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快適生活研究家・田中ケン氏連載企画:アウトドアで人生が変わった『僕のターニングポイント』(3ページ目)

ということで僕はシュラフを買いに行った。25年以上も前である。今のように量販店にアウトドアギアが扱われている時代ではない。アウトドアショップもそんなにない。結局、山専門のショップで数少ない封筒型のシュラフを手に入れた。このシュラフ、今でも使っています。我が家に友達が泊まりに来た時に。

マラソンの前日、山中湖にある、みさきキャンプ場に向かった。目の前に山中湖が広がりその向こうに日本一の山、富士山を望む最高のシチュエーションのキャンプ場だ。モデル時代でもあるこの時期、いろいろなところにロケで行っていたが、ここの景色は最高に美しかった。

キャンプ場につき設営!僕は何もできない。先輩は「座ってろ!」と言って椅子を出し、コーヒーを淹れてくれた。

テント、タープを設営し、キッチン周りをセッティング。タープの下はテーブルと椅子が並べられた。慣れた手つきでスムーズに。僕はというとその光景を指をくわえて眺めながら、淹れてくれたコーヒーをすすっていた。なんか悔しかった。アウトドア、キャンプは男の腕の見せ所。僕は何もできずに見ているだけ。

カヌーを漕ぐ田中ケン氏この体験が影響してか、今ではカヌーを頻繁に楽しんでいる

設営が終わるとさらに追い打ちをかけるように、その先輩は車のルーフトップの上のカナディアンカヌーを肩に乗せ湖畔に向け歩き始めた。そして僕の方に振り返りこう言った「のんびりしてろよ。ちょっとカヌー漕いでくるから!」、かっこよかった。言い過ぎかもしれないがハリウッドスターのようだった。

1時間ほどして戻ってくると、日が暮れる前にランタンをポンピングし料理の準備に入った。もちろん僕は指をくわえているだけ。決しておなかが空いているわけではない、何もできないのである。

ダッチオーブンイメージ当時は普及していなかった、ダッチオーブンでの料理は格別

料理は所詮、BBQかカレーだと思っていたら、メキシコ料理のフルコースがあっという間にできあがった。

ポルペッテキャンプをより快適にするキャンプ料理教室も開催するようになった

日が西に傾きかけたころ、シャンパンを抜き、乾杯!まさに至福の時である。おいしい食事に舌を打ち、酒を飲む。そして気の置けない仲間との楽しい会話。もう僕がアウトドアにはまった瞬間だった。スイッチが入った音が僕の心の中で聞こえた。マラソンはあまりに楽しい夜のため飲みすぎて惨敗!でも、僕の人生を変えたまさにターニングポイントだった。

この日までは都会のジャングルをかけまわっていた。今では1年のうちで2/3をアウトドアフィールドで過ごすようになった。アウトドア、本当に楽しいんだよなぁ!さぁ、今度はどこに出かけていこうかな?

 

田中ケン氏が語る、キャンプ必携ベスト3 → 「コレがなきゃ始まらない!私的キャンプの逸品

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