調理の熱源として
調理の熱源として使えるかどうか、500ml程度の水を沸騰させてみましょう。スマホのストップウォッチで沸騰までのタイムを計ります。
……しかしここでトラブル発生! 現地は風速2mほどの河原サイトだったのですが、風が吹く度に炎が消えそうになりました。こんな調子でケトルの水を沸騰させられる気がしません。
もともとアウトドア製品ではないこともあり、風にはめっぽう弱いことがわかりました。調理の熱源として使えるかどうかは……幕内で仕切り直しです!
調理の熱源として(再挑戦)
風を避けて幕内で再挑戦したところ、ケトルの水は無事に沸騰しました。ガスバーナーのようにガーッと加熱する感じではなく、ゆっくりじっくりと温めていって、沸騰に達しました。
アイロンを温めるための道具……というのが納得の熱源でしたね。ちなみにタイムは計測を忘れましたが、写真の記録からするとたっぷり20分はかかりました(もちろん条件によります)。
メスティンでも試してみると、メスティンの形状に横長い炎がマッチしているようで、ケトルよりも効率よく熱が伝わってる感がありました。
きっとこれは長方形の鉄板でも同様でしょう。
出典:Instagram by @thouswinds_japan
公式からはこんな使用提案も。肉をジュウジュウと焼きたい場合もバッチリです。
ランタンとして
では次に、明かりとしてはどうでしょうか? オイルランタン、LEDと比較してみます。
左からLED LENSER(レッドレンザー)の「ML4 Warm Light」、本製品、FEUERHAND(フュアハンド)の「ベイビースペシャル276」と並んでいます。ML4の明るさはミドル(50ルーメン)に調節しました。
こうして見ると本製品が最も明るいですね。テーブルの上を雰囲気よく照らす……くらいの明かりなら充分に担えると思いますが、いかがでしょうか。
暖房として
さて最後は暖房としての実力を見ていきましょう。このとき使用した幕は、ソロキャンプで愛用しているポーランド軍幕です。
……筆者視点で見るとしびれるかっこよさ! これで本当に暖房として機能するのであれば、最高の道具だと思いました。
ちなみに幕内で使う場合は、画像にも写り込んでいますが一酸化炭素チェッカーが必須。その上でこまめに換気をし、一酸化炭素中毒には過剰なほどの警戒が必要です。
暖房としての機能がいちばん強力かも!
ただいまの外気温は3℃。冬キャンパーにとっては珍しくもない気温ですが、普通に寒くて焚き火や薪ストーブが恋しい状況です。
本製品を設置して30分後……幕内の温度は12℃超に! たった30分で10℃近い温度アップとなりました。これから燃焼時間が長くなるにつれ、さらに温度は上昇していきます。
筆者は薪ストーブユーザーですが、ソロ~デュオ幕なら本製品で充分だと思いました。もちろんキャンプ地にもよりますが、このときは「コレがあれば薪ストーブは別になくても…」と思ってしまいました。
アイロンストーブの暖房としての実力は、想像を遥かに超えていましたね。冬キャンプ用の暖房として買う……これ普通にアリです。
注意すべき点は?
風に弱いことはすでに判明しましたが、それ以外の注意すべき点をまとめました。
本体はアチアチになります
暖房として使えるぐらいですから、ゴトクだけでなくホヤ全体がアッチアチになります。うかつに触ろうものなら火傷不可避でしょう。
燃焼中はタンク部分の温度すら、60℃近くに上昇していました。さっきも触れましたが外気温は3℃程度です。本製品の全体が熱くなることが、わかってもらえると思います。
コンパクトな箱型なのでなんとなく油断しがちですが、「火を扱っている」という自覚をしっかり持って使いたいですね。
注意事項には、使用時には可燃物から最低1m、周囲からは最低30cm離れて使用することとの記載もあります。ご注意を!
芯の上げすぎに注意!
これは屋外でお湯を沸かす際、風に吹き消されそうになったため「くっそー、火力アップだ」と芯を上げまくった一幕です。
公式からは、炎の大きさはガラス窓の2/5以下に抑えての使用を推奨されています。
つまり明らかに間違った使い方です。
……結果、マドはススで真っ黒に。せっかくの揺らめく炎が見えなくなるばかりでなく、燃焼しているかどうかの視認もできません。
芯を上げすぎるとススが出る、これは心に刻んでおきたいですね。
もしススで汚れてしまった場合は、こんなふうにホヤをオープンして拭き取ればOK。
あるいはマイナスドライバーでマドの額縁を外してしまえば、耐熱ガラスを取り外して隅から隅までキレイにすることも可能。
また万が一、割れてしまった場合は別売りでガラスのみを購入することができ、その取り付けもマイナスドライバー1本でOKです。
運搬時はタンクを空に
燃料タンクの蓋には、横っちょに小さな穴が空いています。これは空気の通り道を確保している模様ですが、オイルたっぷりの状態で全体を傾けると、この穴から漏れ出しました。
仮にこの穴がなくても、燃料タンクは密封されているわけではありません。
オイルは使い切ってしまうか、撤収時に抜いておく必要があるようです。このときは余ったオイルを抜きましたが、きれいに使い切るのがもっとも手間いらずですね。
オイル満タン400mlで約8時間の燃焼時間なので、筆者のようにとにかく満タンにするのではなく、注入段階から適量にしておきたいところです。
高価なギアゆえ運搬に気を遣う
本製品は比較的リーズナブルだとはいえ、やはり安価なギアではありません。それにガラスもあるし「何に収納して運ぶか」にとても気を使います。
ちょうどいいサイズの、クッション性に優れたケースを用意するのが一番ですが、そのケースを買うとまた出費が……。高価なギアゆえの悩みは尽きませんね。
同ブランドからピッタリの収納バッグも展開されているので、気になる方はチェックしてください。
ThousWinds タクティカル収納バッグ縦型
サイズ | 展開時:24×20×20cm 収納時:37×23×2cm |
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材質 | 1000Dポリエステル、YKKファスナー |
重量 | 530g |
カラー | カーキ、ブラック、オリーブグリーン |
こだわりキャンパーに刺さる新発見ギア
風に弱い、何に入れて運ぶ?……と気になる部分もありましたが、「ファイヤーダンスストーブ」の魅力は素晴らしいものでした。特に暖房としての実力には驚きを隠せず、アイロンストーブがかつて馬車内で暖房に使われていた、という話に大納得です。
100年以上の時を超えて魅力が新発見されたアイロンストーブ、こだわりキャンパーに間違いなく刺さるギアです。
ThousWinds ファイヤーダンスストーブ
サイズ | 15.7×11×21cm |
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重量 | 約1705g |
材質 | 304ステンレススチール、真鍮、耐熱ガラス |
燃焼時間 | 約8時間(タンク満タン時) |
容量 | 約400ml |
使用可能燃料 | パラフィンオイル使用推奨 |
【番外編】他にもあるぞ!気になるアイロンストーブ4選
今回使ってみたThousWindsの「ファイヤーダンスストーブ」の他にも、よさそうなアイロンストーブはリリースされています。4つの製品をピックアップしたので、最後にざっとご紹介しましょう。
1|COLONISTA「ホットナンバー」
昔ながらの職人の技術を斬新ギアに落とし込むブランド、山形のCOLONISTA(コロニスタ)が手がけたアイロンストーブ。
細かな手作業により「これぞ鋳物!」という重厚感のある仕上がりです。数あるアイロンストーブのなかでも曲線の美しさは随一。
2|E.Nブランド「E.Nストーブ」
美術品のようなゴールゼロ用ランタンスタンドで知られる「E.Nブランド」による話題作。応援購入サイト・Makuakeで発表したところ、目標金額の10倍近くを売り上げました。無駄の排除されたシンプルな佇まいは、100年後も成立するデザインでしょう。
3|Winnerwell「アイロン キャンピング クッカー ストーブ」
鉄のスペシャリスト「WINNERWELL(ウィンナーウェル)」製。同ブランドの品質は薪ストーブでも折り紙付きで、本製品も予約受付→完売を繰り返しています。真鍮の効いた外観はアンティーク風味MAX。専用ケースが付属するのも嬉しいところですね。
4|REALK-1&N.FACTRY「インドラ №2」
愛媛発の注目ブランドがアイロンストーブ界に参戦。界隈の話題をさらっているのが、芯が2つあるダブルバーナーのこちら。ゴトクもガツンと大きく、その耐荷重はまさかの180kg。屈強なボディとハイパワーで、調理に暖房にと大車輪の活躍が期待できます。
以上、ぶっちゃけ「どれでもいいから欲しい」と思ってしまうほど、どの製品も魅力的ですよね。
アイロンストーブはただいま全体的に入手困難ですが、こまめに予約情報をチェックしてみてください。健闘を祈ります!