実際に使ってみた
それでは実際に使ってみましょう。筆者はナイフに詳しいわけではないので、キャンパーとして素直な視点で、切れ味や使い心地を見ていきます。まずは野菜からスタート!
野菜を切ってみた
ナスを切ってみました。新品ということもあり、何らストレスなくスーッと刃が入っていきます。刃厚が2mmと薄めなので圧迫される感じもなく、またハンドルも快適な握りやすさでした。
だたし6cmに満たないブレードなので、このようにいっぱいいっぱいの状態となりがちです。ナスでこれですから、立派な玉ねぎや大根の場合は、回転させながら切る工夫が必要ですね。
ということで大根を切ってみましょう。前述したように大根を回転させながら刃を進めることで、スパッと切り離すことができました。食材をくるくる回しながら切るのは、そんなに苦ではありませんね。
6cm超のボリューム、かつ回転させられない食材でないかぎり、問題なく使えると思います。
サイズや強度的に用途を選びます
次にバトニングしてみましょう。といってもブレードが短く、またフルタングでもないので、細く、割れやすい薪にしか対応できません……という条件でバトニングの様子を撮影したところ、冗談のような画となりました。いやもう十分細いでしょ的な。
またこのナイフでバトニングできるくらい薪を細くするには、別のナイフでバトっておく必要があります。ますます冗談のような話になりますね。そもそもブレードにスウェッジのあるナイフなので、バトニングでの使用は現実的ではありません。
しかし削る作業にはバッチリ対応できます。というかこうした細かい作業でこそ、ミニナイフは本領発揮。ブレードがコンパクトで扱いやすく、なんというか小回りが効く感覚があります。フェザーづくりはじつに快適でした。
着火にも使えます
ブレードの背が角ばっているので、ファイヤースターターで火花を発生させることができます。実際に着火できるかどうかはスキル次第であり、筆者は成功率が低いのですが、画像のように確かに火花を飛ばすことができました。
ストライカーとして使う場合、長いブレードは必要ありません。さっと取り出せてハンドルを握りやすい本製品は、火起こしにぴったりですね。バトニングこそ不向きですが、薪割りにナタやクサビを使っているキャンパーなら重宝すると思います。
さてここまで読んで、「このナイフ、どこかで見たことがあるような……」と思われたかもしれません。じつは似ている製品が存在するんです。
モーラナイフの「エルドリス」と比較してみた
似ている製品……それはモーラナイフの「エルドリス」です。シースに入った状態で並べてみると、サイズ感はほぼ同じ。ブラック基調なのも共通していますね。
ちなみにエルドリスはただいまAmazonで4,510円(税込)。両者には3,000円弱の価格差があります。
モーラナイフ エルドリス
ブレード素材 | ステンレススチール |
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ハンドル素材 | TPEラバー、ポリプロピレン(中央部) |
サイズ | 刃長 約59mm 全長 約143mm 刃厚 約2.0mm |
重量 | 約80g(ナイフのみの重量) |
付属品 | プラスチックシース ※ファイヤースターター、パラコード、セカンダリーロッキングは付属しておりません |
並べるとこんな感じ
シースから取り出して並べてみました。全体の雰囲気は似ていますが、ブレードは長さも形も違うことがわかります。
ハンドルは似たようなシルエットですが、エルドリスの方が気持ち平べったいかな、といったところ。素材的には樹脂+ラバーで構成されている点が共通しています。
ブレードの違いは?
ブレードをよく見てみましょう。コーナンの方は前述したようにスウェッジ付き、対してエルドリスは、先っちょ半分ほどに謎のベベルがついていますね。これは先端の方を薄くすることで、食材のカットや木工作業をやりやすくする工夫のようです。
コーナンのグラインドが「スカンジ」であることは前の方でも触れましたが、それはモーラナイフでおなじみの刃の形状。ということで両者とも刃はスカンジです。
それに加えてエルドリスの方は、刃のエッジに「マイクロベベル」というグラインドが施されていて、刃こぼれしにくいようになっています。
切れ味&扱いやすさは?
食材を切って比較したところ、先端が薄い分エルドリスの方が、刃が入っていきやすかったです。しかしブレードが長い分コーナンが有利な場合もあり、どちらか一方に軍配を上げるのは難しいですね。
フェザーづくりでは、切れ味に差は感じませんでした。が、これはあくまでもコーナンの方が新品状態での話。ステンレスの硬度とマイクロベベルの有無により、「エルドリスの方がよく削れる」という未来が予想できます。といっても、砥ぐことでカバーできる話ではあります。
木工作業でも比較してみました。コーナンの方も十分扱いやすいのですが、エルドリスの重量バランスの秀逸さ……それによる扱いやすさに改めて気づかされることになりました。念押しして言うと、コーナンが使いにくいということはありません。相手が悪いです。
火花の飛ばしやすさは?
ストライカーとしての使い心地には、特に差は感じられません。どちらもいい感じに火花を飛ばすことができました。
ただここで思い出されるのが、価格差。エルドリスには「エルドリス ライトデューティー」というシンプル版もあり、そちらは3,300円(Amazon価格)で、背に角がないのでストライカーとしては使えません。「モーラは4,510円出さないと火花を飛ばせないのか」と思うと、コーナンの方を褒めたい気持ちにはなります。
モーラナイフ エルドリス ライトデューティー S
サイズ | 刃長 約59mm 全長 約143mm 刃厚 約2.0mm |
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重量 | 約80g(ナイフのみの重量) |
素材 | 刃素材:ステンレススチール 柄素材:TPEラバー、ポリプロピレン(中央部) |
付属品 | プラスチックシース |
携帯性には大きな違いが
コーナンのミニナイフはシースにループがあって、パラコードを通すことができます。
こんなふうにネックナイフにしてもいいし……。
細いカラビナを取り付けて、バックパックなどにぶら下げることも可能。MAG EASYあたりのスマホショルダーに下げておくのもアリですね。
マグイージー スマホショルダー ネックストラップ
サイズ | 約 135cm × 2.6cm × 1cm |
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重量 | 約 46g |
素材 | ナイロン、メタル |
対応機種 | SMART PHONE スマートフォン 各種 |
一方のエルドリスもシースにパラコードを通すことはできます。しかし樹脂製のシースは出し入れしているうちに緩くなってきて、落下の危険が……。
ネックナイフとして吊り下げるには「エルドリス ネックナイフキット アクセサリー」を購入するのが無難ですが、それが3,630円(Amazon価格)もするんですよね。キットにはファイヤースターターも付属し、また最初からセットになっているパッケージもあるんですが、とにかくネックナイフにするには経済的負担を伴います。
モーラナイフ エルドリス ネックナイフキット アクセサリー
内容 | ・ファイヤースターター ・セカンダリーロック ・パラコード |
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モーラナイフ エルドリス ネックナイフキット S
サイズ | 刃長 約59mm 全長 約143mm 刃厚 約2.0mm |
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重量 | 約80g(ナイフのみの重量) |
素材 | 刃素材:ステンレススチール 柄素材:TPEラバー、ポリプロピレン(中央部) |
付属品 | ・プラスチックシース ・ファイヤースターター ・パラコード ・セカンダリーロッキング |
【まとめ】コーナンのミニナイフには十二分にメリットあり
最後に正直にデメリットを報告します。何度かキャンプで使ってみた結果、モーラに比べて明らかに刃こぼれはしやすかったです。これはステンレスの硬度と刃付けが要因でしょう。
しかし筆者はちょうど、ナイフをうまく研げるようになりたいと思っていたところ。格安のコーナンナイフをガシガシ使い、ちょいちょい研ぐことで、一緒に成長できるのではないかと思いました。デメリットが転じてメリットになるパターンですね。
あとは安っぽく見えないのがいいですね。モーラ風味の見た目により、北欧の風が感じられるような、アウトドア感あふれるナイフに仕上がっています。ちょっと言い過ぎました。
ともかくたった1,628円(税込)で購入できる、携帯性バツグンのコーナン製ミニナイフ。入門用には文句なしでバッチリだし、セカンドナイフがほしかったキャンパーにとっても、検討の価値は大アリです。