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「買う前に知りたかった…」車中泊・キャンプに適したクルマの選び方。プロが薦めるおすすめのクルマは?(2ページ目)

車中泊・キャンプをするクルマにあったらいい装備とは?

次に、車中泊やキャンプを快適に楽しむために、あったらうれしい装備をご紹介します。

ここでの「装備」とは、車中泊グッズやキャンプギアではなく、クルマそのものに搭載されている機能やシステムのことを指します。

つまり、「こんな装備があるクルマを選ぶと快適だよ」というアドバイスです。

あったらいいのは「運転支援システム」それはなぜ?

車中泊を楽しむには、遠出や長距離ドライブがつきものです。

車中泊・キャンプに最適なクルマとは?
日産「エクストレイル(現行モデル)」のACC操作ボタン

そのときに役立つのが「アダプティブ・クルーズ・コントロール(ACC)」という運転支援機能です。

これは、前を走るクルマとの車間距離を自動で保ちながら、アクセルやブレーキ操作を補助してくれる先進運転支援技術です。

さらに、ACCの上位機能として、ハンドル操作まで自動で行う「車線維持支援システム(LKAS)」があります。LKAS搭載車は、基本的にACCも標準装備されていますが、車種やグレードによっては上位モデル限定となることもあります。

いっぽう、ACCはより多くのクルマに設定されており、軽自動車でも搭載車が増えています(2025年現在)。

「自動運転のような機能は不安」と思う方もいるかもしれませんが、一度使えばその便利さに驚くはず。最大の利点は「疲労の軽減」です。

疲れを減らすことは、キャンプ場に到着した後の楽しさを高めるだけでなく、安全運転をサポートし、事故のリスクも下げてくれます。

あったらいいのは「360°ビューカメラ」それはなぜ?

「360°ビューカメラ」や「アラウンドビューモニター」など、メーカーによって名称は異なりますが、いずれもクルマの周囲を真上から見下ろすような映像で表示する運転支援機能です。

車中泊・キャンプに最適なクルマとは?
日産が2007年「アラウンドビューモニター」をエルグランドに初採用。この画像は日産キックスのもの。(画像:日産)

狭い道や木の根元、大きな石のそばにクルマを停めなければならない場面が多いキャンプ場では、このカメラが大活躍します。

さらに、障害物が接近したときにアラートを鳴らす機能も備えているため、接触のリスクを大いに軽減してくれます。

もちろん、キャンプだけでなく、日常の買い物時の駐車などでも非常に役立ちます

この機能はメーカーオプションになっていることが多いですが、費用対効果は非常に高い装備だと言えるでしょう。

そのほかにも便利な装備はありますが、キャンプ場や車中泊中では、アイドリング禁止です。条例で定めている自治体もたくさんあります。

クルマの装備は、アイドリングしていないと使えないものがほとんどです。従って、ここでは筆者が経験上「これだけはついていてほしい」と思う装備に絞って紹介しました。

逆になくてもいい装備

最近のハイブリッド車には、家庭用100Vコンセントを備えるモデルがあります(多くはオプション設定)。

しかし、実はこの装備、車中泊やキャンプではあまり活躍しません

というのも、ハイブリッド車のバッテリー容量は小さく、大電力を長時間供給するには不向きです。

車中泊・キャンプに最適なクルマとは?
トヨタ「プリウス(現行モデル)」の100Vコンセント

たとえばトヨタ「プリウス」の100Vコンセントは、1500Wまで出力可能ですが、エンジンをかけて(正しくは、ハイブリッドシステムON)いなければ連続使用ができません。

停車中、常時エンジンがかからないハイブリッド車であっても、ハイブリッドシステムをONにした状態は、アイドリング禁止に抵触するおそれがあります。

車中泊・キャンプで100Vコンセントは「なくても困らない装備」と言えるでしょう。

【ボディタイプ別】車中泊・キャンプに最適・不適ポイント

続いて、車中泊・キャンプに最適なクルマをボディタイプ別に解説します。

ここで紹介する車種は、2025年5月時点で販売されている現行モデルから選んでいます。

キャンピングカー

車中泊・キャンプに最適なクルマとは?
”走る高級マンション”ADRIA(アドリア)SUPER SONIC 890LL 車両価格は約3,070万円(2024年2月時点)

車中泊・キャンプにおける“最強”のクルマといえば、やはりキャンピングカーです。ただし、以下のようなデメリットがあります。

・車両価格が高い
・日常生活で使いにくい
・維持やメンテナンスが大変

そのため、キャンピングカーを所有する場合は、日常的に使うクルマも別途必要になりますが、経済的余裕がある方には、間違いなくおすすめできます。

SUV

車中泊・キャンプに最適なクルマとは?
最も売れているSUV、トヨタ「ライズ」。ダイハツ「ロッキー」の姉妹車(OEM)。車両価格215万2,700~244万2,000円とお手頃。

いまやSUVは、クルマの代表的なボディタイプとなりました。「アウトドアに合うクルマといえばSUV」と考える人も多いでしょう。

確かにその通りです。SUVは全長4m強のコンパクトSUVから、5m近いラージSUVまでサイズも豊富。SUVは荷室が広く、キャンプには理想的です。

また、大径タイヤや高めの車高といったデザイン面でもアウトドアの雰囲気も演出してくれます。

とはいえ、車中泊となるとちょっと話は別です。

車中泊・キャンプに最適なクルマとは?
「ライズ」の後席をたたんだときの荷室長は約1.7m。シート部の傾斜は残る。車中泊可能な体格は限られてしまう。しかし、荷室容量は十分で、キャンプ用途には適している。

車種やグレードによってはフルフラットにならなかったり、傾斜や段差が大きかったりするため、シート構成・構造をよく確認する必要があります。

SUVの中でも、おおむね全長3.4m以下のコンパクトSUVは、荷室長が短いモデルが多いため、自分の体格に合うか要チェックです。

数あるSUVのなかでも、車中泊との相性が良いコンパクト〜ミドルSUVとして、以下の2台をご紹介します。

おすすめSUV① ホンダ ヴェゼル

車中泊・キャンプに最適なクルマとは?
ホンダ「ヴェゼル」e:HEV PLaY

ホンダの多くの車種に採用されている「センタータンクレイアウト」(燃料タンクを前席下に配置して車室内を広くする構造)はヴェゼルにも。

車中泊・キャンプに最適なクルマとは?
撮影の都合上、前席は身長170cmの人の適切なドライビングポジションに設定。このため、後席部と前席部の空間が狭くなっている。

ヴェゼルは後席が“ダイブダウン”してフロアに沈み込み、フロアはフラットになります。

後席部分と荷室の間の段差が1cmほど残りますが、マットや布団を敷けば違和感のないレベル。後席格納時のフラットさと段差の少なさでは、SUVナンバーワンがヴェゼルといって過言ではないでしょう。

車中泊・キャンプに最適なクルマとは?

後席格納時の室内長は約153cm、前席を最前までスライドすれば約184cmに。前後のシート間にできる最大約25cmの隙間は、折りたたみ椅子などで埋めて対処。余裕で脚を伸ばして寝ることができます。

また、安全運転支援機能「ホンダセンシング」は全車標準装備。長距離運転でも安心です。

車両価格:264万8800円〜377万6300円

おすすめSUV② トヨタ カローラクロス

車中泊・キャンプに最適なクルマとは?
トヨタ「カローラクロス」ハイブリッド Z

後席の背もたれを倒すと大きな段差ができますが、純正アクセサリーの「ラゲージアクティブボックス」(2万8050円)を装着すればフラットな床面が確保できます。

車中泊・キャンプに最適なクルマとは?
「ラゲージアクティブボードボックス」装着時(画像:トヨタ)

前後シート間の隙間は何かで埋める必要がありますが、室内長は約189cmあり、180cmぐらいの高身長の人でも脚を伸ばして寝られます。

※本記事執筆中の2025年5月23日に、カローラクロスのマイナーチェンジが発表・発売されました。マイナーチェンジ後にもラゲージアクティブボックスがオプション設定されるかどうかは、現時点不明です。

車中泊・キャンプに最適なクルマとは?
新型「カローラクロス」グレード:Z。フロントデザインや装備内容も刷新され、より魅力的に。今回のマイナーチェンジでスポーツモデル「GR SPORT」がラインナップに加わった。(画像:トヨタ)

車両価格:276万〜389万5,000円

ミニバン

車中泊・キャンプに最適なクルマとは?
ミドルクラスミニバンで販売台数トップのトヨタ「ノア」。(グレード:ハイブリッド S-Z)

「車中泊・キャンプに最適なボディタイプ」として、ミニバンも外すことはできません。構造からしてミニバンの室内空間の広さは、乗用車でトップクラスです。

もはや、ミニバンのユーティリティの高さを説明する必要はないでしょう。

アフターパーツメーカー製のベッドキットを導入すれば、快適性は飛躍的にアップします。国産ミニバンなら、ほぼ全車種、何らかのメーカーがベッドキットを販売しています。最新の「アルファード/ヴェルファイア」にも対応したキットも販売されています。

コンパクトミニバン

車中泊・キャンプに最適なクルマとは?
トヨタ「シエンタ」グレード:Z

国産コンパクトミニバンは、トヨタ「シエンタ」とホンダ「フリード」の2車種。いずれも全長4.3m程度と取り回ししやすく、日常生活の足としても利便性が高いモデルです。

荷室空間は、ボディサイズが同クラスのSUVよりも、圧倒的な広さを誇ります

両車種ともに3列シート・6〜7人乗り・2列シート・5人乗りモデルが設定されています。車中泊をするなら、2列シート・5人乗りのほうが荷室がフラットで広くなり、おすすめです(逆に3列シート車は、車中泊には厳しめです)。

車中泊・キャンプに最適なクルマとは?
トヨタ「シエンタ」全シート格納時。3列目シートはフロアに沈み込み、2列目シートはたたんで起こす構造。このため、荷室長が犠牲になってしまい、車中泊するには狭くなってしまう。

コンパクトミニバンは、車中泊・キャンプ、そして日常生活の足として、マルチに使えるボディタイプです。

シエンタは後席格納時の荷室長が2m強、フリード(クロスター 5人乗り)は約193cm。

車中泊・キャンプに最適なクルマとは?
ホンダ「フリード CROSSTAR(クロスター)」5人乗り。ラゲッジフロアパネル下にも荷室空間があるのがフリードの特徴。

フリードは、後席が床下に沈み込んで背面が回転することで、シート間の隙間を自然に埋める構造になっており、実用性は非常に高いです。

また、コンパクトミニバンは、ミドルサイズのノア/ヴォクシー、セレナ、ステップワゴンなどが大きすぎると感じる方にとって、扱いやすく、使い勝手のよい選択肢です。車両価格も比較的リーズナブルで、コスパにも優れています

こういった特徴がウケて、2025年4月の新車販売台数総合第3位がシエンタ、4位にフリードとなる、大人気モデルとなっています。

商用バン・軽バン

車中泊・キャンプに最適なクルマとは?
トヨタ「ハイエース」スーパーGL ダークプライムⅡ

ご存じの方は多いでしょう。トヨタ「ハイエース」、日産「キャラバン」といった商用バンは、車中泊・キャンプにおいて無類の実力を誇ります

車中泊・キャンプに最適なクルマとは?
日産「キャラバン」グランド プレミアム GX。多彩なボディサイズを展開するキャラバンの中で、最も全長が短いこのモデルでも、後席を格納せずに、ふとんが敷ける荷室長1.85m(シート後ろから)を誇る。

広大な床面に布団を敷くだけで、快適な寝床が完成します。ダブルサイズの布団も楽に敷けます。サンシェードがなければ、大きめのゴミ袋とテープで代用するという手段もアリです。

車中泊・キャンプに最適なクルマとは?
ダイハツ「アトレー」。軽バン「ハイゼット」の上位互換モデルの位置づけで、ターボエンジンや全車速対応アダプティブクルーズコントロールを標準装備。軽バンで長距離運転もこなしたいならおすすめの1台。姉妹車(OEM)にスバル「サンバー ディアス」がある。

軽バンはコンパクトで扱いやすく、DIYカスタムにも最適。ただし、車重に対して非力なエンジンや横風の影響を受けやすいボディ構造により、長距離運転にはやや不向きです。

ターボモデルであれば加速性は改善しますが、燃費はやや悪化します。とはいえ、価格の安さやカスタムのしやすさなどを考えると、軽バンは魅力的な選択肢と言えるでしょう。

ステーションワゴン

車中泊・キャンプに最適なクルマとは?
左:スバル「レヴォーグ」・右:トヨタ「カローラツーリング」

実は、SUVは法制度上はステーションワゴンに分類され、車検証のボディ形状の欄にもそう書かれているんです。

ステーションワゴンは、もともとアメリカで”駅(ステーション)から乗客と貨物を運ぶワゴン”として使用される車両を指す言葉でした。

その名が示すとおり、ステーションワゴンは荷物が多いキャンプには最適です。

ただ、現在、新車販売されている国産ステーションワゴンは、残すところスバル「レヴォーグ」、トヨタ「カローラ ツーリング」の2モデルとなってしまいました。

後席をたたんだ状態の室内長は、カローラツーリングが約1.8m、レヴォーグが1.9m。いずれも車中泊ができるサイズです。ただ、室内高が低いため、居住性はSUVに劣ってしまいます

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