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荒井裕介著『サバイバル猟師飯』から教わる穀物のレシピ

【連載Part.4】荒井裕介著『サバイバル猟師飯』から教わる穀物のレシピ

CAMP HACK×荒井裕介氏のサバイバル連載第4回! 山岳写真家の荒井裕介著『サバイバル猟師飯』に掲載されているレシピを、5回に分けて紹介します。今回は「穀物」のレシピ。レシピを通じて、自然の恵みに触れていきましょう。※『サバイバル猟師飯』に掲載される内容を一部抜粋してご紹介します。

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目次

文/荒井裕介

穀物のレシピ紹介! そばお焼き

農作業中も片手で食べられるように考えられたお焼きは、山での行動中にもぴったりの猟師飯。

そばお焼き dsc_0035
材料/2人分
そば粉……150g
水……75 〜100ml
鹿肉(どの部位でも可)……30g
山菜の水煮……適宜
油……大さじ1
金山寺味噌……大さじ2 ~ 3

作り方

そばお焼き 作り方1 dsc_9958

❶ さいの目切りにした鹿肉を油で炒める。

そばお焼き 作り方2 dsc_9969
❷ 山菜の水煮を加え金山寺味噌で味付けをする。

そばお焼き 作り方3 dsc_9986
❸ 少し固めのそばがきを作る。

そばお焼き 作り方4 dsc_9996
❹ ❸を2つに分け、生地を平たく伸ばす。

そばお焼き 作り方5 dsc_0012
❺ ❹の生地で❷の具を包む。

そばお焼き 作り方6 dsc_0024
❻ 油を引かずフライパンで焼き上げる。表面がパリッとしたら完成。

具材は自分好みにアレンジしてもOK

旅をすると、その地方ごとに名物があり、どれも味わい深いものだ。農作業や仕事の合間に手で食べられるように考えられたものも多く、とても食べやすいので、山でも合理的な食料になる。そのような数ある名物のなかでも、お焼きは誰もが知る一品だろう。

北アルプスの玄関口に、上高地という場所がある。そこで食べるお焼きは、僕にとって山登りのご褒美になっていた。それを山で簡単に作れないかと考えたのが、そばがきをアレンジしたこのメニューだ。そばがき自体は簡単な料理なので、お焼きにアレンジするのも簡単。しかも、金山寺味噌で味付けした具は最高にうまい! 自作の味は本場のお焼きを凌ぐのではないか、と思っている。僕はこれが大好きで、よく山ではお弁当代わりに作って持ち歩いている。今回はフライパンで焼き目をつけたが、ある程度表面を乾燥させた状態にしておいて持ち歩けば、フライパンがなくても直火で焦げ目をつけることができる。外はパリッと、中はモッチリとした食感の違いが、なんともたまらない。

味以外にもメリットがあり、行動中の運搬にも適している。火を通しておいたものであれば、食べたい時に食べることができるので効率的。このお焼きを山で持ち歩いていると、そば粉の香りと金山寺味噌の香ばしい香りが食欲を誘う。いつになったらこれを食べようかと、つい気が散ってしまうほどいい香りだ。

中身は好みの具材を入れればいいので、家庭でアレンジして自分流お焼きに挑戦してほしい。我が家では、ハムとカマンベールチーズを入れたガレット風のおやきも好評だった。あんこなど、甘い具材を選んでもいい。形は不恰好になってしまっても気にしないことが重要。皮の厚さや味付けに工夫を凝らして冷凍しておけば、自宅用の作り置き食材としても活躍してくれる。

僕はそば処に出かけたときは、必ずと言っていいほどそば粉をお土産に購入してストックしている。それらをブレンドして、生地も自分流にアレンジしている。そばがきにするなら、粗挽きのものと細目のものをブレンドすると、より香りが引き立つ。秩父産と南会津産そば粉のブレンドが僕のお気に入りだ。自作するのであれば、ぜひ生地にも凝って作ってもらいたい。

穀物のレシピ紹介! 味噌たんぽ

日本各地に伝わる保存食には、どれも優れたものが多い。これは、秋田の郷土料理、きりたんぽに着想を得た猟師飯だ。

味噌たんぽ dsc_9808

材料/ 2 人分
ご飯……1 合
金山寺味噌……大さじ2

作り方

味噌たんぽ 作り方1 dsc_9787

❶ ご飯をクッカーの中で半練りになるよう、潰しながら練る。

味噌たんぽ 作り方2 dsc_9793
❷ 竹や木の枝に、細長く握ったご飯を巻き付けるように刺す。

味噌たんぽ 作り方3 dsc_9801
❸ 金山寺味噌を両面に塗る。

味噌たんぽ 作り方4 dsc_9808
❹ 遠火で表面を乾かし、焦げ目を付ける。全体が香ばしく焼き上がれば完成。

携行する際は串を短く切っておくと便利

これは、山中であまった飯を弁当用にしようと思った時に生まれた。詰めるものがないので握り飯にしようとしたが、ラップなどもちろん持っていない。そこで思いついたのが、旅先で見たきりたんぽ。棒状にして表面を焼き、乾燥させて笹で包めば、運搬中の乾燥を防げるではないかと閃いたのだ。実際、持ち運びも楽で食べやすいし、温め直しも簡単にできる。翌日、汁物に入れてもいい。

きりたんぽのように、各地で保存食として伝統的に残されてきた物には、きっとそれぞれに理由がある。伝統を受け継ぎ、生活や山行に活かす。それら先人の知恵を体験して自分の生活に取り入れることに、私はおもしろさを感じている。

獲物の生態も掲載。荒井裕介著『サバイバル猟師飯』はこちら!

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