「SUV」それは世界で今もっともイケてるクルマ

日本でもアメリカでもヨーロッパでも、今もっともイケてるクルマはSUVである。ポルシェ、ジャガー、マセラティ、ベントレーと、高級スポーツを標榜するメーカーも相次いでSUVモデルをリリース。アルファ・ロメオやらアストンマーチンやらランボルギーニやらもSUVを開発中と噂されている。
人気になる理由は、一度乗ればわかる。カッコイイし中は広いし速いし快適。メルセデスのAMGモデルなぞは、何一つ不自由のないスポーツカーのようだ。ただし、ヨンクの本懐たるオフロードというステージのイメージはあまりない。実際はその気になれば走れなくはないのだろうけれど、少なくともあんなに薄いタイヤではおっかなくて舗装路以外は走る気になれない。
SUVに乗るのなら、やっぱり挑戦したい「オフロードコース」

ヨンク乗りなら度胸試しを兼ねて、是非一度訪れてみて欲しい。「アウトドアパーク ブロンコ」埼玉県秩父郡横瀬町横瀬7151-70 http://www.bronco4x4.net/

ブロンコの歴史は1980年代の4×4ブーム到来に始まり、2000年ごろのディーゼル規制による4×4激減と共に一度は閉じた。かつての名残がロッジの壁に貼られている。
そうした「軟派なヨンク」は足を踏み入れたくもないであろう、まるでアイガー北壁のようなオフロードコースがある。それが「アウトドアパーク ブロンコ」だ。埼玉は秩父の山中にあるブロンコ、何がすごいかというと、そもそもコースに行くまでの林道が凄まじい。ウェブサイトには「四輪駆動車しか走行できませんので一般乗用車の方はご注意ください」と書かれている。今回、この地に向かうためにアピオ・ジムニーをお借りしたのだが、林道の最中は常に4WDのローレンジ(低速ギア、つまり悪路でもハマりにくい)に入れっぱなしで走った。

2012年、荒れ放題だったブロンコを、元4×4専門誌の竹村吉史さんが一年がかりで復活させた。入り口にかかっている三菱ジープのグリルは80年代から飾られている。
オフロード走行ど素人の僕は、この林道だけでお腹いっぱい。実はたかが2㎞弱に過ぎないというが、道には岩や木があちこちに転がっており、ちょっと踏み外せば山を転がり落ちてしまうのでは……という恐怖と戦いながらの林道走行は、かなりスリリングなものだった。だがブロンコを管理している竹村さんによると「4WDなら案外どんなクルマでも登ってこられる」とのこと。中には普通のレンタカーで上がってきた人もいるらしい。要はクルマより人間の方がアップアップになってしまうというわけだ。はい、僕がそうでした……。
テーマは「ブロンコで泥んこ」

もちろん猛者たちの本番はこれから。今回お供させていただいたのは、主にディフェンダーを中心としたメンバー。ハントvol.7でご紹介した雪のイベントの主催者、江戸原大輔さんが今回の言いだしっぺでもある。ちなみにテーマは「ブロンコで泥んこ」。きっとオトコなら嫌いなはずはない(?)、泥んこ遊びを、クルマでやっちゃうあたりが、粋……というか、なんというか。





彼は「バケツ」と呼ばれる泥水がたまった沼からで、脱出時に勢いをつけるためにバックしたときにマフラーを曲げてしまった。ただスゴイのは、彼と彼の仲間が知恵と道具を出し合い、30分ほどでほぼ元通りに直してしまったことである。この生命力は半端ではない。こんなことして、何に役立つんだ?と思わなくもないが、こんな豪気でワイルドな遊び、他には絶対にない。

加藤さんのディフェンダー110はウインチもシュノーケルもなくスッキリした外観。難所と言われる急傾斜+カーブを難なくクリア。

「やっちゃいましたー」となぜか嬉しそうな江戸原さん。

友松さんのディフェンダー110は、ワイドフェンダーを外して4ナンバー登録。

取材の足にお借りしたアピオのジムニー・シエラ。ブロンコまでの林道は終始こんな感じの悪路。





photo & text:Yoichi Sakagami
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