アルコールの充填は面倒です

最初にアルストユーザーの定番、トランギアの「ヒューエルボトル」で注入を試みました。
このボトルは注ぎ口がある程度は尖っているんですが、それでも本製品の穴には大きすぎました。うまく入れられそうにありません。

つづいて漏斗を使ってみました。画像の漏斗は3サイズがセットになった製品で、最小サイズの注ぎ口は直径6mm。それでもすっぽりとは入らず、溢れるようなこぼれ方をするので断念……!

最終的にIMCO(イムコ)というブランドの100mlボトルを購入。付属していたボトルを大きくしたような製品です。
鋭い注ぎ口を持つこのボトルで、ようやくアルコールを入れることができました。
着火にはプレヒートが必要

それでは着火しましょう。くるくるの部分をプレヒートしていると、そのうち気化したアルコールが噴き出してきて火がつきます。
バーナーを使うのが簡単ですが、くるくる部分にアルコールをぶっかけて燃やし、プレヒートする方法もあるようです。
着火する瞬間のわかりやすい動画があるので貼っておきます。プレヒート→引火の様子が確認できると思います。
炎の出方はこんな感じ
着火するとどのように炎が出るのか、観察しましょう。明るいと炎がよく見えないので、暗くなってから改めて撮影しました。
上が着火直後、下が数分経ったあとの炎の状態です。


着火直後はくるくるの穴から炎が出ていますが、時間が経つと穴のすぐ上は透明となり、くるくるのリングが炎を纏っているかのように見えます。面白いですね。
一般的なアルストとはまた違った、趣きのある美しい炎です。
実際問題、使える火力?

いくら趣きのある炎でも、実用性がなくては困ります。火力を確かめるためにお湯を沸かしてみましょう。
水の量は450ml。これを沸騰させるのに何分かかるのか、それ以前にちゃんと沸騰させられるのか……?

ほっ、無事に沸騰しました。かかった時間は7分ほど。気温や風によって変動するとは思いますが、まずまず及第点の火力ではないでしょうか。
ちなみにST-310の場合は……?

シングルバーナーの名作・SOTOのST-310でも同じようにお湯を沸かしてみました。もちろんケトルがすっかり冷めるのを待ち、新規の水でスタート。
結果は……約4分でした。やはり火力はガスに軍配が上がりますね。これは仕方のないことです。
風情のある熱源に……

火力の面でガスに劣るとはいえ、いまここに大急ぎで加熱しなくてはならないモノはありません。
ゆったりと流れる時間のなか、ちょっと変わった炎を扱って楽しく過ごしています。大人の遊びですね。

アルストらしからぬ「ボォーッ」という音は、夕暮れによく似合う風情がありました。また日が傾くにつれ、味わいのある炎が輪郭をあらわに――。
ワンカップに燗をつけ、いい気分でソロ呑みすることができました。
気になったところは?
タンクの注入口問題

記事の中盤でも言及しましたが、アルコールの注入口が非常に狭く、先っちょの鋭いボトルが必須です。適応したボトルが付属するものの、筆者に当たったのは液漏れしまくる個体でした。
穴が小さいのは構造的に仕方ないのかもしれませんが、使い勝手として純粋にマイナスだと感じました。
ゴトクに複数の不満

ゴトクがセットなのはありがたいところ。しかしこのゴトクには炎や星型の穴が空いています。ただの正円の穴でよかったのに……と思うのは筆者だけではないでしょう。
また線でも面でもなく、尖った4点にクッカーを乗せることになります。サイズ的に余裕があるはずのメスティンでもギリギリに感じられ、不安でした。

いっそ付属のゴトクは使わず、アルスト単体として、お気に入りのゴトクと組み合わせてもいいかもしれません。執筆時点のAmazonでは、ゴトクなしで安く購入することも可能です。
※購入時の注意点

2025年2月現在の商品ページ
筆者が2024年に購入したときは、Amazon商品ページで「パッドラック付き銀色」を選択。冒頭でもお伝えした通り、以下内容の付属品がありました。
- アルスト本体
- 収納袋
- ラバー製のボトムカバー
- ゴトク
- アルコール注入用のボトル
- 注入口ネジのラバーリング×2
しかし、2025年2月現在改めて商品ページをみると、商品の選択ボタンが増え、画像から推測するとセット内容もかなり細分化されたようです。
詳細情報を見てもセット内容が明記されておらず不明ですが、現在「パッドラック付き銀色」を注文しても筆者と同様の付属品がついていない可能性もあります。ご了承ください。
遊び心で愉しみたいギア

本製品は、ビギナーが最初の卓上熱源として購入するには、利便性の面で適さないと思います。アルストなら円筒形の一般的なモデルの方が、間違いなく使い勝手がいいですね。
……ということを踏まえた上で、あえての遊び心で愉しみたい道具だと言えるでしょう。

個性的な「くるくる」が目を引き、ビンテージ感もある謎のアルスト。「コーヒー豆を挽く間にゆっくりお湯を沸かしたい」、「風情のある燗酒をやりたい」、そんな場合はぜひご一考ください。



