2025年2月、命に関わる大事故が起きた

アドレスホッパーとして住所不定の旅をしていた私。2025年の2月は北海道に滞在していたのですが、その道中に高速道路上でスリップ事故を起こしてしまいました。
命だけでも助かったのは本当に不幸中の幸いでしたが、大切にしていた愛車は廃車に……。これをきっかけに、2年続けていた旅を中断せざるを得ない状況になってしまったのです。
「一度、自分の中でリセットする時間が欲しい。」

長いアウトドア生活の中でそれなりの経験は積んできたつもりですが、命の危険を感じたのは初めてのこと。今回の事故は想像以上に大きな出来事で、私の中ですべてのやる気が削がれる程の深い喪失感がありました。
とても旅を再開できる心境ではなく……一度自分自身をリセットしたい。そう考えた私は、以前から興味のあったあることにトライしてみることにしました。それが、四国お遍路歩きです。
お遍路へ行くことにした

お遍路とは?
四国の八十八ヶ所のお寺を巡る、巡礼の旅。弘法大師(空海)ゆかりの寺を順番に回り、心と体を清め、願い事や感謝を込めて歩く伝統的な行為。
「なぜ急に!?」と疑問に思う方もいるかもしれませんね。実は、事故のショックから急にお遍路に行こうと思い立ったわけではないんです。以前からテレビで芸能人がお遍路巡りをしているのを見て、ずっと興味がありました。
そんなとき知人がお遍路を歩いた話を聞き、ますます「行きたい!」という気持ちが募り、もともと「2025年はお遍路やるぞ!」と決意していたんです。
お遍路=ジャパニーズ・トラディショナル・ロングトレイルじゃないか?

そこへきて、件の大事故。これは長年の興味を深めつつ、自分自身を見つめ直す絶好の機会でしかない! ということで出立を決意したわけです。
そもそも基本歩いて各所を巡るお遍路は、日本に古くからあるロングトレイルといっても過言ではないはず。1200年の歴史を誇る巡礼コースは世界的にも珍しい上、お遍路特有の風習も相まって、今では日本人よりも海外の方のほうが歩く人口が増えてきているそうですよ。
さっそく準備を開始!お遍路仕様の軽量装備を紹介

現時点(※2025年6月)ではすでに旅を終えていますが、今回体験してみてお遍路にはULキャンプに通じる点が多いと感じました。特に装備に関しては、軽量化が大前提。なんせ1400kmも歩くんですからね。
おそらく多くの方にとってお遍路は身近なアクティビティではないでしょう。でも、装備に関してはキャンパーの皆さんの参考になるはず! というわけで今回は、お遍路で本当に役立った軽量装備をご紹介します。 もちろん、お遍路ならではの服装や風習にも触れていくので、興味を持たれた方はぜひ最後まで読んでみてくださいね。
お遍路仕様!8つのULアイテム
バックパックはたっぷり入る38Lをチョイス

何せ1ヶ月以上かかる旅になるので、たくさんの準備が必要だ! と思いきや、お遍路はずっと山の中で生活するわけではなく、基本的には人の手の入った場所での野宿がメインになりそう。
ということで軽量化はしやすく、その装備内容は5kg程度に収めました。選んだのは「Zpacks Nero38L」というULバックパック。愛用者がアメリカ3大トレイルを制覇したことから、長距離ハイキングでの実用性はお墨付きの心強いアイテムです。
Zpacks(ゼットパックス) Nero Ultra 38L Jet Black
サイズ | 14×29×61cm |
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容量 | 38L(本体25L、サイドポケット各2.5L、センターポケット8L) |
重量 | 292g |
耐荷重 | 9kg(推奨) |
165gのテントで、徹底的に軽量化

テントは、OUNCE DESIGNというブランドの超軽量モデルをチョイス。シェルターという言い方のほうがしっくりくるかもしれません。
Ounce Design ultralight minimalist DCF shelter – Version 2という商品名で、フロアのない構造な上に、アウトドア史上最も軽量でタフなDCF素材のため、165gと非常に軽いテントになっています。

ペグ4本で自立する構造で、テントポールも金剛杖(=巡礼時に持つ杖)を使い、とことん無駄を省いていくスタイルをとりました。
●Ounce Design ultralight minimalist DCF shelter – Version 2について詳しくはこちら
シュラフはブランケットとしても使いやすいキルトタイプ

シュラフはMontkage Products(モンカゲプロダクツ)のMINOという、私の故郷でもある岐阜県の美濃市で作られているアイテムを。こちらは、ブランケットにもなるキルトタイプのシュラフです。

マントのように身体を覆って留めることで防寒着の代わりにもなり、ダウンジャケットも省くことができました。衣類は重たくかさばることが多いので、兼用できるものがありがたいですね。
●Montkage Products(モンカゲプロダクツ)のMINOについて詳しくはこちら
枕は携行性も寝心地も両立されたコレ!

ピローはキャンプ道具の中でも省けるアイテムのうちの一つではありますが、寝心地が抜群に良いNEMOのフィッロエリートは持っていくことに。

その実力のほどは以前別の記事でも紹介しましたが、お遍路中の45日分の安眠をこのピローに託しました。
ニーモ フィッロエリート
サイズ | 39×27×8cm |
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収納時サイズ | Φ8×10cm |
重量 | 80g |
素材 | ポリエステルジャージ |
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クッカーはインスタントが調理しやすいものを

クッカーはPAAGOWORKS(パーゴワークス)のTRAILPOT S1200Pという、パックご飯が入る大きさのものをチョイス。

野宿が多いことを考えると炊事場が無いことが予想されるので、調理方法は湯煎をメインに。また、コンビニでの買い出しが多いことも想定されるので、パックご飯やインスタントラーメンの調理に役立つトレイルポットに決定しました。
パーゴワークス トレイルポット S1200P
サイズ | 130×185×80mm |
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重量 | 440g |
主素材 | アルミニウム、ステンレス |
容量 | 満水容量1.2L |
付属品 | 深なべ、フライパン、フタ、メッシュバッグ |
内面加工 | フッ素樹脂塗膜処理 |
外面加工 | アルマイト |
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爪切りさえも、しっかり軽量化

細かい部分ですが、歩き旅での爪切りは超重要。故障のきっかけを作らないように足のメンテナンスは怠らないようにしておきたいものです。

私が選んだ爪切りは17gの軽量なヤスリ付きで、世界最軽量クラス。
その上オンラインショップで手軽に購入できるし比較的リーズナブルなため、万が一壊れたり失くすことがあっても買い直すことができます。
FORTTS 爪切り
サイズ | 1.4×6.5×0.5cm |
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材質 | ステンレス |
重量 | 17g |