アイキャッチ・記事中画像撮影:八代目儀兵衛
飯盒で、ご飯を美味しく炊いてみたい!

キャンプ料理の定番のイメージといえば、やっぱり飯盒で炊いたご飯。作るプロセスも楽しく、美味しく炊ければ素敵な思い出になりますよね。
その反面、何度も失敗してしまったり火加減などが難しそうなイメージから、飯盒を敬遠してしまっている人も多いのではないでしょうか。
成功のコツを、お米のプロが徹底解説!

そこで今回は、お米のプロ「五ツ星お米マイスター」の資格を持ちながら、月に2度以上はキャンプに出かけるという八代目儀兵衛のマツバラさんに、お米を美味しく炊くためのテクニックを伺いました!

八代目儀兵衛 マツバラさん:今回は、初めてでも失敗しない飯盒炊爨のテクニックをたくさんご紹介しますよ!
お米を美味しく炊くためには、火を入れる前の準備が大切。まずは、事前にやるべき3つのことをご紹介します。
成功の秘訣は火を入れる前から!お米を炊く前にやるべき3つのこと
① まずはアルミ臭さを緩和

飯盒を購入したら、まずは自宅でお米のとぎ汁を8分目程度まで入れ、10分~15分火にかけましょう。アルミ臭さを緩和し、黒く汚れにくくなります。
② お米と水の計量は正確に!

飯盒炊爨の成功の秘訣は計量を正確に行うこと。兵式飯盒は、内蓋が2合/外蓋で3合を測れるようになっていますが、お米のプロはデジタルスケールを使って正確に測る方がおすすめといいうこと。
八代目儀兵衛 マツバラさん:お米の計量は飯盒の内フタ、外フタを使用した計量は正確ではないので、個人的にはおすすめしません。
デジタルスケールや、計量カップを使用して正確に計量しましょう。あらかじめ計量したお米をジップロックで持っていくと、現地で計量する必要が無く便利です。

水の計量も同様にデジタルスケールで行うことがベストということですが、飯盒の内側の目印で調整しても大丈夫ということ。通常の兵式飯盒で下の目印が2合、上の目印が4合です。
八代目儀兵衛 マツバラさん:兵式飯盒を使い弱火で行う場合は、お米1合(150g)に対して水190g で軟らかめに仕上がります。これを基本にして、自分好みに水加減を調整してください。
③ お米はしっかりと浸水させるべし

お米を研いだら夏場は30分~1時間、冬場は1時間~2時間程度必ず浸水させましょう。春~秋はクーラーバックでの浸水が、雑菌の繁殖を抑え、炊きあがりも良くなるためおすすめです。
十分に浸水をさせないと芯まで火が入らず、甘みが少なく、固い(コシが無くパサパサな)ご飯になります。
八代目儀兵衛 マツバラさん:固いご飯が好きな場合も浸水時間はしっかりと取り、炊飯水の量で固さの調整をしましょう。私はクーラー内でスペースの調整が楽なジップロックを使って浸水させています。
いよいよ炊飯!気にするべき3つの手順

さて、ここまで準備できたらいよいよお米を火にかけますよ!
① 沸騰まで弱火~中火で加熱する

とにかく強火はNG! 弱火〜中火で沸騰まで加熱します。沸騰時間は10分程度が理想ですが、はじめは沸騰時間は気にしなくて大丈夫ということ。
八代目儀兵衛 マツバラさん:沸騰時間が短いほど固めの仕上がりになりますので、慣れてきたら好みで調整してください。
② 沸騰が近くなったらスプーンでかき混ぜる

沸騰が近くなり、泡立ちはじめたらスプーンなどで混ぜてください。お米が潰れないようにやさしく混ぜます。ある程度水の量を間違っても綺麗に炊きあがるコツなんです!
八代目儀兵衛 マツバラさん:飯盒で主に使用されるアルミは熱伝導が高いとはいえ、蓄熱量が少ないのが特徴。炊きムラを減らすため、かき混ぜることで均一に温度を上げることがポイントです。

水気が消えて全体がおかゆ状になり、鍋面にお米が張り付き始めたらふたをする合図です。
③ とろ火(可能な限りの弱火)にして25分放置

ふたをしたらとろ火で25分。途中で火が消えても少しの間なら大丈夫です。気が付いたらとろ火で再開してください。
途中で火が消えないようにするために、風防付きのバーナーがおすすめ。ガス缶の容量には余裕をもって、外気温にあったガス缶を使用しましょう。
八代目儀兵衛 マツバラさん:100℃で20分以上の加熱をすることで、お米はご飯になります。蓄熱量が少ないアルミは、火を入れていないと急速に冷めていきます。内部温度を下げないため、途中でふたを開けずに、じっと25分待ちましょう!

25分経ってふたを開けるとこの通り! この状態から、さらに美味しく食べるテクニック「シャリ切り」をご紹介いただきました。
八代目儀兵衛 マツバラさん:飯盒の水分がほぼなくなったら、内にこもる蒸気を外へ逃がしていくイメージで、ごはんをかき混ぜましょう。こうすることで、より美味しく仕上がりますよ!
シャリ切りをしたあとは、ふたをずらした状態で5分待ちましょう。余分な水分が飛び、ふっくらとした仕上がりになり、おこげも取りやすくなります。
あとは食べるだけ!

以上が飯盒の基本的な炊き方です。あとはお好きな食べ方でどうぞ!