「なるほど!」がそこにあった
はい、宮城県の「アイリスオーヤマ 角田工場」にやってきました。ここがHUGELの事業拠点です。それではさっそく、真空断熱クーラーについて話を伺っていきましょう!
取材に応じてくれたのは、こちらの3名。「HUGEL」の統括事業部長である河阪雅之さん(左)、HUGEL 真空断熱クーラーボックスを開発した岡山蒼馬さん(中央)、同じく小野諄志さん(右)です。
河阪さん
ようこそいらっしゃいました
岡山さん
今日は開発秘話をたっぷりと語らせてもらいます
小野さん
私もキャンプが大好きなんですよ。今日はよろしくお願いします!
HUGELといえば「なるほど機能」
まずは「なるほど家電」で知られるアイリスオーヤマが、なぜアウトドアブランド「HUGEL」を立ち上げたのかを訊いてみました。
河阪さん
大前提として、社員にキャンプ好きが多いということがあります。
そしてアイリスオーヤマは家電だけでなくさまざまな商品を扱っていて、そのなかに防災用品があるんですね。
アウトドア用品と防災用品は親和性が高く、相乗効果が期待できることもあってスタートしました
小野さん
アウトドア市場には安い商品もあれば、こだわりが詰まっていてビックリするほど高価なものもありますよね。
しかし手の届く価格で本質的な機能にこだわる……、それがアイリスオーヤマであり、アウトドアの世界で実現するのがHUGELです
最強のクーラーを作った理由
そんなHUGELのアイテムのなかでも、大人気なのがクーラーボックス。なぜクーラーボックスの開発に乗り出したのでしょうか?
河阪さん
もともとは雑談から始まりました。アイリスオーヤマではコンテナボックスなど樹脂の製品を多くつくっている背景があって、ノウハウもある。
そして冷蔵庫の製造技術もあるので、保冷力の高いクーラーボックスがつくれるのでは……と
岡山さん
そこから冷蔵庫で使っている「VIP材」という技術を、クーラーボックスに活かすことにしたんです
HUGELならではのワード「冷蔵庫」が飛び出しました。詳しく訊いていきましょう。
冷蔵庫の技術はどういった点で活かされている?
ショールームには多くの冷蔵庫が展示してありました。冷蔵庫のどういった技術が、クーラーボックスに活かされているのでしょうか?
河阪さん
冷蔵庫の壁面には、真空断熱パネルとウレタンの組み合わせであるVIP材が用いられています。
これらが保冷力を高める仕組みとなり、省エネも実現しているんです
小野さん
VIP材はもともとスリム冷蔵庫など、冷蔵庫の壁面を薄くして容量を増やすための技術だったんです。
そのノウハウを転用してクーラーボックスの保冷力UPを狙いました。
またクーラーボックスは冷蔵庫と違って冷却機能がないので、壁面の薄さよりも保冷力を重視することにしました
クーラーボックスに冷蔵庫の技術を詰め込む苦労
そうして始まった冷蔵庫技術の転用計画。しかし開発は一朝一夕には進まず、さまざまな苦労があったそうです。
岡山さん
真空パネルと樹脂との隙間をウレタン材で埋めるわけですが、これは隅々まで均一に充填しないと、保冷力が下がってしまいます。
漏れてもダメ、隙間ができてもダメ……その調整に苦労しましたね。
ウレタンの流れを調整する形状を足したり、圧力を逃がす形状を作ったりなどのトライアンドエラーで何とか調整しました
こちらは試作品の断面図。見事にウレタンが充填されていますが、この状態にたどり着くまでに、家電と同じくらいの開発期間がかかったそうです。
岡山さん
あとは樹脂の変形にも悩まされました。側面が湾曲したり、底面がドーム状に膨らんだり……。
特にフタは重要で、ピタッと閉まらないと冷気が逃げてしまいます。
歪みがまったく出なくなるまで、コンピュータ上での解析や工程の調整を繰り返しました
トライアンドエラーの末に完成した本体とフタは、金属製のバックルで固定されます。このパーツにもこだわりが詰まっていました。
河阪さん
SUS316という高価なステンレスを使って鋳造しています。フタをしっかりガッチリと閉められるよう、強度にこだわりました
小野さん
キャンプではクーラーボックスが雨に濡れることもあるので、サビにくさも重視しました。
ゴムのラッチと違って、開閉に力が要らないのもポイントです
高い保冷力は強み!?
ここでシンプルな疑問が。一般的にキャンプというと、一泊二日や二泊三日の日程が多いと思います。
本シリーズのクーラーボックスは、40Lサイズで最大13日間も氷が解けないそうですが、そこまでの保冷力は必要でしょうか?
小野さん
炎天下の状況や、夏の車内温度を考慮すると、高い保冷力は安心感がありますよね。
あとはキャンプで余った食材を持ち帰ったり、道中で生鮮食品を買い物したり……そういった使用シーンを想定し、オーバースペックな保冷力になっています
キャンプやレジャーで活躍する一台とは
本シリーズは、キャンパーに好まれるスタイリッシュなデザインも魅力のひとつ。クーラーボックスとしては敬遠されがちなブラックをあえて採用しています。
河阪さん
たしかにクーラーボックスで黒ってどうなのかな、という思いもありました。どうしても熱を吸収してしまうので。
ですが真空断熱パネルによって保冷力を確保できるので、この色を採用することができました
ブラックは保冷力の証。実力あるクーラーだけに許されるカラーを、誇り高く纏っているというわけですね。
そして頑丈さも本シリーズの特長です。
岡山さん
耐荷重が100kgもあるので、テーブル代わりにするのはもちろんのこと、腰をかけても問題ありません。
また天板は水がたまりにくくなっていて、ドリンクなどをこぼしても流れ落ちやすくなっています。
粗めのシボ加工によって、傷がつきにくい工夫も盛り込みました
多くのキャンパーが絶賛しているギミックがこちら。フタの裏にネットが設置されていて、保冷剤を固定することができます。
小野さん
保冷剤が内容量を圧迫するのを避けたかったんですよね。それに内部を効率よく冷やすには、保冷剤は上にあった方がいいんです。
一体型の冷蔵庫は冷凍室が上にあって、その冷気を落として冷やすという技術があります。そこからヒントを得ました
このスペックなのに手に入れやすい
さすがはアイリスオーヤマを母体に持つHUGEL、「なるほど」と感心する技術や工夫が詰まっていました。それでは最後に、サイズやカラーのラインナップを紹介していきましょう。
2色3サイズの展開
まずカラーはキャンプスタイルに合わせて選べる2カラー。無骨スタイルにもお洒落スタイルにも自然に馴染むので、まったく合わないテントサイトはまず存在しないと思います。
サイズはファミリーキャンプに対応する40Lと、ソロ~デュオにぴったりの20Lサイズ……だったんですが、今年、さらに大きなサイズが仲間入りすることに!
それがこちらの60Lサイズ。人物とのバランスから、かなりのビッグサイズであることがわかります。しかしハンドルとタイヤが付いているので、大量のドリンクや食材を運ぶのもラクラクなんです。
新サイズのディテールをチェック!
60Lの容量は大迫力。500mlのペットボトルなら66本、2Lのペットボトルは17本も入ってしまいます。
ちなみに買い物に使うことも想定していて、コストコの大きな肉のパックが、すっぽりと入るように設計したのだとか。
大量買いするときの買い物に持って行ってもいいし、大人数でのキャンプやBBQの買い出しでも活躍してくれますね。
インタビューで話題にあがった高級バックルは、贅沢に3つも搭載。大きなフタをがっちりとつかんで離しません。
タイヤは耐久テストを繰り返し、かなり頑丈に仕上がっているとのこと。キャンプ場では砂利道を移動することも多いので、耐久性の高いタイヤは助かりますね。
そして「なるほど」と思ったのがハンドルのつくり。垂れ下がった状態からは、あえて90度しか広がらないようになっています。
そうすることでテコの原理で持ち上がり、軽々と運ぶことができるというわけです。
アイリスオーヤマの「引き算方式」
本シリーズのラインナップは、もちろんすべて高コスパ。サイズが近い海外メーカー製で5万円オーバーすることが多い(アイリスオーヤマ調べ)のに対し、断然手頃な価格で販売されます。
というのも、一般的な企業では「足し算方式」で価格を設定しているところ、HUGEL(アイリスオーヤマ)は「引き算方式」。
まずキャンパーが買いたい価格から逆算し、重要な機能に絞ってクオリティにこだわり、お値打ち価格を実現しているんです。
なるほど機能が詰まったおすすめクーラー
ということで以上、開発陣のインタビューをまじえて「HUGEL 真空断熱クーラーボックス」を紹介しました。
いまこうしている間にも、最高温度は日に日に上がってきています。クーラーボックスの新規購入や買い替えを検討しているキャンパーは、ぜひ本シリーズを検討してみてください。
圧倒的な保冷力に助けられるシチュエーションが、きっとあると思いますよ!
Sponsored by アイリスオーヤマ株式会社