写風人の駒ヶ根アウトドアライフ#06:無限の可能性を秘めた直火スタイル

岐阜在住、駒ヶ根に週末基地「K-BASE」を所有し、自分の好きなアウトドアライフを満喫する写風人さん。CAMP HACKの連載では特にこだわりのある「焚き火」について語っていただきます。今回は様々な方法で楽しめる「直火スタイル」を紹介します。


焚き火と言えば・・・?

焚き火にまつわるエピソードがあります。

以前、仲間と共に焚き火料理をする機会がありました。私は遅れて参加することになり、後輩に焚き火しながら待っていてくれと連絡しておきました。到着するとその焚き火の姿に唖然!なんと井桁型(いげたがた)で派手に燃やしていたのです。すぐに井桁をくずし燃焼を抑えましたが、後輩にはこの焚き火がなぜダメだったのか理解できなかったようです。

合掌型・井桁型

「焚き火」と言われて、誰もが思い浮かべるのがこの2つのスタイルだと思います。

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左が合掌型で、ウィグワムまたはティピー型とも言われます。(どちらも円錐形テントの名)
火口や焚き付けを中心に置き細い薪から徐々に円錐形に薪を組んでいくスタイル。空気の通りが良く縦に薪を組んでいるので燃えやすく、すぐに熱量が欲しい時には効果的ですが燃焼時間は短くなります。
右の井桁型は、薪を井の字に組んでいくスタイル。空気の入り口になる隙間が多く、中の焚き付けが燃え上がると構造上火柱が真上へと高く燃え上がります。大人数のキャンプファイヤーに多く使われます。

どちらも火の勢いが強く、薪の消費量も多いので経済的な焚き火とはいえません。また料理にも不向きです。
焚き火といっても用途によって様々なスタイルがあり、焚火台やファイヤーピットなど火台を用いたものを含めると数知れません。ここは直火に絞り、どんな焚き火が経済的で料理に適しているのか、私が普段行っている焚き火をいくつか紹介したいと思います。


並列型またはV字型

太めの枕木を2本並行(またはV字)に置いて、その中で燃やすコンパクトな焚き火スタイル。
薪の消費量が少なく火持ちもよく、五徳不要で調理もできる、私が最も多用するスタイルです。

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まず枕木の中で燃やし始めると徐々に枕木へと火が燃え移り、熾きとなって長時間燃え続けます。料理で強火が欲しいときには針葉樹の薪を数本くべれば炎の勢いも増し、煮込み料理なら枕木の熾きだけで弱火を維持します。

また枕木が五徳の役目を果たすので、調理スペースを多くとりたい時には枕木を長くし、V字型に組み直せば小さなケトルをのせることも出来ます。

合掌型との組み合わせ

焚き火スペースが広くとれる場合は、合掌型と組み合わせる場合もあります。

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片方で合掌型に組んで早く燃焼させ、お湯をすぐに沸かしたい、強火で料理したい時には効果的です。

野外料理では基本的に熾きの状態が最も安定した火加減になるので、合掌型で熾きをつくり調理するかまどへ移すのが効率よい焚き方になります。

落とし穴型

名前の通り深い穴を掘って、その中で焚き火をするスタイル。

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穴の底に熾きがたまり、立てた薪がゆっくり燃えて自動的に下に落ち込むという焚き火です。火力も弱いのでトライポッドに吊して煮込み料理などに向いています。

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かまどは石を囲むことで輻射熱が得られ、鍋やケトルの保温にも役立ちます。また穴の中で燃やすので、夏の暑い時期や風の強い時に向いています。放っておいてもゆっくり燃えてくれるので、他の作業に専念できるとても便利なスタイル。

スター型・インディアンファイヤー

太めの原木を星形に配置し中央で燃やすスタイル。

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5本の原木がタバコのように端から徐々に燃えていくのでシガーライトファイヤーとも呼ばれ、アメリカ先住民族がティピーの中で燃やしていた方法です。

中央に熾きが溜まりやすく穴を掘って焚き付けを燃やし原木を放射状に並べます。原木を伐らずにそのまま使い、燃えるに従って足で中央へ押し込むので「怠け者の火」とも言われています。長時間安定した火力を得られるのが特徴。

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それぞれの原木の間に石を置けば五徳代わりにもなり調理も可能です。


スロープ型

両サイドのスロープに薪を並べ、中央で燃やすスタイル。

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大きめの原木を両サイドに置き、なるべく真っ直ぐな枝2本ずつでスロープを作り丸太を並べます。中央に穴を掘り熾きを溜まりやすくして並列型の焚き火にします。一番下の丸太が燃え尽きる度に下へと補充される全自動型。もちろん中央で調理することもでき、かなり長時間の焚き火が可能になります。

丸太の焚き火

丸太の焚き火といえば、サントリーのコマーシャルで人気の出た「スウェディッシュトーチ」を思い浮かべます。

スウェーデン発祥のように思われますが、本来はフィンランド式のかがり火のようです。丸太を立ててトーチにするだけではなく、横置きにした焚き火方法もあります。

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例えばこの溝のようにえぐられた丸太はフィンランド式に使えそうです。

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枕木に丸太をのせるだけで設置完了。溝にスギッパを敷き詰め小枝を散りばめて着火すれば、あっという間に燃え始めます。

ある程度燃えれば丸太そのものが熾きとなってジワジワと燃え続けます。但し、十分に乾燥していなければ燃えにくく大量の煙が発生します。

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横置きはトーチスタイルよりも多くの料理が可能になり、もっと長ければ多人数の焚き火料理にも対応できます。

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枝で作ったスタンドにのせれば「かがり火」風にもなります。今回はたまたま溝がある丸太でしたが、チェンソーでV字型に切り込みを入れれば作れます。

ここに紹介したのはほんの一部の直火スタイルです。木を燃やすという単純な行為だからこそ、直火は無限の可能性を秘めている気がします。奥が深いほど愉しくなりますね。

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写風人

1955年生まれ。岐阜県在住のプロカメラマン。薪ストーブを中心とした火のある生活を愉しみつつ、ダッチオーヴン料理や薪ストーブクッキングなどの講座も行う。かねてより念願であった森暮らしを実現。週末は南信州へ入り浸り、薪ストーブと焚き火三昧の日々を愉しんでいる。

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