見城さん直伝!3つの防寒対策
1|アルミ蒸着シート

まず冬キャンプでは、冷たい地面からの地熱が体に影響しないように、できるだけコット&マットレスを使うようにしましょう。
また、これは私が行っている対策ですが、それでも寒いときにはアルミ蒸着してあるマルチシートをグランドシートの上に敷いて、その上にコット&マットレスを設置します(見城さん)

このアドバイスから今回初めてインナーマットとしてアルミ蒸着シートを使ってみたのですが、地面からの底冷えの感じ方が全然違いました。
冬用寝袋とクローズドセルマットだけで寝ると、覆われている体部分は確かに暖かいのですが、寝付くまでの間や肌が露出している顔や末端の手足は寒いまま。
ところがアルミ蒸着シートを使うと、テント内の広範囲で地面からの冷気を遮断できるので保温性が増し、いつもより寒さを感じず過ごせました。

今回使ったアルミ蒸着シート「オールウェザーブランケット」のサイズは約152×213cmで、ハバハバNXの床全体を覆えたので冷気遮断の効果は抜群でした。
現在同じ物は入手できませんが、ほぼ同サイズの物もありますよ。
DUKES オールウェザーブランケット
| サイズ | 150×210cm |
|---|---|
| 重量 | 445g |
| 材質 | ポリエチレン・アルミ |
2|ニーモのマット「スイッチバック」

マット選びも重要で、とくに注目したいのが「R値」。これは熱抵抗値のことで、この値が大きくなるほど断熱力が高くなるので、体の熱を逃がさず、かつ地面からの冷たい冷気もしっかり遮ることができるんです。ただし、R値が大きいほど値段も上がる傾向ですが……。
また、マットの「使用できる温度」もあわせてチェック。温度の表記は、メーカーによって「快適使用温度」や「参考使用温度」など表記が様々なので、なるべく余裕をもって選びましょう(見城さん)

見城さんのアドバイスを参考にしつつ、今回はニーモイクイップメントの「スイッチバック」を選択。
大きさは約183×51×2.3(厚さ)cm。表面の凹凸の形状が六角形になっているのが特徴的で、よりクッション性があり寝心地も良かったです。

R値は2.0とやや低めながら、参考使用温度は-7℃まである頼もしさ。ただ、アドバイスにもあったように、ニーモイクイップメントの表記は「参考使用温度」。あくまで参考なので、実際にほかの対策なしで-7℃で使うと痛い目を見ます。
今回は、コットで地面から高さを出して空気の層を作ったり、アルミ蒸着シートで冷気を遮断するなどの対策をしたので問題なし。R値の低さをカバーしつつ、お財布にも優しい連携プレーとなりました。
ニーモイクイップメント スイッチバック
| サイズ | 183cm(長さ)×51cm(幅) |
|---|---|
| 収納時サイズ | 13×14×51cm |
| 厚さ | 2.3cm |
| 重量 | 415g |
| R値 | 2 |
| 素材 | ポリエチレン |
その3|ナンガのシュラフ「オーロラ600DX」

そして、なんといっても重要なのはシュラフ選び。厳冬期のキャンプではしっかりと保温できるダウンシュラフを選びましょう。選ぶ基準としては、ダウンの量やダウンのかさを示す値「フィルパワー」が目安になります。
また、各社で言い方は違いますが、使用温度の目安も表記されていますよ。自分が使用する環境に合わせて最適なものを選びましょう!(見城さん)

このアドバイスを元に、筆者は国産メーカーのNANGA「オーロラ600DX」をチョイス! ダウン量が600gで快適使用温度は-11℃と、平地では冬用の寝袋として十分なスペックです。
たしかに3シーズン用テントの中で3シーズン用の寝袋を使用しては、当然真冬の寒さには耐えられません。「コットやマットで冷気を遮る層をつくる」「寝袋だけは妥協してはいけない」、これらのアドバイスを実際に実行してみたところ、無事に朝を迎えられました。
NANGA オーロラ600DX
| 収納時サイズ | φ18×30cm |
|---|---|
| 重量 | 約1350g |
| 素材 | 表生地:オーロラテックス 裏生地:40dnナイロン内部構造:ボックス構造 |
| 快適使用温度 | -11℃ |
| 使用可能限界温度 | -30℃ |
| フィルパワー | 760FP |
| ダウン量 | 約600g |
でも、やっぱり気になる!「4シーズン用テントの必要性」
今回冬キャンプでも3シーズン用テントで十分に過ごせましたが、果たして4シーズン用テントは必要なのか? ズバリ見城さんに聞いてみました。
当然4シーズン用テントのほうが、さらに快適に眠れる

出典:YOKA
北欧のテントは比較的冬仕様の作りだと思いますし、日本のテントは夏でも快適に使えることを想定して作られているな、と感じることが多いです。やはりそのメーカーのある国の気候に合わせた作りになるのは、当たり前といえば当たり前なのかなと。
テントに関しては、3シーズン用の普通のテントと、薪ストーブを入れることを想定した秋から冬向けのテント2つ以上を保有する。後は、季節で快適な寝具を用意する、というのがいいかと。ひとつのもので-5℃から+40℃で使うのは、どんな道具でも厳しいとは思います(見城さん)

確かに3シーズン用テントでは、ハイパフォーマンスな寝袋やマットレスで暖かく眠れたとしても、テント内は寒いまま。テント自体の保温性能が上がればテント内を暖かく保てます。起きてからの着替えも楽!
よって、4シーズン用テントと3シーズン用テントの使い分けができると、キャンプの過ごし方の幅が広がりますね。
ただ、急な大雪など積雪状況によっては、テント内で換気が十分に取れない危険性が想定されるので、3シーズン用テントで寒さを耐えられると言っても無理に冬キャンプをしないのも手です。
3シーズン用テントで行くなら、寝具をしっかり準備しよう

今回、テントが冬対応の4シーズン用のものじゃなくても、寝具をしっかり選んで冷気をシャットダウンすれば泊まれることが分かりました。
しかし、これは平地でのキャンプ場の話。標高が高くより寒い場所や雪中などでも快適にするならやはり4シーズンテントの選択肢は捨てられません。3シーズン用テントを使う場合はロケーションや気温を考慮し、寝具まわりの防寒対策をしっかり取った上でチャレンジしてみてくださいね。
執筆:高久浩一



