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レジェンドギア

カセットこんろの常識を変えた。イワタニ「タフまる」がベストセラーになるまで【勝手にレジェンドギア表彰】

抜群の知名度を誇り、キャンパー誰もが持っている。そんな「レジェンドギア」をCAMP HACKが勝手に表彰する本企画。

第四回目となる今回は、大定番カセットこんろ、イワタニ「タフまる」シリーズ

開発秘話からものづくりにかける熱い思いまで、余すところなく伺ってきました!

本ページはアフィリエイトプログラムを利用しています。

目次

撮影:編集部

そのレジェンドギア、表彰していいですか?

タフまる

日々進化を遂げるアウトドア業界。たくさんの新商品が生まれては、時代の流れとともに消えていきます。

そんな中、発売から数十年経っても姿を変えず、いまだに多くのキャンパーから絶大な支持を集める「レジェンドギア」が存在しています。

イワタニのロゴ

誰もが認める逸品の裏には、キャンパーを魅了する開発ストーリーが眠っているはず。

本企画はCAMP HACK編集部が、「レジェンドギア」の開発者にスポットライトを当て、日頃の感謝をこめて“勝手に”表彰する連載です。

前回はこちら

イワタニ「タフまる」シリーズ

タフまる

今回のレジェンドギアは、初心者から玄人キャンパーまで、幅広く支持され続けているアウトドア向けカセットこんろ「タフまる」と「タフまるJr.」

風の影響を受けにくく、安定した火力、ダッチオーブンも置ける堅牢性などなど……

日常にもアウトドアにも馴染む機能性が大人気のアイテムです。

産業・家庭用ガス専門商社「岩谷産業」から2018年に発売され、いまやアウトドアの定番カセットこんろとして定着しました。

抜群の知名度を誇る、まさにレジェンドギアと呼ぶにふさわしいギアです!

開発秘話を教えてくれたのは、この人

タフまる

多田 剛さん

カートリッジ本部 お客様総合サービス部長。「タフまる」シリーズを企画、開発した人

「かっこいい」カセットこんろを求めて

──タフまる誕生のきっかけは?

タフまる

タフまるは、2012年に発売された「風まる」の流れを受け、アウトドア向けカセットこんろとして2018年に誕生しました。

もともとイワタニは、タープや食器などほかのアウトドアギアも手掛けていました。しかし会社としては、やはりカセットボンベの普及が重要。

鍋だけでなく、もっと幅広いシーンで使えるカセットこんろを作ろう! という思いから「タフまる」の開発がスタートしました

──「タフまる」はデザインが特徴です

イワタニ「タフまる」と「かぜまる」

前身となる「風まる」と比べて、角張った無骨デザインが特徴的な「タフまる」

当時のキャンプブームは、かっこいいRV車が若者に人気で、アウトドアギアにも「かっこよさ」が求められ始めたタイミング

それまでのアウトドア向けカセットこんろはお世辞にもかっこいいとは言い難かったです。

機能は素晴らしかったが、いかんせん形が「ザ・カセットこんろ」といった具合でした

タフまる

やはりかっこ良いビジュアルにこだわりたいという点は重要視しつつ、特許を取得してる「ダブル風防ユニット」を取り入れることに。

ダッチオーブンを使えるようなアウトドア向けのカセットこんろを目指したのが「タフまる」シリーズです

ダブル風防ユニットとは?

「外側風防」と「内側風防」の2つの風防を備えることで、安定して炎に影響を及ぼす風を防ぐ効果が得られます。
一方、炎の燃焼に必要な空気は、「内側風防」の下から引き込み、安定した燃焼を支えます。

──開発する際のこだわりポイントは?

タフまる

山岳用などに用いられる、多孔式バーナーを採用している

「タフまる」の開発には、機能性とかっこよさを両立させることが大きな目標でした。

風に強いダブル風防ユニットに加え、バーナーを一般的な外炎式ではなく、多孔式に変更。火足が短く広くなり、より風に強い構造を実現させています。

これにより、扇風機の風をあてても火が揺るぎません

イワタニ「タフまる」と「かぜまる」の脚部

また、一般的に樹脂製なことが多い脚部ですが、金属製のパーツを使用し、熱で溶けることを防ぎながら、重いダッチオーブンを乗せられる強度を持たせています

タフまる

ケースのデザインにもこだわっています。ジープのガソリン缶をイメージして、堅牢なデザインに仕上げました

──開発時の理想とのギャップはありましたか?

タフまる

安全性の確保ですね。

これまでは土鍋を想定したものが多く、ノウハウもありました。しかし、キャンプで多用されるダッチオーブンとなると話が違ってきます。

メーカーごとに、さまざまなサイズ、重さ、形状、素材があって、落とし所が非常に難しい。

堅牢製だけでなく、カセットこんろ自体への熱ダメージはもちろん、その下のテーブルとのクリアランスなども想定しなければならず。

また、お客様がどういう使い方をするか、ある程度雑に扱ったとしても、安全を担保できるところまでテストを繰り返しました

発売後、瞬く間に人気商品に

──発売当初の反応はどうでしたか?

タフまる

「タフまる」のヒットを受けて開発された「タフまるJr.」

「タフまる」は発売初年度で4.5万台も売れました。

カセットこんろは、1機種3万台売れたらヒットと言えるので、これは大ヒットと言える数字です。

今でも年間で安定して15万台ほど売れ続けており、累計販売台数は、73万台を超えています。

2年後に発売された兄弟分の「タフまるJr.」も、すでに53万台売れている状況です。

キャンプ人口が約400〜500万人といわれていますが、その中で3〜4人に1人は「タフまる」シリーズを持っている計算になります。

──「タフまる」がヒットした理由は?

イワタニ「タフまる」のブラックバージョン

タイミングが非常に良かったです。2015年頃からグランピングが流行し始め、アウトドアがよりスタイリッシュに楽しめるようになったことが大きな要因です。

さらに、SNSが発展してきた時期とも重なり、アウトドア好きの口コミがどんどん広がっていきました。

そして、2020年以降、コロナ禍でのソロキャンプ需要が急増し、さらに加速していきました

「タフまるJr.」で人気がさらに加速

──一回り小さい「タフまるJr.」も定番アイテムです

タフまる

2019年、ソロキャンパーが急増し、もっとコンパクトで持ち運びしやすいカセットこんろが求められていました。

そこで、「タフまる」のコンセプトを引き継ぎつつ、小型化した「タフまるJr.」を開発しました。

もともと家で使う小型のカセットこんろは作っていたのですが、大きな反響は得られていませんでした。

しかし、ソロキャンプが普及し、一人で使いやすいアウトドアこんろの需要が拡大。「タフまるJr.」も市場に受け入れられました

──「タフまるJr.」はただ小型化しただけではないとか?

タフまる

「タフまるJr.」は単純に「タフまる」を小さくしただけではありません。例えば、風防ユニットは「タフまる」より少し長方形になっています。

バーナー部分を真ん中からずらすことで、鍋を置いたときに熱がこもりにくくなるクリアランスを確保しているんです

イワタニ「タフまるJr.」のヒートパネル

また、Jr.にはイワタニで初めてヒートパネル(加温装置)を搭載しており、寒い環境でも安定して火力を保つことができるように工夫しています。

これにより、ソロキャンプでも使いやすく、通常の小型こんろが1,680kcalほどのところ、2,000kcalを超える火力を備えるカセットこんろが完成しました

社外オプションが出るほどまでに

──発売してから改良した点はありますか?

タフまる

ケースのデザインを変更したり、カラーを追加したりしています。

タフまるは当初ブラックのみだったのですが、オリーブのみだったタフまるJr.が非常に人気だったため、タフまるはオリーブ、タフまるJr.はブラックをそれぞれ追加しました

──社外オプション品についてはどう思っていますか?

タフまる

社外オプション品を開発されるほど、人気になったというのは素直に嬉しく思っています。

私たちでは拾いきれない細かなニーズを、満たしてくれるギアはありがたい。

しかし、すべてが安心して使用可能かはチェックしきれません。使用を推奨することはできないので、あくまで自己責任で使用していただきたいと思っています。

特に輸入品は危なそうなものが多いので、気をつけてほしいと思っています

環境に配慮した未来のタフまるへ

──最後に、今後の展望について教えてください

イワタニ「タフまる」の未来について話す担当者

タフまるは不朽の名作としての地位を確立しつつありますが、さらなる進化も目指しています。

たとえば環境への配慮。

現在、カセットボンベにカーボンフットプリントを表記しています。ここに表記しているCO2排出量をできるだけ減らせるように、工場の脱炭素化や環境負荷の少ない燃料・器具の開発をすすめていきたいと考えています

カーボンフットプリントとは?

商品やサービスの原材料調達から廃棄・リサイクルに至るまでのライフサイクル全体を通して排出される温室効果ガスの排出量をCO2に換算して、商品やサービスにわかりやすく表示する仕組み。

タフまる

コストはもちろんかかってしまいますが、自然を愛している方々、アウトドアに携わっている方々は、少しでも地球に貢献したいという考えにきっと賛同していただけると思っています

アウトドアで使うからこそ、アウトドアを大事にするような製品を作っていきたいです

強くてかっこ良いキャンパーの相棒をありがとう!

タフまる

今回の取材では、イワタニという会社としての、ものづくりの精神も伺うことができました。

細部まで妥協せず、メーカーとして蓄積された技術を惜しみなく注ぎ込んで、ユーザーのニーズに応えようとする姿勢。そんな企業としての魂がこもっているからこそ、アウトドア業界内外から支持を得ているのでしょう。

レジェンドギアになるべくしてなったともいえる「タフまる」シリーズ。今後どのようにアップデートされていくのか、楽しみですね!

貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました!

▼イワタニ公式サイトはこちら

    イワタニ タフまる

    本体サイズ(幅×奥行×高さ)341×283×129mm
    重量約2.4kg
    火力3.3kW (2,800kcal/h)
    連続燃焼時間約75分 (気温20~25℃のとき強火連続燃焼にてカセットボンベ1本を使い切るまでの実測値)
    ガス消費量236g/h (気温20~25℃のとき、30分間のガス消費量を1時間に換算したもの)
    材質[本体] 鋼板
    [トッププレート] ホーロー用鋼板
    [ごとく] ホーロー用鋼板
    [バーナー] 鋼板 (ステンレス)
    [点火つまみ] ABS樹脂
    [収納ケース] PE
    使用ガスイワタニカセットガス、イワタニカセットガスパワーゴールド
    安全装置圧力感知安全装置、他
    特長容器着脱方式:マグネット方式
    対応鍋サイズ鍋底の直径が24cm以下(小さい鍋は鍋底が16cm以上)
    付属品専用キャリングケース
    添加装置圧電点火方式

      イワタニ タフまるJr.

      本体サイズ(幅×奥行×高さ)286×193×122mm
      重量約1.6kg
      火力2.3kW (2,000kcal/h)
      連続燃焼時間約102分
      ※上記はイワタニカセットガス/パワーゴールド使用時
      ※イワタニカセットガスジュニア使用時は、約45分
      (気温20~25℃のとき強火連続燃焼にてカセットボンベ1本を使い切るまでの実測値)
      ガス消費量169g/h (気温20~25℃のとき、30分間のガス消費量を1時間に換算したもの)
      材質[本体] SPCC(鋼板)
      [フレーム] SPCC(鋼板)
      [容器カバー]SPCC(鋼板)
      [トップパネル]SPP(ホーロー用鋼板)
      [バーナー]SUS430(ステンレス鋼板)
      [点火つまみ] ABS樹脂
      [収納ケース] PE
      使用ガスイワタニカセットガス、イワタニカセットガスパワーゴールド、イワタニカセットガスジュニア
      安全装置圧力感知安全装置、他
      特長ダブル風防
      多孔式バーナー
      ケース付
      対応鍋サイズ上面の内径が20cm以下(小さい鍋は鍋底が11cm以上)
      付属品専用キャリングケース
      添加装置圧電点火方式

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