡げる」。
スノーピークにとっては新構造となるテントや、アパレルからブランドを好きになる人を増やす施策など、様々な角度から未来像を描いています。
尖った自然体験を提供

「尖る」では、北海道・石狩川最上流で、ラフティング・フライフィッシングやサウナなどの、新サービスを展開予定。自然の奥深さを直に味わえる体験を通じて、スノーピークらしい先鋭性を強調していきます。
キャンプギア体験で深める

2026年発売予定の「エアフレームシェルター」
最重要テーマは「キャンプギア体験の深化」。その象徴となるのが、2026年発売予定の「エアフレームシェルター」です。
空気を入れるだけでおよそ5分でテントの立ち上げが可能。初心者が感じやすい“テントは難しい”という壁を大きく下げる存在に。

2026年発売予定の「エアフレームシェルター」
スノーピークの原点=キャンプギアの進化を体現し、新しい入口を広げていきます。
フィールド体験を拡げる
「拡げる」では、泊まることだけにとどまらないフィールド体験を拡充。日帰り利用もできる新業態「スノーピークグラウンズ」の構想など、キャンプに不慣れな層も自然に触れられるきっかけを増やす狙いです。
変わっても、変えていけないもの

出典:スノーピーク
新社長就任を経ても、「変えてはいけない」と明言されたのが、日本の自然観とクラフトマンシップ。自然との共生や日本のものづくりを大切にしながら“本物”を世界に届ける姿勢は不変です。

出典:スノーピーク
一方で「変えていくべきこと」は、多様なブランド接点の拡充。著名なファッションディレクターを迎えた新アパレルラインの開発や、日帰りでも楽しめる新業態「スノーピークグラウンズ」などを通じ、キャンプ以外のシーンでもスノーピークを体感できる場を広げていきます。
グローバル展開と再上場の展望

韓国の直営キャンプ場「スノーピーク エバーランド キャンプフィールド」
海外戦略も加速中です。韓国では2025年9月開業の直営キャンプ場「スノーピーク エバーランド キャンプフィールド」がオープン。さらに、BTSメンバーの着用効果もあってアパレルが好調。

アメリカではニューヨーク、ポートランド、シアトルに直営店を展開。中国では2030年までにアパレル中心で120店舗を目指し、すでに子会社も設立済みです。今後はヨーロッパやオセアニアといった未開拓市場にも注力していくとのこと。

また、山井太氏は2027〜28年の再上場計画にも会見で言及。「早くいけば」という補足付きでの言及ですが、スノーピークの進化に期待したいですね。
キャンプから未来へ。スノーピークの転換点

スノーピークは、水口貴文社長と山井太CCOの“バディ経営”で新たな一歩を踏み出しました。自然観とものづくりを大切にしつつ、次のステージへと進化していきます。

販売詳細
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