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Camp Innovation Summit 2016

キャンプ場の「本気」が、今日ここに集まった日~Camp Innovation Summit 2016 ドキュメントレポート

12月8日(木)に行われた、CAMP HACKの姉妹サイト「なっぷ」主催のカンファレンス『キャンプイノベーションサミット2016』、通称CIS。キャンプ場のこれからをイノベーションする記念すべき第1回目の内容を、アウトドアライターであるSAMさんにレポートしてもらいます。

目次

2016年12月初旬、初めての開催となった「Camp Innovation Summit 2016」(以下、CIS)。

「キャンプ場の未来が生まれる場所を作ろう」という趣旨で行われた日本で最初のカンファレンスです。

現在グランピングを中心としたアウトドアブームが席捲しています。果たしてこのブームはいつまで続くのか。だからこそキャンプ場業界はそれに甘んじることなく先を見つめています。その「本気」が結集したCIS 2016。

キャンプ場業界に一石を投じたこの1日を、アウトドアライター/キャンプブロガーSAMが密着ドキュメントをいたします。

◆キャンプ場もマーケティングをするステージになった

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会場となったのは大崎ブライトコアホール。

アウトドア関係のカンファレンスが行われること自体実は稀少ですし、もちろん都心で行われることはさらに稀有。つまりもうそういう時代にもうなったということです。
他の業界であれば当たり前のことなれど、この業界では「この一歩」がすでにイノベーティブ。

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全国から続々と集まったキャンプ場オーナーそして運営会社の皆様。総勢120名という数がその関心度をあらわしています。

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スタートは「なっぷ」を運営するスペースキー代表取締役社長佐藤祐輔氏。なぜキャンプ場検索・予約サイトを立ち上げたのか、今後どうやって発展させていくか、それがどうキャンプ場の価値向上に繋がっていくか、さらにこのCISを開催するまでの経緯と想いをキーノートとして講演。

私自身佐藤さんがまだなっぷを立ち上げた頃にお会いさせてもらいました。キャンプ場業界という未知の分野に対し非常に静かなる情熱を秘めておられ、それを野望ではなくきちっとデータを使ったビジネスに落とし込むマーケティング手法を持たれていました。

実はこれがキャンプ場業界に抜け落ちていたこと。ほぼすっぽりと。

データの蓄積とその解析がもたらすものは自身を一度丸裸に出来ることです。丸裸になった時点で弱点は具現化し、また自信をもつべき自らの特色も合わせ鏡で見えてきます。そのデータ収集の入り口が「予約」だったわけです。

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続いて船井総研チーフエグゼクティブ経営コンサルタント新倉竜也氏の講演。

おそらく参加者のほとんどの方は新倉氏の指摘に頭を打たれる思いであったでしょう。

「今求められているのは、狭く深くマーケティングをすること。ブランディングは何をやるかではなく、何からやめるかの選択にかかっている」

どんどん増やせばいい、何でもやればいい、ではなく、何が自分のエッジなのかを際立たせる。参加の方々には決して耳障りはよくなかったかもしれませんが間違いなく身につまされたはずです。

この講演があったことだけでもキャンプ場業界の夜明けになったのではないでしょうか。

毎日同じものを見ているとついつい凝り固まってしまいます。それを和らげて今一度俯瞰した考えをもつ。
マーケティングは時代の変化の先読みでもあり、同時に思い切った自身の変革を要求します。そして一番肝心であるのは「ニーズが何か」に直面することです。

追い風といわれるキャンプブーム、アウトドアブームといっても、それを加速させる側に立つか、乗り遅れてしまうのかは、いかにしてよく眼を見開くかにかかっています。アウトドアの世界はもう過去のビジネスモデルではなく、マーケティングを要求しているステージに立ったということです。

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続いて日本オートキャンプ協会堺廣明事務局次長からはオートキャンプ白書によるキャンプの実態に関する傾向と予測が発表されました。

ここ数年明らかにキャンプは追い風にあり、バブル期以降のキャンプブームの再来を予感させる増加率です。それは単なるブームというだけでなく、団塊ジュニアが子育て世代になり、自らが幼き頃に経験したキャンプに再びリトライしたという世代的な下支えとしても裏付けられています。

また秋以降のキャンプを行う回数の増加が顕著で、レジャーシーズンのみの浅いアプローチではなく、アウトドアが一年を通しての生活の週末を彩るライフスタイルになりつつあることを意味しています。その核をなしているのが「焚き火」の存在。

一方海外からの訪日キャンパーが増加している中、その受け入れ態勢がまだ整っていないという現状も発表されました。これは世間的に収束したインバウンドバブルではなく、日本独特のキャンプシーンやライフスタイルを発信していく重要な課題の暗示ではないでしょうか。

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午前の部最後を締めくくるのはスペースキーコンサルタント斎ノ内直人氏。

なっぷ開業以来集約された数万件の予約成立状況、またサイト閲覧から見えるキャンパーの志向性がデータ分析から明らかになりました。

閲覧ユーザーの年齢層、家族構成、地域分布、さらにはどのコンテンツのどの部分に注目があるのか=すなわちユーザーが事前に情報を得ようとしているニーズが何であるかがデータから明らかになっています。要するに「引き」が何で分かるかを知れば、最も有効な情報を有効な形で提供できるというわけです。

例えば今求められているのは空き地としてのサイトスペック写真ではなく、キャンパーがすでにサイトを展開している「景色」を知りたがっています。これはこの数年での大きな変化。以前は明らかに何も映っていない写真が好まれましたが、今は自分に置き換えられるような風景イメージが事前に必要なのです。完全にパラダイムシフトしました。

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◆キャンプ場の多様な可能性と課題はなにか

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午後の部に入ります。

ソフトバンクペイメントサービスの松浦悦史氏からカード事前決済に関する導入意義が伝えられました。

これも確かにキャンプ場のイノベーション要素です。後に参加者の方にいろいろと聞いてみたところ、何の不思議もなく現地でのカード決済があるものだと思って訪問されるキャンパーも少なくはない現状だということでした。

一方、予約時のカード決済が出来るようになればキャンプ場側のキャンセルの防止にもつながりますし、当然キャンパーとしても支払いへの利便性が上がります。

キャンセルの問題はキャンプ場にとって深刻な問題。

キャンセルポリシーはあるものの、ホテルのように利用者が厳格に意識していないのが現況で、どうしても天候がもたらす変動要因があるため大変に難しい問題が内包されているのも事実です。

キャンプ場はマーケティングだけではなくテクノロジーにも向き合わなければなりません。なぜならこれからの顧客はそれをもう実装している世代だからです。それと向き合わなければ昔の顧客しか来ない「地方の寂れた旅館」となってしまうのです。

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ここで少し毛色の違った話が登場します。

それはトレーラーハウスの被災地利用というテーマ。スピーカーはレスキュー・ビークルパーク代表の中西希氏。

実を言うとアメリカにいてはすでに500万台という膨大な対象トレーラーハウス備蓄が為され災害対策時に利用できるシステムが完成されています。これを日本にも構築していこうという投げかけです。事実熊本の震災の時に河口湖のRVパークから益城町40世帯に対応するパークトレーラーが出動しました。しかし日本ではまだそれが自治体に認知されておらず派遣までには非常に困難を極めたそうです。国としては内閣府の後援もありこの推進に積極的です。東日本大震災、熊本地震、今後も多様な災害に直面していくこともあるでしょう。そうした折にキャンプ場の資産が即その支援になるなんてやらない理由がない。こうした参画へ積極的になればアウトドアというものの地位がグッと上がっていくことは間違いありません。

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キャンプ場の最大の課題は何か。

それは間違いなく平日稼働率の向上です。1週間のうち65%の時間を収益稼働をしないというのはあまりにも非効率です。

そこにヒントをくれたのが日本野外研修ワークショップ協会代表理事田中孝治氏。

平日を企業向けの野外研修の場として、またそれ自体を運営することで収益化した成功例を紹介されました。

しかしそれは最初から成功したものではなくむしろ負のスタートでした。企業的な困難により失ったものがあったからこそ開き直り、その気づきをビジネスモデルにすべくトライ&エラーを繰り返し到達したのが「研修」というものでした。

確かにアウトドアの施設のウィークデイは眠っています。しかしそこにある場所の価値は何も変わりません。週末に行われているレジャーの自然体験を、正反対のターゲット(企業)に対し別角度の自然体験を平日に提供する、つまりまったく同じ資産を利用しつつも、対象と目的を変えることでビジネスとしての転用が可能だという指標を示してくれたことになります。

◆「グランピング」ってなんだろう?

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ここで本日のゲスト清水国明さんの登場です。

清水さんはタレント活動の傍らアウトドアの実践活動の第一人者として河口湖を基点に長きに渡って普及活動されてきました。NPO法人河口湖自然楽校 楽校長。

私も若い頃に一度焚き火とダッチオーブンの薫陶を清水国明さんから受けたことがあります。「ダッチオーブンの料理なんて2割食べれたら大成功。真っ黒コゲだっていいさ」と。これはジョークであり、アウトドアで完璧なんか求めてもしょうがない、気持ちを「楽」にしなければ「楽」しめないよ、という極めて重要な訓戒でした。それが現在主宰されている「自然楽校」という名前にも通じているような気がします。

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いきなり清水さんが言及したのは「グランピング」について。

「世の中グランピンググランピング言われますけど、なんやな、ちょっとあれでいいのかなと思っとるんですよね」

唐突にグランピングが肯定され、推進の方向性も無きにしも非ずというこの会場の流れに一気に緊張が走りました。

「アウトドアっちゅうのは、不便を作り変えて快適にするそのプロセスに醍醐味があると思うんですね。確かに1回目はグランピングでもいいかもしらん。けれど2回目はそれ以上にはならへん。アウトドアが好きな人というのはhaveよりdo、takeを好む人たち。されるよりすることが好きな人。だからグランピングでサービスを受けるだけではなく、自分たちで自分たちのグランピングを作り出したらいいのと違いますか。グランピング、今一瞬飛びついてもこの先はどうか分かりません。これ、もっとみんなで考えましょうよ」

清水さんが考えるアウトドア施設の信条は「コストをかけずに、自然の背景を借りてサービスをする」ことだといいます。そして設備投資をしすぎるといつのまにか人間がゆがんでしまう、という警鐘もありました。

「シンプルなものの中で、金をかけず、金儲け(笑)。これでいいんとちゃいますか」

自然派の清水さんではありますが、実はSNSなどは肯定的で「これからはキャンプ場の横のつながりが大切です。それも量が少なくてはいけない。つながりの量を増やすこと。そのためにはSNSは大事だと思うんですよね」と締めくくってくれました。

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続いては「地方創生」について。

ノイズ・バリュー青木元氏の講演。例に示されたのは沖縄。

地方創生に対しキャンプ場の役割は一層重大なものになります。現在アウトドアをキーにして若年層が地方へ流入していることは明らか、そのステーションであるキャンプ場がどのようなアンテナを持ち、何をすべきか、どのようなブランディング=あるべき姿を確立していくか、そのヒントとなるものが多角的に語られました。

その一番の基本は「約束したことを有言実行する」。これこそがブランディングのポイントであり、長い信頼を勝ち得るものだと青木氏は語られました。

そしてもう一つ大事なことは、得られたノウハウをどう継承していくか。これは私もキャンプ場と地域、またキャンプ場業界において極めて重要なことだと思っています。考えてみればこのようなCISが開かれる以前はその機会が極めて希少でした。

CISは単なるカンファレンスで終わらず、キャンプ場の知見の集合体であり、その伝承の場となっていってほしいと強く思います。

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続いて、おそらくここに集まった誰もが注目していた千葉県香取郡にある「ザ ファーム」。農園とグランピングという画期的なコンセプトです。登壇されたのは株式会社ザファーム営業部長毛利公紀氏。

そもそも香取という地はレジャーがない農業地域。それを真逆に発想転換したのが「農業シーンを使った観光」の創生。観光農園なら世の中いくらでもあります。ザファームが画期的でありえたのは、むしろ農業を中心とせず「遊び場」に農業が付随するという主客を逆転したところにありました。だからこそ顧客の引きは「グランピング」であり、そのグランピングを中心とした中で農作物に自然に触れていくという仕組みになっています。アウトドアのブームは自然派志向にあり、その中にはハードにアクションする人もいれば、ソフトタッチで始めたい人もかなりの潜在的バックオーダーとして存在します。事実ここでの大きな推進力となっているのは女性のグループ。つまり野外の女子会です。さらに彼女たちがもたらすものはSNSでの拡散。特にインスタグラムがもたらす効果は抜群。もちろん一過性の女性を相手にしているのではなく、今後「ウエディング」、またファミリーになっての再訪、農園の会員となり、収穫体験というロングテール化も視野に入れています。

そしてこれらの循環と仕組みが、トレンドに敏感な地域の若年層雇用創出にも多きく貢献していくという実に先見性のあるものです。

結局、船井総研の新倉氏の言った「狭く深くマーケティングをすること」とはまさにここで行われていることで、自らの弱みと強みをあぶり出し、弱みを強みに転換し、強みの価値を際立たせ、そして誰でもいいという大まかなターゲットではなく母体をどこに持つのかが十分に絞られているからこそ、誰も観光で来なかった場所に今どんどん人が流入しているわけです。

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この日のスピーカーとしてトリをとったのはヴィレッジインク代表の橋村和徳氏。

橋村さんが運営するのは伊豆にある1日1組限定のキャンプ場「アクアヴィレッジ」。

橋村さんが今目指されているのが「ヴィレッジング」という考え方。西伊豆という場所で地域に溶け込みながら創造した新しいアウトドア事業のカタチを、今後他の地域にも横展開していこうというものです。氏の言葉を借りれば、地元の方と「よそもの」との化学反応であり、融合がもたらした新しい働き方と生き方であると言います。

そのキモは「熱量」。これをもって地域を盛り上げるというもの。施設を作ることはある意味肉体労働でもあるが、むしろクリエイティブな「知的労働」であって、本当にやりたいことにエネルギーを注ぐ一つの手法なのだとも説いてくれています。

ブームかどうかは別にして、もうアウトドアは総合的なライフスタイル創造ビジネスのステージに立ったことだけは間違いありません。その表現の仕方としてグランピングや、この橋村さんが提唱するビレッジングもあるでしょう。レジャーという狭い範疇ではなく、人生の選択肢にまでアウトドアがなったのかと、私個人も感慨を深くしました。

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盛りだくさんのコンテンツの締めくくりとなるのはパネルディスカッション「アウトドアの未来とグランピングの今」。

この時間以前に語られてきたことの総まとめとなります。

登壇されたパネラーは右から司会の加藤文人氏(日本アウトドアリゾーツ総研 主席研究員)西沢浩一氏(株式会社太陽テント設計部 部長)先に登壇された毛利氏、橋村氏、そして与茂雅之氏(株式会社ピカ ディレクター)

タイトル通り話題の中心は「グランピング」。グランピングの今後の予測に関しての意見はさまざま。またグランピングの定義もさまざまです。それはどの範疇がそうであってどこまでがそうなのかは当初から曖昧なままです。加藤氏からは西欧の本来のグランピングの姿が語られました。しかしそれは日本流のものとは一致しません。また与茂氏のように「グランピングを展開しているという意識は特になく、長く携わってきたキャンプの中で脈々と続く自然体験の一カテゴリーにしか過ぎない。だからこそブームで終わらせないのが自分たちの仕事だと思っています」という考え方もあります。「ある意味グランピングというネーミングをされなくたって諸先輩含め自分たちがずっとやってきたこと。だから今後もブームとは関係なくやり続けるだけ」という橋村氏の意見もありました。

つまりはアウトドアアプローチの一手法が顧客側に認知として増えただけであって、それを浮き沈みの一過性のブームに置き換える方が拙速なのかもしれません。

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キャンプ場側からは「コットンテントのカビ」問題も議題に上がりました。テントはコットンであろうがなかろうが常設であれば必ず耐用年数が訪れます。特にグランピングのイメージシンボルであるコットンティピーは天然繊維であるがゆえ日本の風土におけるこの問題を避けることはできません。

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塩原グリーンビレッジ辻野氏からは各キャンプ場を代表するかたちで、もしグランピング形式を始めるとしてサービスとしてどのレベルからそれをはじめ、どの程度のリソースが必要かどうかについて質問されました。

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カンファレンス終了後、登壇された青木氏、田中氏、加藤氏、さらに甲武キャンプ村支配人依田望氏が加わっての4つのグループに分かれてのディスカッションが行われました。

ユニークだったのは依田氏のエクセルを使った会計と顧客管理。「キャンプ場の会計はお客の出入りですべて決まる極めて単純なもの。多岐の計算機能が備わるソフトなんていりません。エクセルで十分」という事例公開には多くの人が惹きつけられていました

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後部で密かに話を聴く佐藤社長。

熱心ですね、と問いかけてみると「やはりこういったデータを使ったことというのは自分としても好きなんですね。つい興味がわいてしまいます」

もしかしたらここから新しいビジネスモデルのヒントを得ていたのでは・・・?

◆なっぷAWARD 2016 果たしてアクセスの1位は?口コミの1位は?

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カンファレンスの最後に意外な演出がありました。

それが「なっぷAWARD 2016」

なっぷの持つ全データの中から、どのキャンプ場が最もアクセスを受けたのか、口コミで評判になったのか、予約件数がとれたのかを3部門として、東日本と西日本に分けて表彰をするというものです。

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東日本アクセス数第1位、「ザ ファーム」

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なんとその数100万件超。
インターネット世代、モバイル世代ど真ん中の顧客をしっかりと抱え込んでいるからに他ありません。

話題としてはもちろん、どう検索対象となるのか、なにを重要なキーワードとして認知させるか、これらも今後のキャンプ場が直面している課題です。

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西日本アクセス数第1位、「丹波悠遊の森」。

これは意外なる驚きです。民間ではなく公営施設が1位。考えてみると公営の場合施設がまず多岐になります。タイプが非常に多い。なので極めて予約業務が煩雑になるところ、そこをなっぷが提供した予約システムによって整理がつき、それがダイレクトにユーザビリティのアップに繋がっている、そういうことではないかと予測できます。

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東日本口コミ投稿数1位、フォレスターズビレッジ・コビット。

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まだ開業1年未満でありながらの堂々ダントツの1位。

この1か月前には管理人の鷹野さんにお話を伺うチャンスがありました。実際なっぷからの成約率が高くその循環によって訪問客数が常に一定以上であると聞いています。その言葉を借りれば「毎週がお盆」。

口コミされる最大のポイントは「サイトの広さ・使い易さ」「施設の清潔度」。ただそれだけあればいいのではなく、それを伝えたくなる=口コミしたくなる雰囲気というものあり、この目に見えないボーダーラインをどう突破するかは極めて困難なことでもあります。
しかしそれを超える要素として大事なのが「キャンプ場×人」であることは間違いありません。

ちなみに右側のご家族の写真は私の撮ったものです。使われていてびっくりし、同時に嬉しく思います。鷹野さんおめでとう。

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西日本口コミ数第1位、十二坊温泉オートキャンプ場。

この評価の高さはなっぷとの取り組みが上手に展開されていることと無縁ではなく、単なる予約システムベンダーとしての関係性だけでなく、データに基づいたコンサルティングに拠るところが大きいと思われます。

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東日本予約件数第1位、清水公園キャンプ場。

極めて歴史が古く、決して今の時流に乗ったキャンプ場ではないのになぜ他を圧する予約件数を得ることができるのか。その大きな要因は平日の稼働率です。週末と平日の対象客ががらりと変わります。やはり「平日は対象と目的を変えること」がポイントなのは間違いがないところです。

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西日本予約件数第1位、若杉高原おおやキャンプ場

現象としてこのキャンプ場の1位が理解できても、なぜここなのかというのが正直なかなか呑み込めません。納得がいかないとかでは全くなく、既存的な概念でみてしまうだけならこのキャンプ場の1位という事実から教えてくれることが分からないということです。おそらくそこを読み取っていけるのがデータであり、ユーザーの残した行動履歴ではないかと思います。もしなっぷの方に接触出来る機会があれば聴いてみたほうがいいでしょう。私も聴いてみようと思います。

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佐藤社長の本日の締めくくり。

きっとこの1日がどうなることかと内心ヒヤヒヤしていたと思います。しかしたとえ事前の想定と違ったとしてもこの1日を実行したという価値は変わりません。道は切り開かれました。暗闇は誰かがヘッドライトを照らせばその先が見えるようになります。

CIS2016はこの日をもってその役割になったのではないでしょうか。

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カンファレンス終了後に1本の電話を。

来場できなかったフォレスターズビレッジ・コビットオーナー鷹野さんへ受賞を伝えられています。

「え!?ウチですか?ほんとに??」

鷹野さんは当たり前のことを当たり前にやっていただけという意識なので、なにかの1位になったということがどうも実感にならないようでした。それでいいんじゃないでしょうか。こういった受賞はいいものではある反面、キャンプ場に対する足かせになってはいけません。いつものことをいつもの通りやるだけで、振り返ってみたらそういうこともあった、ということで。

◆After CIS  参加者の声

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場所を移しての交流会。

打ち上げではありません。なぜなら本当に実質的な交流がここで行われるからです。キャンプ、アウトドアに関わる業界の一番いいところは基本的に秘密主義ではないということ。お互いのノウハウや経験を惜しみなく「交流」できる土壌を持っています。清水国明さんが言われた「横のつながり」は、場さえ出来れば適ってしまう他には稀な業界なのです。

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以下は参加者の方への振り返りインタビューです。(※写真に写っていらっしゃる方の発言というわけではなくランダムであることを事前ご了承ください)

「業界の状況が知り得たことが何よりだった。またそれぞれのスピーカーからの話はみな腑に落ちるものばかりだった。ただ状況は分かったが今後どうなるかはさらに突っ込んでほしいところだ」

「正直にプログラムを振り返ってみると、自分に有益な部分、興味がなかったことが半々。詰め込み過ぎても僕らには分からない。ただキャンプ場でマーケティングは無視できないものだということは心底響いた」

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「なっぷに加入しているいないではなく、この場に参加することに極めて意義を感じていた。デジタルでつながっていても顔は見にくい。こうやって顔を合わせることでお互いに考えていた真意が見えてくる。キャンプ場に籠っていたらいけない」

「誰かがやらなければとわかっていても誰も手をあげなかった。佐藤社長がそこに踏み出した勇気に拍手を送りたい」

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「今日のテーマの一つであったグランピング。これをキャンプととらえるのか、宿泊形態のひとつとしてとらえるのか極めて難しい。業界は多少混乱していると思う。ブームの表層的な部分を追いかけるのではなくハードとして1年後2年後に何を残していくのかが真の課題ではないだろうか」

「ここはそれぞれの成功体験を繋ぎ合わせる場所。この役割をCISが今後になっていってほしいし、やるべきだと思う」

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「この集まりは奇跡だと思う。聴けば誰彼関係なく、しかも惜しみなく教えてくれる。ノウハウを閉じ込めることを知らない。他業界に慣れた自分には驚きだ。カンファレンスでももっと議論の時間があっていいのかもしれない」

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「予約システムの重要性は解るが、さらに”誘う仕組み化”の取り組みが大切かもしれない。この二つができてこそだと思う」

「今流行りのキャンプスタイルは果たして個性的だろうか。それを受け入れる自分たちも個性を作る場になっているだろうか。そんなことをふと思い立った1日」

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インタビューにあったことがほぼまとめです。私が感じたこともこの中にほぼ集約されています。

最後にある方の発言をここに記します。

「なっぷに求めるのは個別キャンプ場の予約数の増加なんかじゃない。それでは本当に貢献したとは言えない。今の総体ユーザーを2倍にするのがミッションのはずだ。まだまだアウトドアへ引き込める。その他のレジャーよりずっと伸びしろがある。そこに機軸を置いてほしい」

そうです。これをやってこそ真なる「本気」でしょう。

キャンプ場に「本気」を焚きつけたなら、倍返しの「本気」で返す。

それがCISをスタートさせたなっぷの責務です。

きっとそれに応えてくれるものだと信じます。

text&photo:SAM