駒ヶ根アウトドアライフ#02:森暮らしの火起こし

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岐阜在住、駒ヶ根に週末基地「K-BASE」を所有し、自分の好きなアウトドアライフを満喫する写風人さん。CAMP HACKの連載では特にこだわりのある「焚き火」について語っていただきます。今回は「火起こし」について。


火口は、森の中から

火の起源は、自然の山火事などその種火を持ち帰ったことが始まりだとされています。
その時代には、種火を絶やさず生活し続ける工夫があったと言われ木を擦り合わせて火を作りだしたのはもっと後の時代の事のようです。

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現代では火を焚く生活はごく希でしょうが、K-BASEでは日常的に焚き火をしています。
今回はいつもどのように火起こしをしているか、火口(ほくち)や焚き付けは何を使用しているかを中心に話をすすめたいと思います。

私の場合は、最初に火を付ける燃えやすい材質の事を火口といい、次に火を移していく材質を焚き付けと呼んでいます。
最も多く利用する火口はスギッパ(枯れた杉の葉)で、焚き付けはよく乾いた小枝などです。

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K-BASEは杉の森に囲まれているので、その森がなくならない限りスギッパには不自由しません。
着火はマッチを使いますが、祖母が営んでいた雑貨店の残りがたくさんあり特にマッチに拘っている訳ではありません。
時にはライターやファイヤースチールなども使います。

以前、杉林のあるキャンプ場で見た光景です。

ある人は固形着火剤で火起こし、またある人はガスバーナーで火起こし、そして一方ではフェザースティックをせっせと削っている。
「そぐそばにスギッパがいっぱい落ちているのに・・・」
臨機応変にその場の素材を活かした着火方法にも目を向けたいところです。



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スギッパの他に利用している火口は、チェンソーの切り屑に灯油を染み込ませたもの(中央)と登山の際に拾い集めたダケカンバの樹皮(左)です。
どちらも一瞬で火が付きます。
細く避けやすい樹皮や繊維質の枯れ草なども良く揉みほぐして使います。
ヤニをたっぷり含んだ松ぶしや脂松(やにまつ・こえまつ)も昔はよく使いました。
薪ストーブユーザーがよく使うファットウッドという着火材もその一種です。

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乾いたスギッパが採取出来ない時は、麻ひもをほぐしファイヤースチールの火花で着火させる事もあります。
紙類では、新聞紙は灰が舞い上がりやすいのであまり使いません。
牛乳の紙パックなどはやや悪臭が漂うので、燃やすよりリサイクルとして出します。
着火そのものを楽しむなら、チャークロス・火打ち石、フェザースティックなどの選択肢もありますが、普段の火起こしで好んで使うことはありません。

K-BASEでの焚き火は、調理のためであったり外作業の一部であったりと用途は様々です。
ここでは、外作業に取り掛かる前の焚き火を紹介します。

長く焚き火を楽しむために。熾き火の方法をお話します

「焚き火は火起こしから少しずつ薪を加え、炎を育てるように燃やす。」とよく言われますが、私が作業前に行う焚き火は、育てることなく一旦火を付けたら自然に燃え続ける焚き火です。

枕木となる大きな原木2本を並行におきます。
これは風除けの効果と熾きを蓄える働き、また鍋やケトルを置くかまど代わりにもなります。

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その中に薪を敷き詰め、火口になるスギッパをのせ小枝を散りばめます。

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スギッパに着火した後は一切焚き火に触れず、薪も追加しません。
炎は上で燃えあがるものですが、熱はジワジワと下の薪にも伝わっていきます。
これは薪ストーブでもよく行う焚き方です。
焚き始めは付きっきりになりがちですが、この方法ならその間の時間は有効に使えるのです。

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数時間経過した状態です。
たとえ炎が消えていたとしても、太い原木には熾きがしっかり残っています。
ここによく乾いた小枝を加えれば、すぐに炎は復活します。
色々な利点がありますので、直火可能なキャンプ場ではぜひ一度試してみてください。

次は焚火台を使ってこの方法を試してみます。

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用意する道具は、鉈か斧、そしてグローブ。
薪はキャンプ場などで手に入りやすい針葉樹の薪束を使ってみましょう。
まず樹皮をきれいに剥がし、細かく揉みほぐして火口とします。
太い薪や節のある薪は残し、割りやすい薪を鉈か斧で細かく割っていきます。これが焚き付けになります。



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こうして、ひとつの薪束から火口や焚き付けを作り、中くらいの薪と太い薪が残ります。
次に焚火台への薪の組み方です。火持ちを良くするなら焚火台の底に堅木の塊を入れます。
不揃いの備長炭などもいいと思います。

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その上に薪を並べ、火口を置いて細かな焚き付けをのせていきます。

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マッチ又はライターで火口に着火すれば、しばらく手を加えなくても自然に燃えていきます。
熾きが十分に蓄えられたら、薪を少しずつ追加していきます。

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焚火台は燃えやすい構造なので、薪を立てたりせず隙間なく置いた方が薪は長持ちします。
派手にボウボウ燃やすのは、少々稚拙な焚き方。
小さな炎で長く燃やし続ける、これが品のいい焚き方だと私は思います。

最後に焚き火(野外焼却・野焼き)の条例に関して触れておきます。
平成13年の法律改正から、すべての野外焼却が禁止になりました。
しかし各自治体にはそれぞれ特例として認められている焼却もあります。
例えば宗教上の祭事や農・林作業での焼却、キャンプ場施設での焼却などです。
気になる私有地での焚き火ですが、駒ヶ根市の場合は「自宅でのたき火その他日常生活を営む上で通常に行われる焼却で軽微なもの」との特例が設けられています。
ただし、近隣への迷惑行為などいくつかの注意書きが付則されていますので、節度ある焚き方も大切です。
いくら直火可能なキャンプ場といえど、非常識な行為によって焚火台の使用も禁止になった事例もあります。
ましてや許可なく他人の山や森に入ってブッシュクラフトの真似事をするような行為は論外です。

理解できない人にとって、焚き火は迷惑以外の何者でもないのです。
最低限のルールとマナーを守り、焚き火が永遠に人の心を和ませる重要な役目を担ってくれる存在であることを願っています。

次回は、寒くなってきたこの季節に欲しくなる「薪ストーブ」についてお話します。



 

写風人 Written by 写風人 1955年生まれ。岐阜県在住のプロカメラマン。薪ストーブを中心とした火のある生活を愉しみつつ、ダッチオーヴン料理や薪ストーブクッキングなどの講座も行う。かねてより念願であった森暮らしを実現。週末は南信州へ入り浸り、薪ストーブと焚き火三昧の日々を愉しんでいる。

2016年11月29日

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