ケニアのキャンプ場へと向かう

ケニアを代表する景勝地の大地構帯『リフトバレー』のビューポイント
ナイロビで買い物を済ませたら、お昼を過ぎていたので、本日の宿泊地であるナイバシャ湖へと向かってもらいます。
ナイバシャ湖は、ナイロビからは車で2時間半程度で行ける場所で、ナイロビ市民にとっても身近な湖。
野生動物が多く生息しており、ゲームサファリも盛んな湖です。移動途中で運転手のジョセフさんが素敵なビューポイントがあるということで、筆者と息子を降ろしてくれました。
ジョセフさん:「ここは大地構帯(グレートリフトバレー)です。今日はガスってますが、ケニアでも景観がいい場所です」
大地構帯は、アフリカ大陸を縦断する谷で大きな断層。大地が裂けて広大な森がサバンナに変わり、人類が生まれた地にもなったという場所です。
知識として、この大地構帯のことは知ってはいたものの、実際に景色を観て、遠くアフリカに来たんだという実感が急に沸きました。
サンクチュアリ・ファーム アカシアキャンプサイト(ケニア・カレージータ)

記念すべきアフリカ1泊目のキャンプ場に到着
景勝地の大地構帯を観た後、1時間半くらいでキャンプ場に到着しました。
今回訪れたキャンプ場はサンクチュアリ・ファーム。
キャンプサイトには誰もいなかったのですが、しばらくするとスタッフがバイクで来てくれて、料金を支払いました。
キャンプ道具はすべて自分で持ち込んでいたので入場料のみ、息子と2人で20ドル(3000円くらい)でした。

柵で囲われたキャンプ場の外は広大な敷地が広がっているので散歩をしてみる

サイトのすぐ横で草を食べるシマウマ。お腹が大きいので妊娠しているのだろう

動物と隔てる柵はない、息子とシマウマの記念写真
サンクチュアリ・ハウスは、動物と気軽に触れ合える宿泊施設で、敷地内にコテージや地元の食材を使ったレストランなどもあります。
施設には2箇所キャンプサイトがあり、今回はアカシアキャンプサイトに宿泊してみました。
テントを素早く張り終えて、キャンプサイトの外に出てみると、すぐ目の前にシマウマやトムソンガゼルがいました。
動物がキャンプサイトに入ってこないの? と思いますが、周りは柵で覆われているので、安全性は問題なし。
さらに、警備のマサイ族が常駐してくれていたりするので、動物がわんさか居るキャンプサイトでも安心して過ごせます。
サイトの外に出れば、野生動物が広大な敷地に柵もなくそこらじゅうで闊歩しています。流石はアフリカのキャンプ場です。日本では決して体験できないことです。

訪れたのは7月だけど夜は肌寒く焚き火が心地よい

時差ボケで眠そうな息子と日本から持ってきたのりたま

日本から持ってきたマルチグリドルでスーパーで買った肉でステーキを焼く
到着が17時だったので、テント設営と少し外を出歩いたら、あっという間に夜になってしまいました。
キャンプ場スタッフに、焚き火用の薪が欲しいと伝えると、早速マサイ族の男性が薪割りをして焚き火の着火までやってくれました。
直前に大雨が降ったので、すぐに火が付くのか?と思いましたが、手際良く火を起こしてくれました。
流石は人類が生まれた地の人々です。所作が素晴らしかったです。
時差ボケのせいかこの日は、夕食を食べてシャワーを浴びて2人で21時には寝てしまいました。

早朝に起きて敷地内を散歩してみる

ナイバシャ湖の漁民
朝も時差ボケで、午前5時には2人で目が覚めてしまいました。朝食を作る前に園内を散歩してみます。
湖の方まで、歩いていくと早朝にも関わらず漁民でしょうか、仕掛けた網を回収して魚を獲っているようです。

トムソンガゼルの群れ

敷地内にはヌーもいた

威厳のあるウォーターバック
昨日は、シマウマしか見当たらなかったのに、散歩しているだけでトムソンガゼル・ヌー・ウォーターバックなどもいました。流石に肉食動物はいないようです、まあ居たら大変です。
しばらく散歩していると、息子が大声で叫ぶように指をさします。
息子:「パパ!!あっちからキリンが歩いてくるよ!!」
筆者:「そんな訳ないだろ!簡単にキリンがいるわけ・・・・・!!」

筆者:「あ!」

2人:「キ・キリンだああ!!!」
なんということでしょうか!
こんなすぐにキリンに出会って、さらにキャンプ場に柵もない場所をキリンが普通に歩いているではないか! これぞアフリカ! サファリ王国です! キリンがキャンプ場を闊歩しているなんて!
さっきまで、なんとなく静かに散歩しているだけだったのに、筆者と息子は大興奮! こんな遠くの国までキャンプをしに来た甲斐があったと思える瞬間です。
キリンは脚力が強く、もし蹴られると危険なので、不用意には近づくことはできません。
でも、静かに距離を保って見ているだけならとても大人しい動物です。2人で興奮しながら眺めていましたが、最後は森の方に歩いて消えていきました。

サイトに戻り片付けをする
朝の8時半に、運転手兼ガイドのジョセフさんに迎えに来てもらうようにしていたので、散歩はやめて朝食を食べて片付けをします。
次に向かう場所は、筆者が長年の夢だった場所です。
夢だった100万匹のフラミンゴを観に

エレメンターイタ湖の国立公園の入り口で管理官にフラミンゴの詳しい生息域を聞くジョセフ
実は、筆者の長年の夢だった場所がこのケニアにあります。
昔、テレビで湖を埋め尽くすフラミンゴの群れを観て以来、その光景を一度見てみたいという密かな夢が筆者にはありました。
そのことを、ケニア在住の知り合い方に相談したところ、ナイバシャ湖から北に車で1時間、エレメンターイタ湖にフラミンゴの大群がいるということを教えてくれました。
ここは国立公園で、入場するには受付で料金を支払います。
ガイドが居てよかったな〜と思ったのはこの瞬間で、受付の管理官にフラミンゴがどこにいるのかを聞いてくれています。
もし、ジョセフさんがいなかったら結構苦労しただろうなと思います。

湖の岸沿いをピンク色のフラミンゴが覆い尽くしている

ピンク色は食べるエサの影響でピンク色になるようだ
国立公園内に車で入って湖の方を観てみると、かすかに湖の一部がピンク色になっていて、近づいてみると所狭しと、とんでもない数のフラミンゴがひしめいていました。
周辺を見渡すとフラミンゴがいるのはそこだけではなく、良くみると遠く反対側の湖畔沿いにもフラミンゴの大群がいて、ここはまるで天国なのか? と思う景色が広がっていました。
ジョセフさん曰く、ここには100万羽のフラミンゴが生息しているのだそうです。
スケールが凄すぎて感動を通り越して、しばし何も考えることができませんでした。
そういえばフラミンゴって何故あんなピンク色をしているのでしょう? 実は食べる餌が関係していて、甲殻類を食べるとピンク色になるそうです。なので産まれたばかりの個体は白いそうです。
マサイ族のいるキャンプ場へ
Loita Hills Basecamp(ケニア・Maji Moto)

マサイ族の村のキャンプ場
エレメンターイタ湖でフラミンゴを観た後は、マサイ族の方が運営しているキャンプ場へと向かいます。
アフリカと言えば「マサイ族」を連想する方も多いかと思いますが、彼らはケニア南部とタンザニア北部のみにいる先住民です。そう、アフリカ全土にいるような部族ではないんですね。
マサイ族の中には、伝統的なマサイ族の日々の暮らしを観光客に体験してもらうアクティビティを提供する施設が沢山あります。
今回、訪れた「Loita Hills Basecamp」というキャンプ場もその一つ。エレメンターイタ湖からは車で4時間ほどかかりました。

到着するとマサイ族の伝統的な衣装で大歓迎してくれた
早速到着すると、伝統的な衣装を身に纏ったマサイ族の人達が出迎えてくれました。
観光マサイ族なんだろうなんて思っていましたが、サバンナの中で伝統的な生活をしている正真正銘のマサイ族の皆さんでした。
宿泊はキャンプやバンガローがあり、アクティビティは主に、弓矢の射撃や槍投げ・マサイ族の村訪問・野生動物パトロール・サバンナでの野宿体験と結構盛りだくさんです。

常設のテントもある

トイレ・シャワーは牛のフンと土で作られているがとても綺麗だ

管理棟は木材で手作りで作られていて、2階建てで電気も通っていて充電もできる

アカシアの木のトゲトゲは天然の有刺柵にもなる、ちなみにキリンはアカシアの葉が大好物
キャンプ場はサバンナの中にあるので、草食動物だけじゃなく当然ライオンやハイエナなどの肉食動物もいます。
敷地内に肉食動物などの危ない動物は来ないのか? と思いますが、心配は無用です。
なぜならこちらも、アカシアのトゲトゲの柵で場内が囲われており、マサイ族の人が夜間もちゃんと監視してくれています。
彼らは、牛や羊などの家畜を大事にしているので、肉食動物に襲われないように日々警戒を怠らないことも関係しているようです。

温水シャワー用のお湯は焚き火で沸かしていた
到着した日は、テントを張り終えたらシャワーを浴びます。シャワーもきちんと温水シャワーでした。
お湯を焚き火で沸かしており、まさかこんなサバンナで温水が出るとは思いもしなかったので、嬉しかったです。

キャンプ場から観えるサバンナの夕景
せっかくマサイ族のキャンプ場に来たので、管理人さんにお願いをしてマサイ族村訪問と野生動物パトロールのアクティビティの予約をしました。
どちらのアクティビティも約20ドル。今のドル円換算だと結構いい値段ですが、こんな経験はなかなかできないので、思い切ってやってみることに。
翌日の予約をしてテントサイトに戻ると、サバンナの夕景が自分達を照らしてくれました。「なんか世界の果てに来たなあ」としみじみ思いました。
夕食はインディカ米のご飯を炊いて、味噌汁を作り、肉野菜炒めのおかずを作ってこの日は就寝しました。

朝もサバンナを眺めながら朝食をとる
朝起きると、マサイ族の人が挨拶しに来てくれました。
サバンナの朝日を浴びながら、昨日炊いて残ったお米でおにぎりを作って、即席味噌汁を身体に流し込みます。
マサイ族の男性が興味深くこっちを見ていたので、即席味噌汁をご馳走しました。最初は怪訝な顔をしていましたが、口をつけると美味しかったみたいで全部飲んでくれました。

マサイ族の家はすべて土と牛のフンを混ぜたもので出来上がっている

マサイ族の財産は牛で、非常に大切に飼育している

家の中に煮炊きもできる暖炉があって暖かい
朝食を終えると、昨日予約していたマサイ族の村を訪問します。キャンプ場から歩いてすぐです。
村はアカシアのトゲで作られた天然の柵の中に囲われており、なかには、10軒程の建物があります。
40代くらいのマサイ族の男性が、彼らの部族について英語で説明してくれました。
まず子供への挨拶は頭を撫でるとのこと。子供も筆者の前に来ると頭を差し出してきます。なので、遠慮なく頭を撫で撫でしてあげます。
息子も年下の子には頭を撫で撫でしてましたが、年上の子は頭を差し出してきません。年下が年上にやるのはNGなんだそうです。
マサイ族の家は、すべて土と牛のフンを混ぜて作られているそうで、臭くはないのかな? と思いましたが、全く気になりませんでした。
家の中には、牛や羊の幼獣が居て、寒さから守っているようです。家の中は暖炉があるおかげでとても暖かく、居心地が良かったです。
外の柵の中には、マサイ族の人たちが大事にしている牛が大量にいます。彼らにとって、牛は「お金」と一緒。
特に男性が牛を所有していないと結婚もできないそうです。

野生動物パトロールに一緒に同行してくれた若いマサイ族の男女

野生のシマウマ
マサイ族の村訪問を終えると次は、野生動物パトロールのアクティビティです。
簡単に言うとマサイ族の人とサバンナを散歩をして、野生動物を探すという徒歩サファリです。運が良ければゾウやライオンが観れると言ってましたが、果たしてどうでしょうか。
ここでは、男女の若いマサイ族の2人が案内してくれました。男の子は槍を携帯しており、いざという時に戦ってくれるそうです。なんとも頼もしいですね。
サバンナを歩いていると、早速野生のシマウマの群れがいます。もうこの頃には一生分のシマウマを観てしまっているので、特に感動もなくなっておりました笑。
アフリカではシマウマは本当にどこにでもいる感じです。

マサイ族の2人が、あそこにキリンがいるというが都会育ちの日本人には全くわからない

カメラで拡大してやっとキリンがいるのがわかる
小一時間サバンナを歩いていると、マサイ族の2人が山の森の方を指して何か言っています。
マサイ族の男:「あそこにキリンがいるだろ?」
筆者:「えっ?どこよ?全くわからないんだけど」
マサイ族の女:「私の視線の先を見てみて!ほら!」
筆者『……って全然わかんないよ!ってマサイ族本当に視力が良いな!』
サバンナに住むマサイ族は、家族や家畜を守るために日々遠くを見渡すので、8.0から12.0という驚異的な視力を持ち合わせてるようです。
都会育ちの日本人にはまったくわからず、カメラのモニターを拡大して、ようやくキリンを見つけることができました。

先ほどの野生のキリンの群れの近くまでやって来た
ガイドの2人が、キリンの傍まで案内するということなので、歩いて近づきます。
どうやら、昨日キャンプ場で観たキリンは半分飼われているような状態で、一方、こちらは本物の野生です。
こっちを物凄く警戒して眼光鋭く見ています。野生のオーラが満開で日本人の筆者達はキリンですら近づくことすらできませんでした。

チャパティーとカレーを昼食に頂いた
2時間半の野生動物パトロールが終わって、ヘトヘトになってキャンプ場に帰るとお腹が空いたので、食事を頼みました。
出て来たのはチャパティーと野菜のカレーです。インド洋貿易の名残なのか、サバンナでもカレーが一般的みたいです。
味は日本人好みで、疲れた身体にはありがたい昼食でした。昼食を食べたら次のキャンプ地へと移動です。マサイ族の人々にも挨拶をしてキャンプ場を後にします。