夏の車中泊は危険!

まず最初に、注意喚起です。
「夏は熱中症のリスクが高いため、設備・準備・環境が整っていない場合の車中泊はおすすめできません。」
熱帯夜でない25℃以下の日でも、実際に車中泊すると寝苦しく、熱中症の危険もあります。
熱中症で搬送される人も。実際に見た「夏の車中泊の怖さ」
筆者自身、とある比較的涼しい地域の道の駅で車中泊中に、救急車のサイレンで目を覚まし、外を見ると車内から搬送される人の姿を目撃しました。
漏れ聞こえてきた救急隊員の会話から、熱中症の疑いがあったようです。
ではなぜ、比較的涼しいはずの場所でも熱中症になってしまうのでしょうか?
なぜ、夏の車中泊は危険になるのか?よくある勘違いとは?
中学理科で「鉄は熱しやすく冷めやすい」と習いましたね。 「クルマは鉄の塊だから、日が沈めばすぐ冷える」と思っていませんか?
……ちょっと待った!
アスファルトの存在を忘れてはいけません。
アスファルトとは、原油から作られた黒くてベタベタした接着剤のようなもので、石や砂と混ぜて舗装材に使用されます。
アスファルトは熱伝導率が低く、日中に熱を溜め込み、夜になってもじわじわと熱を放出し続ける性質があります。
つまり、昼間に加熱されたアスファルトの上に長時間駐めたクルマは、夜になってもその熱を受け続けることになります。

さらに、最近のクルマの内装は金属剥き出し部分がほとんどなくなり、樹脂で覆われていて「保温効果」すらあります。
加えて、車内には人がいます。安静時でも人体はおよそ100Wの熱を発します。人間も室温をじわじわと上げていくのです。
真夏の夜の車中泊【車内温度変化シミュレーション】
AIで、真夏の夜の車中泊における車室内の温度変化をシミュレーションしてみました。

条件をいくつか変えてシミュレーションしましたが、夏場のアスファルトの上にクルマを駐めた状態では、外気温より車室内の温度が低くなるパターンが出てきませんでした。
外気温が夏日(25℃以上)となる日では、車室内の温度は外気温+5〜10℃になると覚えておくといいでしょう。
熱帯夜(25℃以上)では、窓を開けて網戸+扇風機といったよくある暑さ対策では、熱中症のリスクが高まり危険です。
夏の車中泊の暑さ対策はこれだ!
夏の車中泊を安全に、快適にするための対策は一択。
それは「ポータブルエアコン」です。

筆者が使用しているEcoFlow「WAVE3」は、冷却能力1.8kW(6100BTU)というクラス最強性能。
しかし、それでも最大出力で運転しなければ、真夏の車内を快適な温度に保つことは難しいのです。最大出力時の消費電力は約500W。一晩(10時間)稼働させるには5,000Whもの電力が必要になります。
筆者の使用するEcoFlow「DELTA 2 Max(2048Wh)」+エクストラバッテリー(2048Wh)でも、ギリギリ一晩持つかどうかですね。

それでは、夏の都市部で車中泊するときの対策はどうすればいいのでしょうか?
そもそも都市部での車中泊はできるのか?
都市部の公共駐車場の中には、「車中泊OK」と明示しないものの「24時間トイレは○階にあります」「朝まで駐車される方は○○に駐めてください」など、暗に車中泊利用者に向けたであろう案内がされていることがあります。
都市部で車中泊を禁止していない公共駐車場はあります!

ただ、駐車場のどこかに掲示されている利用規約をしっかり読んで、それに反することがないように十分に確認しましょう。
また、車中泊するときの心得として“車中泊していると気づかれない工夫”が大切です。
後ろ向きな表現ではありますが、このフレーズを頭に入れておくと、誰にも迷惑をかけることがなくなるので、とても効果的ですよ。
車中泊を禁止していない駐車場でも、例えば、靴を脱いで車外に出していたり、明るい室内灯を付けたままでいると、パトロール中の警官が車内にいる人の声をかける職務質問の対象となります。
筆者は1度、車中泊中に職務質問をされたことがあります。特に問題にはなりませんでしたが、20分ほど質問されたり、車内の至るところを確認されたりしたので、正直辛かったですね。

